第3回経済審議会政策推進部会政策小委員会議事概要

1.日時

 平成12年4月26日(水) 8:00~10:00

2.場所

 経済企画庁官房特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 委員長

 (有識者)

岩田 彰一郎、國領 二郎、古川 享、前田 正明

 (経済企画庁)

堺屋長官、小池総括政務次官、中名生事務次官、坂官房長、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長、税所計画官、山崎計画官、大脇計画企画官 他

4.議題

 IT革命の推進について

5.議事内容

 (1)小池総括政務次官あいさつ

 IT革命は「ドッグイヤー」と言われるように猛烈なスピードで進んでいる。景気回復への動きを端緒に、21世紀へ向けて新たな躍進をめざすためにも、IT革命を戦略的に推進し、起爆剤として経済発展を図ることが重要。新たなビジネスチャンスが生まれ、生産性の向上、我が国経済発展の原動力となり、消費者の利便性の向上等国民生活にもメリットを与えるものと積極的に推進していく必要がある。本日はご意見をうかがい、有意義な提言にとりまとめていきたい。


 (2)IT革命の推進について

 事務局からの説明に続き、以下のような意見交換及び質疑応答があった。


・業界団体とのしがらみ等、利権の絡んだ見えない規制、壁がある。こういうものが変わっていかないと革命が起きない。

・IT革命を日本がどう進めていくかについて国民的コンセンサスが必要。精神的バックヤードがないと変革は進まない。

・IT化の遅れから全世界の潮流から取り残されるのではないか、という不安を解消させる意味でも、今までどおり良い製品を造る企業は依然優れた企業であるということを認識した上で、IT化の手順を示し、中身の伴うIT化を冷静に促す必要がある。

・政府予算の抜本的改革を行い、IT関連インフラの整備への思い切った重点的配分が必要。

・計画を実行に移す段階のアクションプランの効果的実施に期待したい。

・日本はネットとの相性は良い。潜在的に教育水準の高さ、企業間の情報共有意識という素地があるので、このような極めて良質の経営資源を既存の仕組みの中からいかに解放して再構築するチャンスを提供できるかがポイント。

・もちろん新しい雇用の創出もあるが、流動化が進むと予想される中高年が興すベンチャーがどれだけ活躍できるかが重要。

・税制や知的所有権の取扱い、プライバシーの問題等に早急に取り組み、スタンスを定めることで、起業に伴うリスクを軽減し、制度的な不確実性を取り除かねばならない。

・インフラの整備を行う際に重要視すべきは、基幹部分のスピードアップとともに、末端を整備することである。SOHOとのデータのやりとりや、町工場との3次元CADデータのやりとりが可能になるよう、インフラが面的にすべて行き渡たることにより大きな力が発揮されるということが重要。

・情報通信のインフラ整備は非常にコストがかかるが、ワイヤレス通信が全体のコスト引下げ効果をもたらす可能性がある。

・ワイヤレス通信が成長率の押し上げ効果をもたらしているのが日本の特徴。

・市場メカニズムが公正に機能するように、情報開示を要請し、価値のある企業がきちんと評価されるシステムづくりを行い、市場を競争的にする等のサポートを進める必要がある。

・広くすべての人がインターネットを利用できるように、通信料金の低額・定額化を進める上で、この1、2年は既存設備の有効活用を図れるような制度がつくれるかにかかっている。一方で、その伝達された情報の連携ができるように、学校、職場での教育を面的に広く行うべき。つまり、国家戦略として最先端の分野の支援を進めることと、面的に広く最低限の情報通信環境を保障することの両方に取り組む必要がある。

・IT化を提言する人が自らIT化を実践することが必要。また、単に情報機器の導入で終わるのではなく、業務分析を行い、ITを使用してどう業務改善を図るかを指摘するITコンサルタントの育成が重要。

・社会人がビジネススクールで学び、また企業に帰っていく、あるいは起業する。こうしたことが行われていることを啓蒙し、活用を促することも必要。

・大学は、関係者以外にも大学の情報資源を開放すべき。大学と企業のコラボレーションにおいても、共同研究開発等に係る情報をオープンにしていく必要がある。

・ITビジネスにおいて、何をやってはいけないのかが明確でない。この不確実性のため、気が弱い人は、ITビジネスを起こせない。インフラとして、透明性の高い制度の構築が必要。

・新しい「価値」を客へ早く提供する競争となっている。2005年にはその優勝劣敗が決まってしまうだろう。しがらみの多いバックヤードを改革し、自由な競争環境をつくり上げ、後は、市場競争にゆだねるべき。

・ハイスピードな情報通信が必要な分野は光通信が活用される分野であるが、既存固定網もモバイル通信で置きかえることが可能。情報通信は、現世利益の大きい媒体に流れていく傾向にある。

・固定網とワイヤレス、パソコン、テレビ等が有機的に連携するプラットホームの充実を図るべきだが、政府の関与は、慎重に取り組むべき。

・電波といった公共のリソースをどのように活用するか。先が読めない時代に新しいことを実験するチャンスをどれくらい提供できるかが重要。

・ITS等のモバイル通信は様々な場所での通信となるがゆえ、建設省、警察庁、郵政省等官庁間をまたいだ話になってくる。それを調整するには、省庁間の横の連携が重要。

・インターネットは誰でも情報発信ができるという意味で、受発信者数がn×(n-1)の広がりを持つ。誰でも発信できるということがインターネットの本質。孤立した情報を結合させ、企業組織の構造及び生活の場の変化をもたらすという大きな力を持つ。

・英国のように、通信と放送の相互参入を進め、境界を取り払うことが政府の役割。

・モバイル化により、なかなかオフラインでのコミュニケーションを図ることができない自分の律し方、社会通念づくりが必要。


 (3)堺屋経済企画庁長官あいさつ

 IT革命は景気浮揚、産業改革のための起爆剤であると同時に、知価革命、生活革命の根源である。昨年12月から設備投資が上向いてきているが、そのうちの多くをIT投資が構成している。ITが世の中をどう変えるのか。eコマースの進展により、従来型の系列がどうなり、また、「便利なIT」から「楽しみのIT」へ、すなわち、ITが資本財から、販売量の増加、価格の低下を経て、消費財へ変化するのはいつ頃か。そのとき消費財としてのITがどんなコンテンツを持つようになるのか。このように、ITが人間の生活時間帯やオフィスの形態に影響を与え、情報革命が生活革命へとつながっていく。以上、このような観点からご議論をお願いし、教えをいただきたい。


以上

本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、中村
 電話 03-3581-1041