経済審議会政策推進部会(第4回)議事録

時: 平成 12年 4月 24日
所: 経済企画庁特別会議室(436)
経済企画庁


経済審議会政策推進部会(第4回)議事次第

平成12年4月24日(火)14:00~16:00
経済企画庁特別会議室(436号室)

  1. 開会
  2. 関係省庁からのヒアリング
    • 1)世界秩序への取り組みについて
    • 大蔵省
    • 2)循環型経済社会について
    • 環境庁
    • 厚生省
    • 通商産業省
  3. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1.経済審議会政策推進部会委員名簿
  2. 資料2.関係省庁ヒアリング説明者
  3. 資料3.大蔵省資料
  4. 資料4.環境庁資料
  5. 資料5.厚生省資料
  6. 資料6.通商産業省資料

経済審議会政策推進部会委員名簿

部会長
水口 弘一   (株)野村総合研究所顧問
部会長代理
香西 泰   (社)日本経済研究センター会長
安土 敏   サミット(株)代表取締役社長
荒木 襄   日本損害保険協会専務理事
伊藤 進一郎   住友電工株代表取締役副社長
植田 和弘   京都大学大学院経済学研究科教授
江口 克彦   株PHP総合研究所取締役副社長
大田 弘子   政策研究大学院大学助教授
角道 謙一   農林中央金庫理事長
木村 陽子   奈良女子大学生活環境学部助教授
嶌  信彦   ジャーナリスト
清家 篤   慶応義塾大学商学部教授
高橋 貞巳   株三菱総合研究所代表取締役会長
高橋 進   財建設経済研究所理事長
田中 明彦   東京大学東洋文化研究所教授
畠山 襄   日本貿易振興会理事長
濱田 康行   北海道大学経済学部教授
原  早苗   消費科学連合会事務局次長
ロバート・アラン・フェルドマン  モルガン・スタンレーディーン・ウィッター証券チーフエコノミスト
星野 進保   総合研究開発機構特別研究員
村井 純   慶応義塾大学環境情報学部教授
村田 良平   株三和銀行特別顧問
森尾 稔   ソニー株代表取締役副社長
森地 茂   東京大学大学院工学系研究科教授
八代 尚宏   上智大学国際関係研究所教授
八城 政基   日本長期信用銀行代表取締役社長
山口 光秀   東京証券取引所理事長
鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長


〔 部会長 〕 ただいまから第4回政策推進部会を開催させていただきます。

本日は、委員の皆様方には、ご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

早速、本日の議題に入らせていただきます。本日は、前回に引き続きまして、主要テーマに関する施策について、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。第1に、世界秩序への取り組みについて大蔵省から、第2に、循環型経済社会について環境庁、厚生省、そして通産省から、それぞれヒアリングをしたいと思います。テーマ毎に各省庁から説明していただき、その後、委員の皆様から、ご質問、ご意見等をお伺いしたいと存じます。

それでは、世界秩序への取り組みについて国際金融の面から、大蔵省より説明をしていただきたいと思います。大蔵省国際局国際機構課長、よろしくお願いいたします。

〔 大蔵省 〕 私の課では、経済サミットの大蔵大臣の部分と、G7の大蔵大臣・中央銀行総裁会合、それからIMF国際通貨制度などを担当しておりまして、そういう担当の観点を中心に、最近の議論の状況をご説明したいと思います。

資料が膨大になっておりまして恐縮ですけれども、まず、1枚めくっていただいて、横に絵のようなものが入っておりまして、これでご説明したいと思います。これは、通貨危機の予防と解決ということで、昨年6月のケルンサミットへの蔵相報告書内容をポンチ絵ふうにしたものでございます。

この絵に入る前に若干、背景を説明いたしますと、90年代に入って、国際金融の世界では大変なグローバル化というものが進んでおりまして、これの理由の1つとしては、もちろん各国の規制緩和というのがあるわけです。それから、70年代以来の変動相場制の下で、従来は固定相場を安定させるために必要であった為替の規制をやる必要がない、あるいは為替に介入する必要はない、各国が資本を自由に流出入させることによって、一番生産性の高いところに資本は流れていくのだ、という考え方の下に自由化をやってまいりまして、さっき申し上げたように、為替を安定させるために資本規制をする必要はないということも相まって、あるいは金融のビジネスの方でも、そういう資本の移動というものを仲介することによって最も利益を得られるということが相まって、90年代に入って大変なグローバル化、しかも、大きな資本移動というのが見られたわけでございます。

これで、IMFとかを含めて、自由化をどんどん進めていこう、あるいはOECDに加盟する国については、そういうのを通じてできるだけ自由化を進めていこうという考えでまいったわけで、それ自体、大変よい結果をもたらして、アジアの大変高い成長というのは、例えば、日本とか韓国のように、基本的に自分の国の貯蓄でできるだけやっていこう、とする立場に比べると、日本をはじめとする先進各国から直接投資あるいはポートフォリオの資金流入を得て大変早い成長をした。

ただ、94年の冬にメキシコで危機が起こりました。ドルに対してほぼ固定制を取って大変な資金流入で活況を呈したメキシコでございますけれども、94年の終わりに危機が起こった。このときに言っておりましたのは、非常にインプルーデントというか、慎重さを欠いた投資というものを、例えばアメリカの投資家がメキシコに対して行って、過剰な資金流入になってしまった。それが、大幅な資金の流出が起こり為替が下落したときに、結局、外準の枯渇により債務が返せなくなるおそれが出て、、それを支援するために、IMFが、あるいはアメリカの資金が入っていった。

このときに非常に問題になりましたのは、2つの点で、1つは透明性の問題。つまり、各国の政策を透明にすることによって、民間の投資家の慎重な判断を求めることができる。あるいは透明性を高めることによって、各国の政策をよりよいものにしていくことができるのだ、ということが議論されたわけです。

そういうことでIMFが中心になって、いわゆるモラルハザードを招かないように透明性を高めるとか、いくつかの手段をとっていったわけですけれども、それでも結局、97年の7月以降、タイ、インドネシア、韓国、それから、支援は受けませんでしたけれども、マレーシアとか香港、そういうところにおいても大きな危機が起こる。

そういうことで、これは一体どうしたことなのだろうということでいろいろ議論してまいった結果が、この99年6月のケルンサミットの蔵相報告書に1つの形で集約されているわけです。

国際通貨システムの改革というのを最近、アーキテクチャーというふうに言いますけれども、国際金融アーキテクチャーの見直しというのは、1つの、例えばIMFと世銀を一緒にしようとか、IMFをつぶしてしまおう、そういう話も出している人はいますけれども、基本的には今、こういうストラクチャアでできている。1つのことをやって全てが終わりということではなくて、いろいろな要素が相まって強化につながるのだという立場を取っているわけでございます。

1つは、今申し上げたように、「透明性の向上と最善の慣行の慫慂」ということで、各国の経済データに係るIMFの公表基準を定めて、各国は経済データをもっと出してくれ、と。もう一つは、財政金融政策、金融監督における透明性に関するIMFの基準、世界にはさまざまな基準が、証券の監督当局者あるいは銀行の監督当局者、会計基準、その他いろいろな基準がございますけれども、こういうものをきちっと各国が守っていくことによって危機を未然に防ぐような、一種の予防的なシステムができるのだという考え方でございます。

一番大事なのは、真ん中に書いてある「新興市場国におけるマクロ経済政策、金融システムの強化」です。90年代に至る以前、特にIMFができた頃というのは先進国中心に国際収支が赤字になってくると、マクロ政策を引き締めて調整するという、経常収支を調整するというのが基本的な考え方でございましたけれども、金融システムの強化がもっと大事ではないかということになってきたわけでございます。

ちなみに、90年代の危機のあり方としてよく言われているのは、以前は経常収支において消費とか投資が過大になって国際収支が赤字になっていくということであったのが、それ以降は、資本が大量に入ってきて、非常にこの国はいいということで大量に入ってきて、それが何らかの都合で大量に出ていくことによって、つまり資本移動がきっかけとなって国際収支困難に至るというのが90年代の特徴。もう一つは、民間から民間への貸付ということがよく言われております。80年代のラテンアメリカの場合は、公的セクターに民間の資金が行っていたわけですけれども、90年代のアジアでは民間セクターから民間セクターへの融資が大きな原因になっている。3つ目は、80年代の中南米、あるいはもっと前の経常収支赤字の場合には、財政の赤字であるとか、そういう過剰消費というか、使い過ぎていることによって赤字が起こっているわけですけれども、90年代の場合は、むしろ民間資金が、いいということでワアーッと入ってきて、それによって特に投資の側面でバブル的な状況が出てくる。つまり、むしろ金融の拡張が最初でそれが過剰消費ではなく過剰投資につながったということがよく言われております。

そういうことがありまして、各国において、金融システムは過剰な借入をしないとか、そういうことが大事であるという議論が出てきております。

それから、丸の中にあります「適切な為替相場制度」ですけれども、固定ドル制というのが、ドルに対して固定しているアジアの制度というのが、為替リスクへの着目を妨げ、あるいは本来、日本とのつながりの強いところに、ドルとのつながりで考えていったために、円安などからいろいろ大きな影響を受けてしまったという議論もされているわけです。

