第6回経済審議会政策推進部会議事概要

1.日時

 平成12年5月24日(水) 16:00~18:00

2.場所

 経済企画庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 部会長、荒木 襄、伊藤 進一郎、大田 弘子、高橋 進、畠山 襄、濱田 康行、村田 良平、森尾 稔、森地 茂、八代 尚宏

 (経済企画庁)

中名生事務次官、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長 他

 (経済企画庁総合計画局研究会座長)

橘木 俊詔 人口減少下の経済に関する研究会座長、清家 篤 雇用における年齢差別禁止に関する研究会座長、國領 二郎 物流・情報通信ベストプラクティス研究会座長

4.議題

  • 経済企画庁総合計画局研究会の報告
  • 政策推進部会報告案について

5.議事内容

 (1) 経済企画庁総合計画局研究会の報告

  人口減少下の経済に関する研究会について

   橘木座長、太田計画官からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 人口が減少すると産業構造が変化すると考えられるが、それはどう考慮されているのか。
  • 人口減少下の経済において何を目標にするのか。経済成長率を目的にするのは時代遅れではないか。むしろ、一人当たり経済成長率を目標にすべきではないか。
  • 生産性の向上ということになればITということになるが、それ以上に過去の労働力が過剰であった時代の様々な制度・慣行が変わってくることによって、より貴重な労働力を使うというのが本当の意味での生産性の向上であり、このようなメカニズムは盛り込んでいるのか。
  • 経済成長率が下がるので出生率を回復させなければならない、という言い方は避けるべき。子供を持ちたい家族が子供を持てるような経済環境を整備し、それによって出生率が回復し経済成長率が上がればよい、という方がよい。
  • これからは後期高齢者が増えていく。65歳以上の高齢者を65~69歳と70歳以上等に分けて考えていく必要があるのではないか。65歳以上を高齢者として一括して扱うのは問題である。
  • 外国人労働者の活用についてどのように考えるのか。また、外国人労働者が、社会保障費用を負担していくことやそれを享受することについてはどのように考えているのか。

  (人口減少下の経済に関する研究会)

  • シミュレーションの結果では、産業構造の変化は成長率の押し上げ要因にはそれほどなっていない。
  • 経済成長が全てではないという点に関しては、研究会の委員の中でもいろいろな意見があり、少子高齢化を重く考える意見とそうでない意見がある。当研究会では、こうあるべきということをやるのではなくて、ある政策が取られたときにどういうことが起こるのかという点から整理している。
  • 前期高齢者と後期高齢者が違うというのはその通りである。後期高齢者の比率が重要だということはわかっている。
  • 産業構造の変化について、分析モデルを用意しシミュレーションを行っているが、モデルの開発途上であり、現時点で明確に結論を出せる状況ではない。現時点ではマクロレベルでの分析を行っている。

  雇用における年齢差別禁止に関する研究会について

   清家座長、山崎計画官からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 賃金の弾力化、雇用の流動化等は極力抑制して、年齢差別として定年制だけを廃止すると、労働者側に一方的に有利な改革となる懸念がある。
  • 同一能力には同一の処遇をするという原則を強調するべき。
  • アメリカなどでは能力主義の結果が年齢差別禁止という考えにつながっている。
  • 解雇規制は現在最大の争点になっているが、解雇自体の規制ではなくて解雇条件の規制ということを重点的に議論してほしい。
  • 働くものというのは現在雇用保障されているものだけではない。インサイダー、アウトサイダーの全員が働くものである、ということを強調していただきたい。
  • 年齢差別禁止をするときの具体的な法的な表現、つまりどういう形で禁止するのかということについて十分検討していくことが必要である。重要なのは立証責任の転嫁ということで、立証責任を企業側に転嫁することが必要。
  • 年齢差別禁止をする前に、政府がセーフティネットを整備することが必要である。
  • 特定の能力が要求されるような仕事は、市場価格がはっきりしてくると思うが、一般的な仕事になると、年齢以外の確たる能力評価基準もなく、年齢制限を禁止するということになるとこのような仕事の場合は扱いが難しい。

  (雇用における年齢差別禁止に関する研究会)

  • 解雇規制は判例法であり、具体的な立法措置によって解雇の条件の明示化を図っていく必要がある。
  • インサイダーに対して年功的な処遇を維持しようとすると、中途でコストの高い人を入れるわけにはいかなくなる。年齢差別禁止というのは、アウトサイダーに対して配慮するという意味でも重要。
  • 年齢差別禁止というのは、高齢者の雇用を保障するものではなくて、年齢を理由に解雇をされたり、採用の対象にならないということがないようにすることである、という点は強調する必要がある。
  • セーフティーネット等の条件を整えた上で、年齢差別禁止などのルールを適応するというのが1つの考え方である。もう1つは、ルールを予め決めておいて、その実行までに条件を整備するという考え方である。効率等を考えると年齢差別禁止の場合は後者が望ましい。
  • アメリカの年齢差別禁止法においては年間四万四千ドル以上の企業年金を受け取るようなマネージメント職の人については、定年退職制度を維持してもよいという例外がある。
  • 市場価値を測りにくい職種についての賃金などの評価の問題については、重要な検討課題である。

  物流・情報通信ベストプラクティス研究会について

   國領座長、税所計画官からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • ITは非常に重要な分野である。政府が何をすべきかということがはっきりしていないので、整理する必要がある。ネットワークをつなぐときに阻害している規制や税制等廃止すべきものを整理すべき。
  • 外国企業は、日本の複雑な商流、物流のため市場に参入できない。これは日本の規制の塊ではないか。ネットワークをつなぐことによってこのような規制をどうはずしていくのかが重要である。同時にこのことは商流の職を奪うことにもなるので、その対応についても併せて考えるべきである。
  • もの作りということが重要である。IT革命が生産の場面にどのように活用されるべきなのか。
  • 新しい物流のネットワークを考慮する場合に、循環型経済社会も包含したネットワークを検討するのがよいのではないか。
  • 交通分野については、この分野特有の情報システムの問題があるので、これらの問題を解決する必要がある。

  (物流・情報通信ベストプラクティス研究会)

  • 規制等については、かなりの部分が省庁横断的なものである。
  • 生産のネットワークはグローバルなネットワークであり、日本国内のみの整備では対応は不可能である。この点は課題である。

(2)政策推進部会報告案について

   事務局からの説明に続き、以下のような質疑が委員からあった。

  (委員)

  • 時間管理概念の導入については検討というだけでは足りない。もっと前に進めるようにすべきである。
  • 年齢差別禁止の導入には年功賃金の見直しなどの前提条件が必要である。

以上

 本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
宮原、阿部
 電話 03-3581-1041