第5回経済審議会政策推進部会政策小委員会議事概要

1.日時

 平成12年5月9日(火) 14:00~15:45

2.場所

 経済企画庁官房特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 委員長、香西 泰 委員長代理、木村 陽子

 (経済企画庁)

堺屋長官、小池総括政務次官、中名生事務次官、坂官房長、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長、佐々木計画官、山崎計画官、税所計画官、大脇計画企画官、岩本計画企画官、川崎推進室長 他

4.議題

 全体整理及び自由討議

5.議事内容

 (1) 堺屋経済企画庁長官あいさつ

 昨年、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」が閣議決定され、これから10年位かけて日本がやるべき方針を打ち出した。それを具体化するために、この3年をかけて実施するアクションプログラムの検討を、①IT革命、②循環形成ビジネスの推進、③介護ビジネスの推進、④少子高齢・人口減少社会における高齢者の能力発揮システムの構築、という4つの大きなテーマについてお願いしたわけである。

 重厚長大産業における変化のスピードが遅くなっている中で、ITだけは急速なスピードで進んでいる。これは将来どうなり、人間生活のどこに影響を及ぼすのか。

 循環ビジネスは難しく、リサイクルを経済循環の中にどう取り込んでいくのかということが大きな問題。リサイクルとは資源の使用を減らし、人間労働に置き換えることに他ならず、産業革命以後と逆の動きをすることである。それを実現するためには、リサイクルの費用が新資源を使うより安価でなければならない。ここでは、全社会的ビジョンを提示していただいており、これがどのようにして実現するのか、どのような教育、倫理が必要か大いに考えなくてはならない。

 少子高齢化については、前回まで女性の問題も取り上げていたが、今回は高齢者の能力発揮を重視していただいた。どうすれば、長期にわたって高齢者が高齢者なりに能力を発揮できるのかは重要な問題。ここで能力開発と労働市場を有効に機能させるルールづくりについて提示していただいたことは誠に有り難い。

 今一度議論を深めて、いかに明日からの現実的な施策につなげていくかご教示いただきたい。

 (2)全体整理及び自由討議

 事務局からの説明に続き、以下のような意見交換及び質疑応答があった。

 

・介護サービスの質を厳しく監査する「公的監査システムの確立」について、「利用者本位の仕組みの整備」のところに付加してほしい。

・高齢者だけでなく、女性労働者という視点も入れていただきたい。ここで書かれていることは多様な就業形態をとっている女性にとっても適用できることである。それが難しいのなら、例えば最後に、高齢者の能力発揮システムの構築は、多様な就業形態をとる女性労働者や男性労働者にとっても、能力を発揮しやすい環境の整備であると加えてほしい。

・65歳以上の高齢者は約2千万人、働くことが可能な年齢を70歳とするともっと数が限られるのに比べ、働いていない女性や待遇の良くない仕事をしている女性のほうが数のオーダーとしても多いことを考慮すべき。

・「はじめに」のところでは、今までの経緯についての記述が多いので、従来の政策とは異なる新しい戦略であるということと、今がチャンスであり、逆に放っておくと大変なことになるという緊急性をもっと前面に押し出すべき。

・接続料がなぜ高いのか知りたい。NTTが長距離通話における利潤の減少分を接続料で補っているからなのか。あるいは光ファイバーの敷設に投資負担をしたからなのか。IT化をうまく進めるには接続料が高い理由を明らかにすることが重要。ITのポイントは利用面であり、料金問題は大きい。

・日本の場合、パソコンの普及はある程度進んでいるが、インターネットに接続されていないことが問題であるように、IT投資の量ではなく、むしろ上手な使い方のほうが重要ではないか。

・循環については、資源を労働に置換するだけでなく、ロボットの利用やパイプライン敷設等のインフラの役割もあってよい。

・介護については、市町村が主体であり、市町村の制度のあり方にも影響する。介護が、力のある地方分権の促進を要求する理由になるという観点もあってよい。

・光ファイバーの整備が何故必要なのか。無駄なことをしているわけではないことを示す必要がある。

・「ネットワークの高速・大容量化と低廉・定額化」については、問題の所在をもっと分かりやすい形で示す必要がある。

・企業、あるいは個人もNPOやNGOへの参加を通じて、循環や介護ビジネスに積極的に取り組んでいこうという意欲をかきたたせるようにすることが大切。

・ここでは環境の問題を廃棄とリサイクルに絞っているが、今、シックハウス症候群が注目されており、このような暮らしの健康に関わる部分があってもよいのではないか。

・ITにより小企業でも大企業と競争ができ、また、販売がそのままマーケティングにつながり、また、家庭の主婦なども参入しやすいという特徴を強調してはどうか。

・財政や税制といった問題にも触れておく必要はないのか。

・財政問題については、まずは本格的な景気回復と経済新生が最重要課題。

・「介護サービス市場整備の政策課題」の最後に、自治省で合併のシュミレーションを行っている等、市町村の再編成の動きがあることを付け加えてもよいのではないか。

以上

本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、中村
 電話 03-3581-1041