あと、この左右に「新興市場国における規制」というのが2つございますけれども、資本の流入に当たっては、ある程度資本の流入が抑制されるような、裁量的な規制ではなくて、プルーデンシャルな規制を使うことによって、すなわち借入規制的なものを、基準的な規制をやることによって抑えることも有効ではないか。あるいは、中国やインドが危機に陥らなかったのを見ると、資本の自由化というのを、あまりほかのセクターが強くなっていないのに進めるべきではないという議論が出てきているわけです。

それから、資本が大量に流出する場合においても一定の基準で、例えば、マレーシアの場合は、株式の譲渡益などの海外持ち出しを一定期間、禁止したわけですけれども、そういうケースも、場合によってはやむを得ないのではないかという議論がなされております。

もう一つは、「先進国による規制」ということで、途上国ばかりの責任にしているけれども、貸している方はどうなのだということで、特に、ヘッジファンドというのは本来、金持ちの投資家相手ということで規制の対象になっておりませんので、これについては最低限、ディスクロージャーをやってもらおうではないか、と。あるいは、そういうものが入ってきて、マレーシアや香港の市場を荒らしたようなケースについては、そういうものについてもう少し監視していってもいいのではないか、という議論がなされております。

もちろん、ヘッジファンドはリスクを取ってくれるという面もあって、つまり、いわゆる市場に流動性というか、マネーベースという意味ではありませんけれども、市場の取引が成り立つような意味での、市場の取引を成り立たせるという意味でのリクデティを供給しているという議論がありまして、ただ規制するというのはどうかということですけれども、これについては、まずはディスクロージャーを求めていこう。それから、LTCMの事件で明らかになったように、相手の機関のリスク管理というのをきちんとやっていこうという議論がございます。

右側にいきまして、「民間の関与」というのがありますけれども、公的支援をするのが、結局、民間が資本を引き揚げるのに使われてしまうのではしょうがないということで、むしろ、公的支援の前提として、民間の投資家や貸手も、ロールオーバーをやるとか、債権のリストラに応じるという形で、一定の負担をしてもらおうというのがこの考え方でございます。もちろん、民間の金融機関からすれば、公的支援をちゃんとやってほしいということにつきるのかもしれませんけれども、公的債権者、つまりIMFや日本のかつての輸銀や海外経済協力基金をはじめとして、そういうところもいつまでも、大量の資本移動を全部ファイナンスすることはできないという立場が出てきているわけでございます。

あと、「国際金融機関の強化」と下の方にありますけれども、IMFの委員会を恒久的な機関にするとか、金融安定化フォーラムということで、これは各国の金融監督庁、中央銀行、大蔵省が入って、規制の観点、マネタリーオーソリティの観点、それから国際金融の観点などから、統一的に各国の規制というものを考えていこうという機関もできたりしております。今、IMFの見直しということで、IMFの融資制度の見直しなども進んでいるわけでございます。

こういう中で、日本はどういうことを主張してきたか。この審議会の1つのテーマにもなっているかと思いますけれども、我が国は、こういう議論の過程で、例えば適切な為替相場というのは非常に重要であり、円の国際化というのも地域的な安定に資するのではないかとか、資本の自由化というのも、さっき申し上げたように、90年代の最初みたいに、何でも早く自由化すればするほどいいのだというのではなくて、現実的に自由化を条件を満たしながら進めていくべきであり、場合によっては資本流入規制的なものを考えていくべきである。あるいはヘッジファンドについても見直しを、直接規制ということではありませんけれども、ディスクロージャーを求めるとか、貸手側の責任も重要であるということについて、大蔵大臣にいろいろステートメントを出していただいたりという形で提言してきているところです。

話が長くなってしまったのですけれども、後ろに書いてあることは今私が申し上げたようなことで、通し番号の2ページ以下ですけれども、枠に入っているのはケルンの合意です。その下にあるのが、それぞれの進展について詳しく書いてございます。これをやれば危機は必ずなくなるということでは、もちろんありませんけれども、危機の原因というものについて考えた場合に、こういうさまざまな措置を取らなければいけないだろう、ということが出てきているわけです。

日本の戦後の経験も、非常に慎重に資金の流入・流出について考えて、国の全体の債権債務がどうなっているかということを考えながら政策運営をしてきたわけですけれども、特にケルンの議論以降、各国において、例えば、通し番号の8ページを見ていただきますと、一番下に、金融安定化フォーラムの資本移動作業部会の中で、各国当局は一国全体のバランスシートを念頭に置いて統計の充実に努め、流動化リスク・為替リスク等の分析を行うべきである。公的セクター、銀行セクターそれぞれについて、流動性リスクや為替リスクも考えるべきだ、という提言をしております。

通し番号の11ページは、これは大蔵省の国際局が関係する国際金融関係の会議でございますけれども、いろいろフレームワークが出てきていて、努力がなされている。これでそれぞれの国が特に重要視している会議がありまして、これはなかなか合理化していくのが難しく、会議が多過ぎるのではないかという批判があるところです。

通し番号の12ページ以降、先日行われました7か国蔵相・中央銀行総裁会議の中身です。これの中でも、今ご説明したような、アーキテクチャーの強化についての議論に触れております。

蔵相・中央銀行総裁会議の声明のドラフティングに当たっても、我が国は、先ほど申し上げたような観点からコメントし、あるいは、1月東京の会合などでは、私どものドラフティングに当たってそういう考え方を主張してまいりました。

通し番号の24ページ以降は、最近のそういう問題についての我が国の主張の1つのまとめとして、大蔵大臣のステートメント、国際通貨金融委員会、先日までは暫定委員会と言っていたものですけれども、この中で我が国の考え方を示しております。例えば、IMFについては、最近の議論では、危機対応の短期融資だけに、非常に短期的な融資だけにとどめるべきだという議論がなされておりますけれども、その点については、26ページですが、IMFの役割としては、危機のときに助けることも大事だけれども、本来これが設立されたのが、一種の信用組合的な互助的なものとしてできたことにかんがみると、危機になってなくても、ある程度、国際収支困難なときを助けるというのは必要なのではないか。そういうことをしておくことが、危機のときに関与する1つの根拠になるのだということも言っております。

ずっととばしまして、31ページ、これはちょっと別の切り口ですけれども、「アジア通貨・経済危機への対応」が出ております。さっき申し上げたように、97年の7月から98年初め頃にかけて通貨危機が発生したわけですけれども、まず、2)「IMFを中心とした支援策」の中で(参考1)をご覧いただきたいと思います。通し番号の33ページですが、タイ、インドネシア、韓国という(これは億ドルでございますけれども、)巨額の支援を求められたときに、日本は率先して融資を表明し、インドネシア、韓国の場合は、第2線準備ということで、IMFが出して足りなければ出すということで、実際に使われることはありませんでしたけれども、いずれにせよ、率先して日本は出している、安定化に努めたということで非常に評価を受けているわけであります。例えばタイの場合には、結局、アメリカは支援を表明しなかったということ、それから、インドネシア、各国の場合も、アメリカは結局、普通にお金を出すことができないので、第2線準備ならどうにかなるということで、我が国を含めて第2線準備になってしまったわけですけれども、これはメキシコの危機のときに、アメリカが外貨準備、為替安定化基金を使って支援したことがモラルハザードを生んだと大変批判されまして、アジアの支援のときには非常に出遅れてしまったということで、各国、若干、日本への期待を高めているようです。

31ページに戻っていただいて、3)ですけれども、我が国は、アジア通貨基金構想というもの、これはアジア諸国から、ASEAN諸国からもこういうものについて議論がございましたけれども、97年9月のバンコクのASEM蔵相会合、香港でのG7、あるいはIMF、世銀総会の際にこういうものを提案したわけですけれども、アメリカやIMFなどから、これは非常にモラルハザードを生むのだ、アジアだけの基準で支援をするということは非常にまずいということを言われて、これは成立いたしませんでした。

ただ、その後、31ページの下の方に書いてありますように、97年11月に、マニラで会合を持ちまして、場合によっては支援を行うのだ、第2線準備を行うという意味での「マニラ・フレームワーク」というのを作って、その後、半年に1回ずつ会議を持っております。

32ページに移りまして、「実体経済の建て直しに向けた取り組み」ということで、98年の夏頃には、やや安定をしてきたわけですけれども、実際回復したのは99年からです。成長率がプラスになったのは99年ですけれども、98年には小康状態になってきた。その中で、2)に書いてございますように、「新宮澤構想」ということで 150億ドルの中長期資金援助、それから 150億ドルの短期の資金需要の備え、合わせて 300億ドルの資金支援スキームを発表しております。さらに、99年の春以降は相当安定してきたわけですけれども、2)に書いてありますように、「新宮澤構想の第2ステージ」ということで、特にアジアの域内での資金を活用するために、債権市場を整備していく必要がある。アジア地域の中での資金還流について、構想を発表しております。

後ろに付いておりますのは、その資料でございます。

それから、最後に一言だけ。41ページに、外為審の提言というのがございますけれども、これは、円の国際化ということを進めて域内で円を共有していくことが、この地域における通貨安定に資する部分があるのではないかということで進めているわけで、最後のページに書いてありますように、「円の国際化推進研究会」をつくって推進を見守っているところでございます。

説明がちょっと長くなりましたけれども、私の説明は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。ただいまご説明のありました世界秩序への取り組みについて、ご質問、ご意見等があればお伺いしたいと思います。なお、時間の関係もございますので、委員の方から続けてご質問、ご意見を伺い、大蔵省の方から、最後にまとめてお答えいただくということにしたいと思います。

