第4回経済審議会政策推進部会政策小委員会議事概要

1.日時

平成12年4月28日(金) 14:00~16:00

2.場所

経済企画庁官房会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 委員長、木村 陽子、清家 篤

 (有識者)

奥西 好夫、永瀬 伸子

 (経済企画庁)

中名生事務次官、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、藤塚計画課長、山崎計画官 他

4.議題

 人的資源の活用方策について

5.議事内容

 (1) 人的資源の活用方策について

 事務局からの説明に続き、以下のような意見交換及び質疑応答があった。

  • ・構造改革の推進のためには、雇用の流動化はある程度必要であるが、今後なかなか活発化は見込めない状況。したがって、それを支援する政策に加えて、企業側の大胆な構造改革を可能にする施策を行うべき。
  • ・転職・離職率については、高度成長期と比較して、中高年層はそう変わりがないが、若年層では高まりを見せている。それは、非正社員(パート、アルバイト)化の進展、及び若年層の就業意識の変化によるところが大きい。
  • ・若年層の離転職が構造改革に与える影響は疑問であり、中高年の離転職も非自発的なものが多く、失業者になる確率も高い。よって、現時点で積極的に有能な人材が動いているという状況ではない。
  • ・高齢者の雇用について、65歳定年制と希望者全員への継続雇用というのは無理がある。労働力のばらつきが生ずる中で、不適用な人間を雇用しつづけることは企業にとって負担。
  • ・60歳定年後の継続雇用や別会社への就職による大幅な賃金の低下が、60歳男子の失業率の上昇を招いている。
  • ・継続雇用については、1企業で抱えるよりも、会社が変わっても仕事やキャリアが継続することの方が重要。
  • ・年功賃金制を見直し、準内部市場(関連企業等)、外部市場を活用することにより、多様な選択肢をより早期に提示できるような環境を整備することが必要。
  • ・暮らし方全体を、「片働き専業主婦モデル」から「有子共働きモデル」を中心に据えてはどうか。
  • ・晩婚の末の出産専業主婦化と、非婚化の二極化が進展。育児休業法の施行後も、出産をはさんだ就業が進んでいない。
  • ・育児休業法の施行後、育児休業の利用者は1割にも満たない上、保育園の整備は、自治体負担が大きいため進んでおらず、低年齢児については3割が待機している現状。核家族化が進み、母への育児負担の集中が見られる。
  • ・このように戦後になっても基本的に女性の暮らしは変化しておらず、そのことが少子化の引き金となっている。税・社会保険構造、社会保障制度や保育園等の施設に対する行政、また雇用慣行等を含めて可能な範囲で「有子共働きモデル」へ転換していくべき。
  • ・今後の方向性と今後の人的資源活用方策を対応させるべき。
  • ・労働市場を明示する形で、情報機能、個人による能力開発システム、セイフティーネットの整備について述べたほうがよい。
  • ・年齢以外の理由で雇用調整することの正当性を認める意味でも、年齢差別の禁止に対するルールづくりについて触れるべき。
  • ・「人的資源活用」、「高齢者の活用」という記述の中の「活用」という言葉は用いないほうがよい。
  • ・女性の仕事と育児の両立を推進するためには、男性の働き方を考えなくてはならないということを強調すべき。
  • ・雇用の流動化が進展すると、企業が能力開発する動機を失うので、労働者は自ら自発的に能力開発を行わなければならない。そこに政策的な支援が必要になる。
  • ・教育機関を大学や大学院に限定せず、民間の能力開発ビジネス等も含めるべき。
  • ・「男女共同参画の推進」は「今後の人的資源活用方策」の中ではなく、むしろ、「基本的認識」や「今後の方向性」のところで、語られるべきこと。
  • ・今後の人的資源活用の方策としては、①能力開発等の教育、②社会保障や税制等の制度の整備、③年齢差別といった人権に関わるもの、④多様な働き方を可能とする社会、に分けて考えるとよい。
  • ・職業訓練について、短期間で仕事に必要な技能だけを習得できる場を作り出すという観点が必要。
  • ・労働者の個人的環境を加味して、制度の整備、まちづくりを行うといった論調にしたらどうか。
  • ・教育訓練給付制度の充実を図ることよりも、能力を高めようというインセンティブをもたらす仕組づくりが重要。
  • ・従来型長期雇用は決して悪くない制度であって、その中で時代の変化に対応しうる人材を育成することは可能。
  • ・最近の失業率の高まりは、不況期にも関わらず、自発的失業が増加しつづけていることが影響していると考えられる。
  • ・中途採用比率の高まりが見られ、大企業の採用方法に変化が見られる。
  • ・企業内での能力開発も、良い人材を集める労働条件として充実させるという側面では、残っていく可能性あり。
  • ・女性の仕事と子育ての両立を可能にするには、企業が男性の働き方を変えさせなければならないが、企業の合理性に任せていたのでは実現しない。企業がそういった行動をおこすようなインセンティブシステムを作る仕組みが必要。
  • ・「片働き専業主婦モデル」を否定することが、すなわち「有子共働きモデル」にすぐに結びつくものではない。
  • ・社会システムを「専業主婦優遇モデル」から「中立的な個人モデル」にしていくという考え方がよいのでないか。
  • ・介護はかかる介護期間が分からないという問題があるが、保育というのは期間の見通しがつくので、公的関与のあり方が難しい。
  • ・特に都市部において、保育園の一定水準を維持するために、財政支援は行う必要がある。

以上

本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、中村
 電話 03-3581-1041