第5回経済審議会政策推進部会議事概要

1.日時

 平成12年5月18日(木) 15:00~17:00

2.場所

 経済企画庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 部会長、香西 泰 部会長代理、荒木 襄、木村 陽子、高橋 貞巳、高橋 進、村田 良平、森地 茂、八代 尚宏

 (経済企画庁)

堺屋大臣、中名生事務次官、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長 他

 (ヒアリング省庁)

厚生省 中村大臣官房政策課長、大谷年金局年金課長

4.議題

  • 関係省庁からのヒアリング(社会保障について)
  • 部会報告について

5.議事内容

 (1)関係省庁からのヒアリング

  社会保障について

   厚生省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 積立方式移行時の2重の負担の問題について、積立方式への移行がなければ2重の負担の問題はないという認識なのか。現状でも積立不足になっており、これを単に先送りするのか、または、移行時に一度に負担さるのか、のどちらかの選択の問題ではないか。現状の制度でも、過去の積み立て不足の債務の負担が必要ということを明確にすべき。
  • 積立方式の移行時に、2重の負担を赤字国債の発行によって補うという選択肢もあるが、それがナンセンスということであれば、現状の賦課方式は後世代に巨大な赤字国債を発行していることと同じになるが、このような見方に対してどう考えているのか。
  • 賦課方式を採用するのであれば、少子化へのリスクに対してどのように考えているのか。
  • 第3号被保険者制度等の問題は、女性のみの問題ではなく「片働き専業主婦」という家族モデルの問題である。
  • 年金制度について、社会保険方式を堅持していく場合、このままの制度設計では少子化が進むたびに制度を収支バランスさせるような形で改正しなければならないことになる。例えば、スウェーデンが社会保険方式と所得再分配を分離するという抜本改革を行ったが、ここまで考えているのか。
  • 今後の財政制約の中で、介護、医療、年金のうち、最も力を注いでいく分野はどこか。
  • 社会保障給付費の国際比較(資料3-2の3ページ)でスウェーデンの「その他」の比率が多いが、これは具体的には何か。介護か何かだと思うが、将来日本もこういう分野が伸びていくのか。
  • 特定の官庁が特定の制度を支持するのは民主主義の世界ではおかしいのではないか。いろいろな考え方があって政府はそれに応じて行うのであって、実施部門と企画部門は分離すべきである。
  • オーストラリア、カナダには税方式については所得制限がある。これについては賛成か反対か。
  • 税方式でなく社会保険方式で採用するというのであれば、国庫負担があること自体がおかしいのではないか。

  (厚生省)

  • いろいろな議論があって、それについてきちんと勉強していかなければならないということは承知しているし、そういうつもりである。
  • 2重の負担の問題については、民営化するとその問題が生じ現在はその問題がない、ということを申し上げているのではない。過去債務は保険料引き上げによって払っていかなければならないし、もし、民営化ということで一気に解決するならば、保険料を上げることによって吸収するのではない明確なやり方が必要。過去債務を後世代に後送りするのは望ましくないことから、法律を改正して債務を2割減らすことにしたところ。
  • スウェーデン方式は、保険料を固定して給付が変動するものであるが、給付金額が自動的に調整されるような制度を導入することが可能かどうかは難しい面もある。
  • 税と社会保険方式の関係については、税方式になった場合、必ず所得制限しなければならないと考えているわけではない。税方式で皆年金で支給するという考え方はある。また、税方式にした場合は、給付額が制限される懸念もある。
  • スウェーデンの福祉の経費が大きいのは、家族給付、失業給付、家賃補助等が高いことが挙げられる。将来、日本の福祉の経費はやや高くなると考えているが、スウェーデン程にはならないと考えている。
  • 年金、医療、介護のうちどの分野が一番重要なのか決めることは難しいが、年金制度がきちんとしていないと高齢者の生活は苦しくなる。ただし、基本的には、高齢者であっても負担できる人には負担をしてもらうことが必要。

(2)部会報告

   事務局からの説明に続き、以下のような質疑が委員からあった。

  (委員)

  • 循環資源のオーバーフローとは、何が問題なのか明確にすべき。価格以外の地理的要因等も考慮すべき。
  • 今の循環型経済社会関連の法体系では、システムを設計しきれていないが、それをどこかの段階で設計しなければならないということをクリアにしなければならない。
  • 政府の役割があいまいである。IT社会を推進していく上で、政府のどの規制が邪魔になっているのかということを整理してはどうか。規制改革が伴わなければ、IT社会は十分推進しきれないのではないか。
  • 現在の政策形成のあり方に問題がある。利害調整が中心で進歩はわずかしかない。これではIT社会のスピードについて行けない。
  • 法曹改革についてもっと触れるべきである。法曹改革は、IT、介護、高齢化などあらゆることに関係してくる重要なことである。
  • 公共部門、企業部門、消費者部門の中で、特に公的部門は廃棄物処理など積極的に循環型経済社会の構築に関与していくことが必要。特に循環型経済社会の構築に当たって重要なことは、市民教育を拡充し、市民に関心を持ってもらうことである。
  • 循環型経済社会の構築については、政府や産業の取り組みの他に、地方自治体の役割が大きいのではないか。地方自治体の役割についてもう少し触れておく必要があるのではないか。

以上

 本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
原、阿部
 電話 03-3581-1041