〔 A委員 〕 質問です。最後におっしゃられたことですけれども、私、ここのところ、何回か国際会議等に出ていると、私の専門ではありませんけれども、円の国際化ということについて、特に東南アジアの人から、これは必要であるという意見とか、必要であるにもかかわらず日本政府が非常に消極的なのではないか、というようなことを言われるのです。この辺について、今の大蔵省のお考えというか、今の報告も外為審の報告についてお触れになった点だけで、ご報告の中でも最後のところでほんのちょっとだけです。どのくらいご関心があるのか、もう少しお話を伺いたいということです。

〔 部会長 〕 それに付け加えますと、私の関係している経済同友会でも、たしか今週、「円の国際化」ということで提言を発表するのですが、実態調査をしますと、タイに行っても、韓国に行っても、例えばウォンの取引の場合は、円よりもドルに替えてやった方がはるかに早いしコストも安い、というような話がいろいろあります。

その辺は、今のA先生のご意見と一緒に、一度ぜひお伺いしたいと思います。

〔 B委員 〕 半分コメント、半分質問です。最近、ホットマネーの話はよくあると思いますし、ヘッジファンドの動きも問われていると思いますけれども、投資家のインセンティブに関する点ですが、特に最近、株式投資家と話しますと、自分たちが使っているベンチマーク、すなわち自分がよくやったか悪くやったかということを目標にする市場のパフォーマンスですけれども、こういう設計によって自分の投資行動がかなり変わるという話で、皆さんいらいらしています。

例えば、ある株価が、人気になってガーンと上がったら、それが全体のベンチマークを引き上げて、その株を買わざるを得ない状態。いかにも変な株だと、みんな思っても、買わざるを得ない。

通貨の動きもそうですし、ほかの債券市場もそうだから、これからはベンチマークの設計のやり直しによって世界の金融市場が安定してくるのではないか、という指摘が最近、ちょこちょこと出てきていますけれども、それに関して何かコメントがあったらお願いしたいと思います。

〔 C委員 〕 少し国際金融そのものの問題と外れるかもわかりません。一言だけコメントしておきたいと思うのです。今、現象的に見ると、例えばWTOのときもそうだったですけれども、IMFの会議の周辺をNGOが取り囲んで、IMFそのものを否定する、あるいはWTOそのものを否定するという動きが、外側ではあるわけです。このこと自体は、私は、まともな議論ではない議論が横行してそうなっているということは承知はしていますし、そうしたものにくみしようとは思っていませんけれども、結局、経済審議会として国際金融の問題を考える場合には、少し枠を広げて、国際金融の枠組みをきっちりとする、安定をさせるという目的。究極的な目的は何かということでいくと、一部の投資家とか一部の企業家の利益のためにあるわけではなくて、安定するのは、ちょっと青臭い議論ですけれども、各国の国民のウエルフェアが上昇するために、最終的にはあるわけです。そうした側面というものを、国際金融の場面でいかに考えているかということを見せる、あるいは対話の場所を作るということ自体が、先ほど言いました、筋違いのNGOがわぁわぁ騒いで破壊的な行動を起こすということを防止するのに大変重要だと思います。

ですから、ご意見もいただく必要はないのですが、そうした側面について、マクロ経済を考える場合には考慮に入れておく必要があるのではないかということを、やや立場的な意見ですけれども、申し上げておきたいと思います。

〔 部会長 〕 部会の意見として、そういうことをずいぶん考えよ、こういうご意見ですね。

〔 D委員 〕 榊原前財務官が、IMFの理事に立候補したわけです。これは非常にいいことだったと思うのですが、ただ、一応この機会にお伺いしたいのは、「勝つと思ってか」と。それから、勝つと思ってなかったとすれば、何が目的でやったのか。それで、どういう条件が満たされたら勝つことができるのか。

以上、差し支えない範囲でお答えください。

〔 E委員 〕 今までのお話で出なかった問題ですが、メキシコとかアジアの通貨危機というのは、我々は経験しましたけれども、株式市場がバブルであるかどうかというのはいろいろ議論があると思いますけれども、バブルが株式市場で大きな問題が起きたとか、あるいはインターネット関連の株が大暴落をする。それが世界的に波及したときに、国際金融システムへの影響はかなりあると思います。

そういう議論はほとんど今まで、なされていないのかなと思いますけれども、それについて議論する必要があるとお考えなのか、その点についてコメントいただければと思います。

〔 F委員 〕 28ページに、「クォータの見直し」というのがございます。IMFは人材面のプレゼンスもこれからは大いに重視していく必要があると思いますけれども、「クォータの見直し」について今後の見通しとか、これをするためにはどういったことが一番必要か、そういうことについてお教えいただければと思います。

〔 部会長 〕 それでは、今までのご意見、ご質問に対して、できる範囲内の明快な回答を期待いたします。

〔 大蔵省 〕 まず、A先生からの円の国際化についての考え方でございますけれども、ある時期まで、日本の大蔵省は確かに、円の国際化をするということは、金融システムへの影響というか、国内の金融の状況への影響があるということで、内外の金融を遮断するという意味において、あまり歓迎してなかったような時期がございました。ただ、これについては、日銀も、大蔵省も同じように考えているわけですけれども、今は、さっき申し上げたように、資本が移動することがむしろ当たり前であって、為替はむしろ自由に動いているわけですから、そういう意味では、今までのように金融システムの安定を保つために円の国際化を避けるということはないのであって、ぜひ積極的に進めた方がいいと思っているわけです。

円の国際化は為替リスクがなくなるとか、シニョリッジと言うか、通貨発行益のある部分がくるとかということを含めて、むしろ、日本にとっては非常に好ましいわけですけれども、金融の人に聞くと、実物経済がドルで動いているからなかなか難しいのだと言っています。実物経済の商社の人などに聞くと、金融の円の調達・運用が難しいからだいうことです。結局、大蔵省の源泉徴収の課税がその運用を妨げているのだという意見もございまして、お互いに責任を押しつけ合っていたわけですけれども、少なくとも大蔵省は、円の短期国債についての源泉徴収課税を廃止いたしましたし、長期国債についても、それこそベンチマークの国債についても、非居住者の非課税を導入いたしました。

そういうことで率先してやっているわけですけれども、さっき申し上げたように、実体でドルで動いている部分が大変多いので、それは各国においてもそうなのですけれども、どういうところから手をつけていったらいいのか、あらゆることをやっていこうということが、この41ページの外為審答申に書いてあることです。

いずれにしても、答えは、ぜひ円の国際化を進めていきたいという立場だということでございます。いろいろな人が言っていることは、若干前の大蔵省の立場というものを反映している部分がある可能性もあるということです。

Bさんのお話ですけれども、ベンチマークというか、アジアの今回の危機でも非常に問題になったのは、ハードビヘイビアというか、ハードというのは「群れ」という意味ですけれども、群れになって動くという傾向が非常にあって、その1つがベンチマークとか、1つのシステム設計にあたって似たような設計をしていることが同じような行動を起こす。それ以外に理由としては、他の人がいいと思っているやつを買っておけば上がっていくので儲かるということもある。それから、投資家が契約する場合に、ほかの人と同じくらいのレベルのパーフォーマンスであれば許されるのだけれども、マイナスになるといけないということで、ほかの人と合わせておけば、つまり「みんなで渡れば怖くない」的な部分もある。ということで、ハードビヘイビアをどのようにどこで遮断していくのかということは大きな議論になっている点でございます。

それから、NGOのことは、特にコメントを求めないということでしたけれども、IMF、世銀の会議に先日も出まして、沖縄が次は焦点だというようなことを言っておりますので、よく説明していかなければいけないので、むしろ、NGOや市民社会がこういう国際会議の問題に関心を持っていただけるということはいい面も多いので、やっていかなければいけないと思います。

ただ、一言いえば、日本についていえば、グローバリゼーションについて、特にNGO的な反対はそれほど強くないと思いますけれども、日本については、もっとグローバリゼーションとか市場化というものを進めるべきであって、そういうことについて、むしろ合意を形成していくことが先決だと思います。ただ、さっき申し上げたように、何でも自由になれば全てがうまくいくというわけではないのは、90年代のアジアの経験が示しているのではないかと思います。

それから、Dさんの質問ですけれども、榊原専務理事について、日本は第2位の出資国として候補者出すべきではないか、ヨーロッパの一つの指定席と考えるべきではない、という立場から推薦を致しました。現に、ヨーロッパからは有力な候補者がなかなか出てこなかったので混乱したのはご承知のとおりです。条件としては、日本やアジアが全部サポートして、それでアメリカが乗ってくれば勝った可能性はありましたけれども、アメリカとヨーロッパはそれぞれ世銀とIMFのトップを分け合っていまして、自分たちがこの構造をある程度変えようという意識を持たない限り、なかなか入り込むのは難しいわけです。クォータの話にもつながりますけれども、日本は6%のクォータしかなくて、ヨーロッパは何と40%ぐらい持っているわけです。それから、理事の数も、24人のうち8人はヨーロッパの理事である。3分の1がヨーロッパの理事であり、これにメキシコが代表しているスペインも加えますと9人になってしまうわけです。こういう状態を、徐々にでも変えていかなければいけないので、そのために発言していく必要がある。発言していくためには、まず、自分たちも候補者を出す用意があるんだということを示す必要があるということで、最初から負けそうな戦にどうして出るんだ、というご批判も一部にありますけれども、我々としては、かなり勝つ可能性が低くても、こういう形で日本が国際的な意志決定に積極的に関与する姿勢を示していく必要があるというふうに考えていたわけでございます。

それから、株の話ですけれども、株が高すぎるのではないかというのは、大変大きな世界的な関心を呼んでおりまして、特に4月に、この間発表されましたIMFのワールドエコノミックアウトルックでは、5章のうち1章をこれに当てて、特に、アメリカの株価は非常に高すぎるのではないか、幾つかの収益からのものとか、いろいろな基準でみて非常に高い。これはどういう問題をもたらし得るかということを、非常に綿密に分析しております。何でこういうことが関心を呼んでいるかというと、1つには、日本の90年代の経験というものが、資産価格が非常に上昇して、それが一気に下落したときの影響がこれほどひどいのかということを、日本の経験を通じて世界の金融関係者は非常に感じているところであって、アメリカについて「じゃあ、どうなの」ということになってくるわけであります。

ワールドエコノミックアウトルックのレポートにも出ていますけれども、世界における不安定要因というのは今や、インフレではない。物価は、一部のロシアとかを除けば、世界的に非常安定しているわけで、その中で問題なのは、資産価格の上昇と激しい下落、それの金融セクターのバルナビリティ、脆弱性への影響ということが、非常に国際金融あるいは経済学者の間で議論になっているところでございます。

詳しく説明できませんけれども、そういうものについて、どういう対応をしておかなければいけないのか、1つは金融政策ですし、もう一つは金融監督上の問題だと思います。

IMFのクォータの話がありましたけれども、IMFのクォータは、投票権、融資額(融資を受けられる額)、それからIMFに各国が協力する額、全部に連動していますけれども、さっき申し上げたように、IMFは、第2次大戦の最中に案を作った、当初の加盟国であるヨーロッパのシェアが非常に高いわけです。既得権益的なものになっていまして難しいのですけれども、日本はクォータシェアを徐々に上げてまいりましたが、これからも日本のシェア、あるいはアジアの新興主要国のシェアを上げるべく、今日お配りした大臣のステートメントにもはっきりとそのことを明示しておりまして、国際的な世論を高めていこうと考えているところでございます。

少し超過しました。以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

最後に、さっきE委員からご質問がございました、私自身も資本市場に長く携わっている立場から、この間のG7の共同声明は、4月14日に、一部にはブラックフライデーと言われる、ニューヨークも、ナスダックと両方を含めると大暴落の翌日の声明なのに、株式市場問題に全然触れていないというのは、IMFやG7の担当の大臣、中央銀行総裁の方々は、こういうマーケットの動きに対して、非常に臆病なのか、あるいは非常に慎重になっているのか。関係者としたら、ちょっと期待はずれであるというような、感想だけを申し上げておきます。

まだいろいろとご質問、ご意見があろうかと思いますが、時間の関係もございますので、次のテーマに移りたいと思います。今日はありがとうございました。

それでは続きまして、循環型経済社会にテーマを移しまして、環境庁、厚生省、通産省の順にご説明をいただきたいと思います。ご質問、ご意見等は三省庁の説明終了後、一括して承りたいと思います。それでは、まず環境庁水質保全局長、よろしくお願いいたします。

〔 環境庁 〕 お手元の資料4ー1、資料4ー2を参照いただきたいと思います。今通常国会におきまして、循環型社会形成推進基本法案、その他、関連の廃棄物・リサイクル法案が4つ、全体で5つ出されております。私の方は、基本法案をご説明申し上げたいと思います。

我が国経済、GDP 500兆円ですけれども、その経済活動を維持するために、22億トン毎年物質が投入されているということでございます。もちろん、これは年々拡大しております。

資料4ー1をご覧いただきたいのですけれども、そういう中にありまして、廃棄物・リサイクル対策でいろいろ問題が生じてきた。言い換えますと、22億トンのうち、1の1)にありますけれども、家庭ごみが 5,000万トンでございます。それに対して産業廃棄物が4億トン出ております。では、それについて、ごみになって捨てられるわけですけれども、資源としてのリサイクルの状況はどうかといいますと、リサイクル率は、家庭ごみで1割、産業廃棄物で42%ということでございます。家庭ごみは、一般廃棄物10%というのですけれども、平成8年度で10%でして、まだ低いですけれども、平成元年には 4.5%でしたので、倍増している。しかし、歩みは、全体の水準はまだ低いということでございます。

3番目に、そういう中にあって、ごみの最終処分場でございますけれども、だんだん残余年数がなくなってきている。一般廃棄物で 8.8年、産業廃棄物で 3.1年の残余になっている。特に、後ほど、厚生省の部長からご説明があると思いますけれども、平成11年度、産業廃棄物の最終処分場の残余年数はほぼ 1.6年という形で、かなり逼迫してきている、こういう実態になっております。

4番目に、この5年間の不法投棄の件数を見ますと、年々増大してきておりまして、平成5年度から10年度の間に 4.6倍、こういう形に増えてきてございます。

ここに書いてございませんけれども、以上のような廃棄物・リサイクル問題、いわゆる社会の物質循環が必ずしもうまく行っていないということによりまして、環境負荷が増大してくる。その結果、外部不経済が当然高まる。そして、当審議会の一部会でもご議論があったと思いますけれども、いろいろ経済成長の制約要因にもなるのではないか、こういう議論も出ているということでございます。

これらの問題の解決のために何をなすべきかということですけれども、高度成長期ないしは安定成長期の一定時期までに、要するに、我が国の経済、国民生活行動のベースであった大量生産・大量消費・大量廃棄型、この行動パターンを見直す必要があるだろう。

端的に言いますと、リサイクルの推進、それによって天然資源の消費抑制、そして環境の負荷の少ない、循環型社会、こういう筋書きをきちんと考えなければいけないだろう、こういうことでございます。

このために、私ども、循環型社会形成を推進する基本的な枠組み法案というものを今回、成案を受けたということでございます。ここに至るには、2つの視点が必要だと思います。1つは、今まで廃棄物行政は廃棄物行政という形で展開されてきました。リサイクル行政はリサイクル行政という形で展開されてきました。しかし、そのどちらを取りましても、それだけでは完結しないということで、厚生省、通産省、各省が連携を非常に強めてきている。その延長線上に、私ども、こういう施策展開、法案を考えたということでございます。

また、その1つのモデルとしまして、ドイツ循環経済廃棄物法というのがございますけれども、諸外国においては、廃棄物・リサイクルの行政の一体化というのがかなり進んできているということをも視野に入れた対応だということでございます。

なお、ここで余談でございますけれども、環境庁が資料を作る場合は、こういうふうに裏側を白紙にはしません。必ず、裏表をきちんと使いまして、なるべく省資源化するということでございます。今日の資料は、たまたまそうではございませんけれども。

ちなみに、もう一つ、封筒は極力出さないということで、必要な方は申し出て、お渡しする、こういうことになっております。

なぜ、これを言うかといいますと、私ども、廃棄物・リサイクル問題を取り組むに際しまして、環境基本法という1つの大基本法がございます。そこの中に環境基本計画というのがあるわけですけれども、その長期目標の1つとしまして、循環というのがございます。ただ、これは自然の物質循環と社会の物質循環の両方をにらんで、かつ長期的施策として取り組む、こういう考え方の整理になっております。このフレームの中で、社会の物質循環、中でも廃棄物・リサイクル問題というのが、先ほど申し上げましたような直面する問題に着目しますと喫緊の課題だろう。それの適正な処分を確保することは、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷の低減になるだろう。

ここに着目して基本法案を、いわば環境基本法の下の小基本法をここで整理させていただいたということでございます。この基本法と一体的に、廃棄物の適正処理、リサイクルの推進というものを、総合化あるいは計画化していこうということで、廃棄物処理法、再生資源利用促進法、さらには、特別法である容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、今回新たに制定します建設資材リサイクル法、食品リサイクル法、こういうものを体系的に整備していこうというのが今回の目的でございます。

その次のページをご覧いただきたいと思います。法案のねらいは何か、また中身は何かということでございますが、1つは、一番上に楕円形がありますが、「循環型社会の形成」というイメージを明確に国民に提起していこうということでございます。循環型社会は、1)廃棄物等の発生抑制、2)循環資源の循環的利用、3)適正な処分の確保──これはいわば社会の物質循環を促進する。それで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減、そういう社会だということでございます。

その次に、施策対象とする対象物をどういうものにするかということですが、これは、廃棄物処理法上の廃棄物、さらには使用済みの製品とか、製造工程でできる副産物の中の有価物、そういうものを合わせました廃棄物等としまして、その中で資源として有用なもの、利用可能なものを「循環資源」と定義しまして、これを対象として施策展開していこうということでございます。

基本原則、責務、基本計画、基本施策、この四つ重ねの基本法案の整理を行ったということでございます。

その詳細を見るために、2ページにかえっていただきたいと思います。まず、基本原則の点でございますが、これは3つ構成になっていまして、1番目の循環型社会の姿の明示、2番目の循環資源の定義、これは先ほどご説明しましたので省略します。3番目に、物の処理施策の優先順位を初めてここで定義した。まず第1は、廃棄物は極力出さないようにしましょう、発生抑制です。出たならば、ビール瓶のように、牛乳瓶のように再使用を極力やりましょう。あと、ベットボトルに代表されますように、廃棄物が出ましたら、これを粉砕して繊維等にリサイクルしていきましょう。特に、物質のリサイクル。物質のリサイクルができない場合は、熱源として処理していきましょう。本当にどうしようもなくて処分しなければいけないというときは適正に処理する。いわば公害を出さないような形でやっていきましょう、こういうことでございます。

その次の柱としまして、循環型社会形成のキープレーヤーは4者、国、地方公共団体、事業者および国民ですけれども、その役割分担の明確化、責務の明確化ということでございます。特に、今回の基本法で明確にしますのは、1)にありますけれども、事業者・国民の「排出者責任」の明確化でございます。この問題は、要するに国民・事業者が加害者であると同時に被害者だという部分がありますので、排出者はきちんと責任を持っていこうではないか、自己責任というものを強くうたう。2番目に、製品につきまして、どうしても排出者がやろうにもやれない、非常にでかい物、あるいは有害性の非常に高いもの等々、これについては生産・使用段階から、設計とか素材選定などで工夫する。あるいは、廃棄物が出た場合は、場合によっては、事業者に引き取っていただく。これが国際的な流れになっておりまして、「拡大生産者責任」の一般原則化ということでございます。なぜ、一般原則化かといいますと、今までは容器リサイクル法、家電法と、地方でこういう原則はありましたけれども、それをより一般原則として、今回この中に盛り込んだということでございます。

3ページでございますが、いろいろ施策展開をやる上におきまして、各種個別法がございますけれども、それのベースとなる基本計画を作っていこうということでございます。これにつきましては、環境大臣が原案を作り、中央環境審議会の意見を聞きまして、関係大臣と協議しまして閣議決定し、国会報告する。そして、これについては5年毎の見直しを法定化するということでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理法とか、再生資源利用促進法の改正法案、あるいは容器包装法、建築廃材リサイクル法等々ございますけれども、それの基本方針がそれぞれ定められますが、それのベースにしていこうというねらいでございます。

今度は6番目ですが、国の施策としまして、各種プログラム規定を盛り込んでおります。排出抑制のための措置、排出者責任の徹底のための規制措置、拡大生産者責任、再生品の使用促進、公害防止、原状回復に係る措置あるいは調査研究等、ここに規定したとおりでございます。

以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。続きまして、厚生省からご説明をいただきたいと思います。生活衛生局の水道環境部長、よろしくお願いいたします。

〔 厚生省 〕 資料5に基づきまして、厚生省の取組みについてご説明させていただきたいと思います。

厚生省は、ただいまの国会に廃棄物処理法等の改正案を提案しているところでございますけれども、それの説明の前に、背景といたしまして、資料の14ページからご説明させていただきたいと思います。

資料の14ページは、廃棄物の排出量を一般廃棄物、産業廃棄物について示したものでございまして、一般廃棄物については年間 5,300万トン排出されまして、その内訳は、容器包装、厨芥、紙などで大体8割を占めるという状況になっております。産業廃棄物については年間排出量が4億 2,600万トン、そのうち汚泥が半分、動物へん尿、がれき、鉱さい等で9割近くを占めるという状況になっております。

15ページをご覧いただきたいのですが、これは平成5年度以降の不法投棄の件数及び量の推移を示したものでございます。棒グラフの方が不法投棄量で、これを見ていただきますと、年間40万トン前後で推移している。それに対して不法投棄件数は、平成5年から平成10年で約5倍に増大しておりまして、投棄量は増えてはいないのですが、投棄件数が増えているということは、別の言い方をすれば、小口化、悪質化しているという状況になっているということでございます。

16ページですが、不法投棄された産業廃棄物の種類が左のグラフに載っています。がれき、木くず、廃プラスチック、汚泥等でございますけれども、排出原因としては、建設物の解体工事に伴うものがかなり多くを占めております。右側のグラフは原状回復の状況でございまして、こうして不法投棄された不法投棄物がどのくらい原状回復されているかということで、黒くハッチを掛けましたところ、3分の1程度が回復されている。残りの3分の2は、不法投棄されたままの状況になっているということでございます。その理由でございますけれども、不法投棄した者が、資力がないとか、指導に従わないとか、投棄者が不明である、こういう理由によって不法投棄がそのまま放置されている状況にございます。

17ページですが、新設の産業廃棄物処理施設の許可件数の推移を示したものでございます。左側のグラフが焼却施設、右側のグラフが最終処分場です。いずれも平成8年度をピークに最近、急激に許可件数が減っております。これは、許可要件が厳しくなっているということもございますし、周辺の住民の反対運動が強くなって設置がなかなか難しくなっているという状況もございます。いずれにしても、最近、新規の許可件数が著しく減っている状況にございます。

18ページをご覧いただきますと、最終処分場について、左側が残存容量、右側があと何年でいっぱいになるかという残余年数を示したものですけれども、急激に右肩下がりで推移してまいりまして、右の表の残余年数で見ますと、平成11年度の段階では残りが 1.6年というところまで落ち込んでいるという状況にございます。

19ページですが、こうした最終処分場の逼迫等から、一方で、処理施設を整備するということをやっていかなければいけないのですが、処理施設の整備と同時に、廃棄物を減らして、埋め立てる物を減らしていかないと、こうした状況に対応できないということから、廃棄物の減量化の目標量というものを昨年、ダイオキシン対策関係閣僚会議で、9月28日に決定したところでございます。内容でございますけれども、その下の方に書いてございますように、一般廃棄物については、排出量を5%削減する。再生利用量を10%から24%に増加する。再生処分量を半分に削減する。産業廃棄物については、排出量の増加を13%に削減する。再生利用量を42%から48%に増加させる。最終処分量を半分に削減する。ということで、いずれも半分。これは時期が平成22年ですけれども、22年までには最終処分量を半分に削減するという計画を出したところでございます。

こうした状況を受けまして、今回、私どもが考えております法律改正は、3 つの大きな点がございます。1点目、非常に立地が困難になってきています産廃処理施設の整備を促進すること。2点目、依然として後を絶たない不法投棄に対して適切な対応をとる。3点目、他の関係法令と協調しながら、循環型社会を形成するための枠組みを作る、この3つの点を柱に考えております。

具体的な改正の内容でございますが、これも絵で説明させていただきます。4ページからでございます。廃棄物対策の基本的方向でございますが、これは今、環境庁の方からもご説明がありましたように、排出抑制、再使用、再生利用というものの組み合わせで、廃棄物の減量化を図るということですけれども、こういうことをいくらやりましても、最終的には廃棄物が全くゼロということはございませんので、残る廃棄物については適切な処理を行う。これについては、排出抑制、再使用、再生利用、あるいは適正な処理それぞれにつきまして、事業者、国民に対しても応分の負担責任を持っていただくことが必要だと考えております。

5ページですが、先ほど申し上げました廃棄物の減量化の目標について、どういうメニューで対応するかということを示したものでございます。左側、「今後の取組の考え方」ですけれども、行政、事業者及び消費者がそれぞれの役割に応じ、廃棄物の排出抑制に努力することが重要だろう。2番目に、減量化に関する各種制度の円滑な施行。3番目に、減量化をさらに推進するための新たな方策の検討、こういうメニューを考えております。それから、一般廃棄物、産業廃棄物については右側に、それぞれの廃棄物毎に減量化、リサイクル等の対策を講じるということを記しております。

6ページですが、今回の廃棄物処理法の中での減量・適正処理の計画的な推進の枠組みを示したものでございます。国が基本的な方針を作成する。これは、廃棄物の減量など適正処理に関する目標と方策を示すということでございます。これを受けまして、都道府県が廃棄物の処理計画を策定し、その処理計画に沿って都道府県の区域内における廃棄物の処理の適正化あるいは施設整備などに都道府県は努める、こういう枠組みになっております。また、都道府県の廃棄物処理計画と連動しまして、多量排出事業者には減量政策を設定させるという枠組みになっております。

7ページは省略いたします。

8ページですが、特に産業廃棄物処理施設の整備がとどこおっていまして、これに対して、従来、産業廃棄物の処理施設の整備というのは民間の処理業者に任せてきた面が多かったわけですが、これについては今後、地方自治体、特に都道府県の関与をもっと強めていく必要があると考えています。そのために、都道府県が関与する枠組みとして廃棄物処理センターというもの、既にこうした枠組みはあるのですけれども、この枠組みがなかなか活用されていないという状況から、廃棄物処理センターは都道府県が民間事業者と共同して設立した財団法人という組織形態で行う産業廃棄物の処理の組織のことを言っているわけですけれども、これにつきまして、設置主体については、今までは地方公共団体だけでありましたのを、国の出資または拠出というものを含めるということ、それから、経営形態についても、財団法人だけでなく、株式会社とか、PFIという形態も含めるというふうにして、経営形態をかなり自由化させたいと思います。それから、扱う物についても、今の仕組みではかなりの制限がございましたけれども、これについても制限を撤廃して、こういう処理センターの枠組みを使いやすくしたいと考えております。

9ページですが、産業廃棄物の不適正処理が横行しているということを申し上げましたけれども、これの適正処理のための施策の方向づけについて、大きく3つの枠組みを考えております。1点目は、産業廃棄物の不適正処理対策ということで、これは規制の強化ということが中心になりますけれども、そうした不適正処理対策を講じます。2点目に、右の方にありますけれども、公共関与による施設整備の推進ということで、枠組みとして、ちゃんと処理できるような受皿を用意します。3点目に、下の枠ですけれども、施設許可等の規制強化。特に暴力団などが、こうした事業に参入してくるということもありますので、今回は暴力団の排除規定も新たに設けさせていただきました。

10ページですが、産廃の適正処理の1つの目玉としまして、産業廃棄物管理票制度。これはマニフェストという、宅急便などに付いています綴り伝票ですけれども、これを改善したいと考えております。現在でも、排出事業者は廃棄物の排出と同時に、このマニフェストを添付しなければならないのですが、現在のマニフェストは中間処理業者のところで一たん切れていまして、2つの流れになっております。この流れを一本化することによって、最終的に適正な処分が終了したことについて、排出事業者まで写しを戻すということで、排出事業者は、最終的な処理が終了したことを確認できるような仕組みにしたいと考えております。

11ページは省略いたします。

12ページですが、不適正処分に関して、現在でも、不適正処分を行った者に対しては原状回復等の措置命令をかけられることになっていますけれども、先ほど申し上げしたように、これかなかなか機能していない。3分の2ぐらいの不法投棄が放置された状態になっているということで、措置命令の対象者について、追加をしたいと考えています。右の枠の下の方ですけれども、マニフェストの写しの送付を受けない場合、例えば、先ほど申し上げましたように、最終処分が終了したことを排出事業者が確認するようにマニフェストが返ってくるわけですが、マニフェストが返ってこないようなときに、それに対して適切な措置を講じなかったようなケース、それから、排出事業者が業者に契約したときに適正な対価を負担しないような場合、あるいは不法投棄などが行われることを知り、また知ることができたのにもかかわらずそれを放置したような場合、こうした一定の注意義務について、排出事業者がこれを怠った場合には、その排出事業者も、措置命令の対象者として加えていきたいと考えております。

13ページですが、これは別の法律でございまして、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律というのがございます。これは、産業廃棄物の優良業者、優良施設の整備のための特別促進法ですけれども、これも現在までなかなか利用が進んでおりませんので、この特定施設の指定要件等について大幅に緩和しまして、民間のベースでも産業廃棄物の適切な施設が整備しやすくなるような枠組みを用意したいと考えたところでございます。

以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。それでは続きまして、通産省から説明をいただきたいと思います。環境立地局長、よろしくお願いいたします。

〔 通産省 〕 それでは、資料6ー1から資料6ー4まで、簡単にご説明させていただきます。

資料6ー1、資料6ー2は、私ども、産業構造審議会で昨年夏に取りまとめていただいた「循環型経済システムの構築に向けて」の報告の前文と概要でございます。

資料6ー3は、消費者の手に渡ってから廃棄物になっていく、あるいはリサイクルされるものの中の主なものについて、文字が細かくて恐縮でございますけれども、左の方を見ていただきますと、一番上のスチール缶からガス導管まで、どのくらいの量が出ていくのか。それがどういう素材で作られているのか。それを処理するのは容易か困難か。その製品の特徴としてどこで使われ、耐久性はどのくらいあってどのくらいの期間使われるものであるのか。さらに、一番右の方のブロックですけれども、現在、事業者においてどのようなリサイクルあるいはリデュース、リユースの取組みがあるのか、というものを概括まとめたものでございます。これは関係の業界団体あるいは消費者団体に大変なご苦労をいただいて取りまとめたものでございまして、昨年の夏の、ある種の見取り図だと考えております。

今日、主としてご説明申し上げますのは、資料6ー4の法律の改正案のご説明でございますが、先ほど、厚生省の方からご説明があった資料5の14ページを再利用させていただきまして、一般廃棄物、産業廃棄物の中で、私たちが今回の法律で扱おうとしているのがどのくらいのものであるか、もう一回おさらいさせていただきますけれども、一般廃棄物のうちの厨芥類、これは主として生ごみと言われるものだと思いますが、約3割弱というところでございます。容器包装、紙類が非常に大きな部分であります。容器包装については、先ほど環境庁からご説明がございました、容器包装リサイクル法の中で取組みが始まっております。紙については、後でご説明申し上げます。その他の中ですけれども、約2割ございますが、この中の半分ぐらいが車、これが約10%、 500万トン強、タイヤまで入れれば 600万トン強という状況でございます。あとは細々しておりますけれども、家電製品、これが80万トン程度。家具、これも同じぐらいで、2%ぐらいになります。医療品も約2%ぐらい。その他が、パソコンであったり、ガス機器であったり、非常に雑多な廃棄物というものになってまいります。

産業廃棄物の方にまいりますと、これは物による分類というよりは、業種による分類ですけれども、建設廃材が約2割、農業系の廃棄物が約2割、それを除きますと、いわゆる鉱工業、電気、ガス、上下水道といったところ、上下水道は私どもの担当ではございませんので、それを除きましたユーティリティ関係と鉱工業を合わせますと、産業廃棄物の排出の約半分ということになります。

したがって、私ども主として取り組んでまいりましたのが、一般廃棄物の中の、先ほど申し上げました7割ぐらいの部分、それから、産業廃棄物の中の半分ぐらいの部分ということでございます。

さて、再生資源の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、資料6ー4に入らせていただきます。これは、先ほど環境庁の方からご説明がございました資料4ー1でまいりますと、2ページの3というところ、循環型社会形成推進基本法においては処理の優先順位を決めるのだということが書いてございます。1番から5番までありますが、5番目の適正処分については、今、厚生省からご説明がありましたけれども、私どもが取り組んでまいりたいと考えておりますのは、1)、2)、3)、まず廃棄物としての発生の抑制を図っていこうではないか。さらに、発生したものも、一部または全部を再使用しようではないか。それがそのまま使用できない場合は、原料まで戻す、これが再生利用ということですが、そういったものに取り組んでいこうということでございます。

資料6ー4の3枚目に「新たなスキーム」と書いてあります。これでご説明いたしますが、まず、現在の再生資源利用促進法、これは1991年(平成3年)にできた法律でございます。それから9年たちました。この中では、およそ4つの対策がとられました。そこに書いてございますけれども、一番上に、「回収した製品等を原材料として再利用する」。これは3つの業種が指定されていまして、紙、ガラスびん、建設。そうした3つの業種、いずれも素材系の業種でございます。ですから、自ら作ったものが素材として返ってきたときに、それを処理する能力を有する業種、そういうものでございます。また、この3つの業種は、既にこの法律ができる以前から、リサイクルがある意味で進んでいた業種でございます。

例えば、紙について申し上げますと、そこに「古紙利用率56%」と書いてございますが、紙は日本で年間約 3,000万トン生産・消費されております。 3,000万トンの紙を作るときに、どの程度リサイクルされてきた紙を使うかというのが、再利用率というので、平成12年度に56%ということを目標にしておりますが、これはほぼ達成しております。ですから、6割方、新しい紙を作るときに古い紙から作っているという恰好でございます。ご承知のように、紙の原料のチップまたはパルプというもののかなりを輸入に頼る部分がございます。そういったことからも、これは進めてまいらなければと考えております。

紙についての問題点は、よく言われることですけれども、市況業種でございますので、古紙が余ってみたり、足らなくなってみたり、紙の消費あるいは古紙に対する需要の高まり、あるいは古紙を嫌うという嗜好等々によって、その年その年、バランスが崩れるということがございます。約2年ほど前に、バランスが崩れまして古紙が余るということでございましたけれども、最近は、幸いでございますが、古紙を使おうではないかという機運の高まりと、古紙を使っても品質においてそう遜色がないというものをつくり出す技術の開発というものが相まって、現在のところ、古紙がむしろ逼迫ぎみという形で推移しております。ただ、今後、古紙の回収がさらに進む状況を予測してございますし、現在の状況がそのまま平和裏に続いていくかどうかということについて、必ずしも楽観ができません。ますます古紙を使っていかなければいけないと思っています。

先ほど、環境庁の方から、裏表コピーするんだという話がありましたが、恐らく、3省庁とも、古紙から作ったリサイクル用紙をコピーに使っている。私がご説明しているのは、通産省の古紙を使ったコピー用紙でございますけれども、今日のは非常に白いきれいな紙でございまして、ぜひ古紙のリサイクルコピー用紙を使っていただくと、また56%に上がってまいりますので、よろしくお願いいたします。

そういった素材業種を中心にしましたリサイクルを1つ進めてまいりました。

2つ目のところに「リサイクル配慮設計」とございます。これが20品目あるのですけれども、主として機械製品、産業の中では下流分野に属する業種を中心として指定してございます。この人たちは、自らが素材をつくり出すことはできない。素材を買って、機械・製品をつくって売っているという業種でございます。したがいまして、この人たちの責務というのは、リサイクルがしやすいように設計をすることだろうと、9 年前にこういう指定をしたわけであります。

3番目が、「分別回収のための表示」ですが、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、ニカド電池という4品目が指定されています。これは9年前のこの議論があったときに、スチール缶、アルミ缶の区別ができない。これは当時、30%前後のリサイクル率でしたけれども、リサイクルを進めるためにスチール缶とアルミ缶の区別がしやすいようにすべきではないかということで、この4品目とも、消費者にとって区別が難しいけれども、リサイクルを進めるためには分別回収が大きなキーポイントである、そういうものであります。ここで表示がされたからということだけではないと思いますが、その後、自治体の協力、あるいは消費者の協力で現在、スチール缶、アルミ缶ともに7割から8割のリサイクル率を達成するまでに来ております。今なおリサイクル率は、少しずつではありますけれども、上昇しております。

最後が、産業廃棄物に関連する部分でありますが、産業廃棄物の中で非常に大量の副産物を発生する業種、例えば、鉄鋼業、火力発電を中心にした電力業など、3業種指定してございます。そういうものをできる限りリサイクルしていこうということであります。

1つ、例示でご説明申し上げますと、鉄鋼業で、鉄鋼スラブというものを指定してございます。鉄鋼業、近年で、九千数百万トンぐらいの粗鉱を生産するのに、 3,500万トン前後の鉄鋼スラブが出てまいります。これは産業廃棄物の中の単一品目では最大の重量であります。これをそのまま捨てることはとてもできない相談でありまして、この法律ができる以前より鉄鋼業においては鉄鋼スラブのリサイクルを進めていくという試みが行われてまいりまして、大変大きな実績を上げております。この法律と相まって、JISでの指定、あるいは建設省にも協力をお願いして、建設用資材として採用する、そういったことを進めてきまして、年によって違いますけれども、現在98%から99%までのリサイクルができるようになってきた、そういう実績が上がっているわけでございます。

現行法の説明が長すぎましたけれども、この平成3年の再生資源利用促進法の左の方に、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法が書いてございます。これは先ほど、両省庁からご説明がございましたけれども、家電あるいは容器包装という単一のカテゴリーのものにつきまして、特別の法規をもって処理していくということでございます。再生利用促進法は事業者に責務をかけていく、そういった形の法体系になっております。

一方、家電につきましても、容器包装につきましても、自治体、あるいは流通、製造、消費者といった関係者間の義務、あるいは金銭の授受というものが発生してまいります。そうなりますと、それは再生資源利用促進法ではなく、別途の法律で処理をしていく。こういう考え方で、平成7年に容器包装リサイクル法が、平成9年に家電リサイクル法がそれぞれ制定されて、関係省庁協力ですけれども、容器包装リサイクル法については今年の4月1日から完全施行、家電リサイクル法については来年4月1日の施行を目指して準備をしているところであります。

さて、再生資源利用促進法の方に戻りますが、「法改正」という矢印が付いておりまして、下へ伸びております。一番右の部分、原材料としての再利用、これは「リサイクル対策の強化」と書いてありますように、現在の再生資源利用促進法、私どもは通称「リサイクル法」と呼んでおりましたが、これの発展形がそこに入っているわけです。ここで大きな発展形は、事業者による製品の回収とリサイクルの義務づけ、パソコンあるいは小型二次電池(ニカド電池のようなものです。)、そういったものを今、事業者と検討を進めてているわけでございます。

これは、例えば、家電リサイクル法ができましたときに、なぜパソコンを指定しなかったか、そういう質問が相次ぎました。これは詳しくご説明すれば、たいがいご理解いただけたのでございますので、家電は買ったときに、前のを大体、お店に返す。そのルートを活用しない手はない。そんな形でございます。あるいは、自治体が回収した家電も、家電のお店に、あるいは事業者に返していく、そういうことも行われてきたわけでございます。一方でパソコンの方はそういう習慣がまだ確立されておりません。家電のお店に返す、あるいはパソコン店に返すという習慣がございません。また、パソコンのうちの7割は、一般家庭ではなく、事業所で使われております。そういったものは通常、リースまたはレンタルで、リース会社、レンタル会社へ返っていくという、家電とは全く違ったルートがございます。そういったことから、家電リサイクル法の中にて、いきなりパソコンを持ち込むというのは、いらざる混乱を招くかもしれない。やるとすれば、パソコンはパソコンで別途の取り組みが必要なのではないか。こういうことで、その後、検討を続けてまいりまして、今度の新しい法律の中でパソコンのような取組みが、あるいは小型ニカド電池のような一般の家電とは違った取組みがされているものについても、対応できるようなことがないかということで、ここに追加しているわけでございます。

また、今までありましたスチール缶、アルミ缶の表示をして、ある種成功してきたわけですけれども、紙やプラスチックについてもそういったものをしていこう。これが「リサイクルの強化」ということでございます。

左の方に「廃棄物の発生抑制」と「部品等の再使用」がございます。先ほど、環境庁からございました、循環型社会形勢促進基本法の中で、リデュース、リユースというものが非常に重要であるということがうたわれるわけですが、これに対応して、リサイクル法改正の中でも、廃棄物をそもそも発生抑制していく、あるいは発生したものについても再使用していくことを考えようということをここに盛り込んだわけでございます。

車を例にご説明申し上げたいと思いますが、車については、例えば再利用。現在でも、廃車になりましたものから、車全体が中古車として使用されているのはご存じのとおりでして、これも再使用ですが、ここで特に進めたいと思っていますのは、部品取りのようなものです。車が、 500社といわれます修理屋さん、あるいは 5,000社といわれます解体屋さんのところに回りますと、そこで非常に大きな収益の源泉になるものが部品取りでありまして、現在、 1,000億円内外の市場がそこには存在すると言われております。ただ、これでも諸外国に比べれば、まだまだ一桁小さいという状況であります。これを促進していくことが廃棄物リサイクルにまわる量を減らすことにつながるわけですので、ぜひそれを進めたい。そういうことで、「リユース」のところに自動車を書き込んでございます。

ただ、それをするためには、部品の共通化、あるいは材質をいたずらに多品種使わないという努力も必要になってまいります。これは製造者側で努力してもらわなければいけない。あるいは、取り出した部品をうまく流通させていく、これはそういった中古部品の流通段階にいる事業者たちの努力が必要になってまいります。

全体としての制度を作り上げるという意味では、私たちもお手伝いをしなければいけないと考えております。それが再利用の部分であります。

このほかに、パソコンあるいは複写機、ぱちんこ台等でそういうことができるのではないかと、代表例でここに書かせていただいております。

リデュースの方で申し上げますと、自動車につきましても、安全性を損なわない範囲で、そこに使われている素材を少なくしていく、あるいは軽くしていく、減量化していく、そういう努力が必要だろうというのが第1であります。第2は、同し製品が10年の耐用年数、寿命であったものを11年にすれば、年間のごみの発生量、廃棄物の発生量というのは1割減になるわけです。そういう意味で、設計上の長寿命化設計をすること、あるいは修理・修繕体制を充実することによって長期間使えるようにすること、そういった試みがここでされるべきではないかということで書いてございます。車、パソコン、大型家具、ガス・石油機器、ぱちんこ台、家電等、いわゆる処理が非常に難しい、自治体においても頭が痛いというものを中心にここに書かせていただいております。

以上が一般廃棄物関係であります。

そのすぐ下が副産物の対策でありまして、副産物は、一番右のリサイクル対策があったわけですが、これに加えまして、副産物についてのリユースというのはございませんけれども、一番左の発生抑制対策のところで、例えば、鉄鋼スラブ 3,500万トンと申し上げましたけれども、これを粗鉱1トン当たりの原単位として減らしていくというような努力も、技術開発を、あるいは設備投資をしてやっていくことを考えているわけです。

この法律は、これまではリサイクル法と言っておりましたが、リサイクルだけではないという意味で、一番下にございますけれども、「資源の有効な利用の促進に関する法律」と名称を変えていこうということで、現在、国会で審議をいただいているところでございます。

長くなりまして、失礼いたしました。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。ただいまご説明のありました、循環型社会について、ご質問、ご意見をお伺いしまして、最後に各省庁の方からまとめてコメントをいただきたいと思います。

〔 G委員 〕 消費者団体としても、リサイクルというのでしょうか、循環型社会は大変関心をもって、これまでもいろいろな活動を進めてきておりますので、その観点から、3省庁それぞれに。

まず、環境庁ですけれども、循環型社会形成推進基本法のご説明で、資料4ー1の2ページの4「国、地方公共団体、事業者及び国民の役割分担の明確化」で、「拡大生産者責任」という言葉が使われているのですけれども、これは一般原則の確立ということですけれども、私どもが、生産者が責任があるのではないかという話を従前からしているのですが、使用する消費者にも責任があるのだということで、分担論というのでしょうか、事業者だけの責任ということでは書けないということを、ずっと言われてきていたように思うのですけれども、ここはうまく整理をされたのかどうか。

通産省のご説明を聞くと、法律改正で義務づけが事業者にかかるものがかなり多くなっていますので、政策的には一応生産者責任で貫徹をするというのでしょうか、そういうふうに政府の施策としてはなってきているのかどうかというのが1つです。

それから、厚生省ですけれども、厚生省の管轄では、実際に廃棄物、私どもの家庭からすると一般廃棄物になるのですけれども、これが4月から、東京都内でいえば、かなり変わって、資源ごみの回収というのが巻き返した形で入ってきているのですけれども、行政が回収をするのと、事業者が回収するという、ここの責任分担と、コストの負担というのがどのようになっているかということ。例えば、アルミ缶とかスチール缶の回収は競合しているのです。事業者が販売店を通じて回収をしているのと、行政の廃棄物の回収で資源ごみとしての回収部分というのがあります。それから、新聞紙なども、今までは販売店が1カ月に1回、日を決めて回収に入っていたのが、これも紙の資源ごみとして、月に2回行政の方でもやるということになって、これについては新聞の販売店の方からアンケートが取られて、どちらに出されますかということと、どちらで回収の責任を取るべきだと思われますかというアンケートを、2月ぐらいに、私は家庭で受け取ったことがあるのですけれども,そのあたりの事業者と行政との回収責任の負担と、コスト負担については、どのように整理されつつあるのかということです。

通産省ですけれども、通産省は、最後のご説明の部分で、法律の名前も「リサイクル法」から「資源の有効な利用の促進に関する法律」と書かれて、かなり厳しい義務づけが条文としては入るということですが、私としては、資料6ー4でいえば、製品対策の中での設計の義務づけ、それから回収リサイクル推進のための義務づけ、これはリンクされた形でないと、せっかく設計はリサイクルが可能になっていても、回収されなければ意味がない。そのあたりと、1)と3)とは、将来的にはリンクをさせていかれるのかということが1つです。

2つ目は、通産省と厚生省とに、何年か前にたびたび両方の省庁をまわって感じていることですけれども、こういったリサイクルの事業というのは静脈産業というような言われ方をしておりましたけれども、将来的には、静脈産業はコスト的に成り立っていくのかというところは、現状、どのように見えるのかということ。

それから、3省庁に共通してですけれども、省庁再編の中で、この3つというのはうまく有機的に結びついていって、法律として機能していくのかどうか。これは、3省庁に関連をして質問したいと思います。

以上です。

〔 H委員 〕 1つ、単純な質問ですけれども、資料4ー1で廃棄物処理施設の残余年、これは産業廃棄物で 3.1年、最近のデータで 1.6年だそうですが、地域的にどう見ているのでしょうか。廃棄物というのは、鹿児島のを北海道に持っていくわけにいかないわけで、そこら辺をどう取っておられるのか。全国で発生したものを入れるもので単に割ったものなのかどうか。そうでないとするならば、地域的に取っているとすれば、残余年数というのは、一番小さいところなのかということが1つです。

いずれにしましても、処理施設がもう足りなくなる。今日のテーマに外れるかもしれませんが、循環型社会ということでこういう法案を作り、これは絶対必要なことでしょうが、なおかつ当面の問題として廃棄物処理施設の建設ということが1つの大きな問題だと思います。その場合、いわゆる迷惑施設ですから、地元の住民にしろ、地方公共団体にしろ、どうしても反対ということになる。特に最近は、広域的に処理しなければならないというところで、そこら辺の立地について合意形成ができるような、ルール化といいますか、具体的にどういう対策を取ったらいいのかわかりませんが、地方公共団体が非常に苦労しているわけですから、何かそういったことの合意形成が図れるためのルール化、ほかの対策を含めての何かそういったものを用意できないものかどうか。意見にわたるかもしれませんが、そういうことです。

〔 I委員 〕 1つだけ質問させてください。どなたに申し上げてよいかわからないのですが、循環型社会を考える場合に、廃棄物の減少とリサイクルというのに加えまして、生産とか、消費とか、それから廃棄物処理の過程で出てくる、水とか、空気とか、土の汚染防止ということが大きなことだと考えています。また、この汚染防止の技術の開発というのが大きな市場にもなるのではないかと考えられますが、今日のご報告の中で、この汚染防止というのはどこに含まれているのか、その位置づけがよくわからなかったので、それについてご説明いただきたいと思います。

以上です。

〔 J委員 〕 産業廃棄物の問題というのは、まず出さないというのが1番なのでしょうけれども、出てきちゃったものをどうするかという、入口と出口の問題があって、まず出口の話からしたいのですけれども、今まであまり一生懸命、言葉はあれですけれども、本気になって取り組んでこなかった分野だけに、この分野というのは、いわゆる新しい技術とかアイデアというのが活かされて、いわゆるベンチャー企業というのが活躍し得る分野だと思うんです、産業廃棄物リサイクルというのは。ところが、実際にそういう試みをやってみると、先ほど説明がありましたけれども、リサイクル産廃業者というのは、ちょっと適当な言葉が見つからないのだけれども、既存の事業者がやっているという部分がかなりあって、参入が非常に難しいという分野が実際にはある。そこを、何とかしなければいけない。

さっき、暴力団という言葉が出てきましたけれども、そういう分野というのは、ちょっと怖い分野があって、実際に私どもが応援して、この分野に若い人たちを導き入れようとしても、なかなかそれができないという問題が1つあるのです。そこを、行政の方でどういうふうにやってやるかというのは、かなり大きな問題だと思います。

それから、今度は入口の方ですが、厚生省の資料の14ページにありましたけれども、ふん尿が 9,400万トン、例えば牛乳1リットル作るのに2リットルのふん尿が出ると言われていて、 9,400万トンのうちの、おそらく半分近くは北海道です。かなりな分量です。毛利さんが宇宙から地球を見て、地球はまだ青かったと言ったのだけれども、あと10年したら、関係業者に言わせると、処理できないふん尿だらけになって、そういうふうには見えないだろうという話があったのです。

例えば、日本の酪農のあり方とか、そういう産業のあり方というのをトータルに考えないと、例えば、牛に、うんこするなと言ったって、これはできない相談なわけです。だから、産廃ということだけで考えないで、少し広く考えないと、入口の問題というのは解決できないのではないかと思います。

〔 B委員 〕 ちょっと似ている点もあるかと思いますけれども、行政の責任、事業者の責任の話もありまして、省庁再編の話もありましたけれども、今までは、こういう問題は行政方法で取り組んだということだと思いますけれども、これからは、省庁再編になりますし、市場方法で取り組まないといけないのではないかと思います。

質問ですけれども、どういう割合で行政の方法でやるべきか、どういう割合で市場の方法でやるのかということは、かなり大事な質問ではないかと思います。

今数えましたけれども、この部屋の44人ぐらい、中央官庁の方がいらっしゃると思いますけれども、10年先はそれが33人になります、4分の1削減ですから。そういう中で、こういう非常に大事な問題をどう取り組むのかということになりますから、市場方法をどういうふうに取り入れてやるかということがかなり問題ではないかと思います。

〔 D委員 〕 1つは、数年前ですけれども、ウェストインターナショナルというアメリカの会社が日本に入ろうとしたわけです。こっちで産廃処理をやりたいと。それが地方公共団体の規制とか、先ほどJさんなどのお話のあった暴力団とか、そういう話があって結局断念したわけです。

そこで質問は、こういう規制を事業者その他にやるのはいいのですが、地方公共団体のこの問題に関する規制緩和、それは一体どういう具合になっているのでしょうかということであります。

第2点は、これはプリミティブな質問ですが、回収義務が事業者にかかるわけですけれども、これはメーカーにかかるのでしょうか。そうだとすると、輸入業者みたいなのはどうなるのか。それから、パソコンなんか、だんだん個人輸入などがあると思うんですが、そういうのはどうするのか、その辺を教えてください。

〔 K委員 〕 簡単な質問なのです。私、ちょっと聞き漏らしたかもしれません。

厚生省さんの資料の5ページ、ほかのページにもあるのですが、目標の年次が平成22年度という表示があるのですが、この平成22年度という目標の年度の決め方は何か意味があるのでしょうか。それだけです。

〔 C委員 〕 3省庁ではなくて、経済企画庁にお聞きしたいのですが、3省庁がこうした循環型社会を作るためにいろいろな法律を準備される、細かい問題は非常に議論があるのでしょうけれども、これはこれで大変結構なことで、積極的に推進しなければいけないと思いますが、それをずっと推進していっても、結局は元へ戻るのは、リユースだと思うんです。ですから、発生をいかに抑制するかということが問題だと思うんですが、その場合には、さっきGさんもちょっと言いましたが、バランスの問題ではあるのですが、こうした循環型社会ということで再利用だとか再使用ということが明確にできるようになった後は、さらに減らそうとすれば、結局のところは発生抑制しかない。

一般廃棄物の場合には、消費者の行動というのが非常に問われると思うんです。そこで、国民生活審議会など、そうした消費者行動についての循環型社会への対応というのは、私はその審議会の委員ではないのですが、どんな議論の方向にあるのか、お伺いしたいと思います。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、3省庁の方から、それぞれの委員の皆さんのご質問に対してお答えをいただき、最後に企画庁サイドから、今のご意見に対して、管轄の局が違うかもしれませんけれども、お願いします。

〔 環境庁 〕 環境庁に関連する部分につきまして、お答え申し上げます。

最初に、G委員から、生産者の責任を重視するのか、排出者の責任を重視するのか、端的に言いますとこういうことでございます。

この法案におきましては、拡大生産者責任については、国、地方公共団体、事業者、国民の役割分担というものを1つの要件とし、そして、物資につきましても、それに乗り得るような重要な物資という形の条件は付しております。それは、法案の中身でございます。

ただ、私どもとしましては、そういう条件の下において、拡大生産者責任というのは、機の熟したものから順次、投入されていくべきだろう。ドイツ循環法でもそういう形になっております。一般的な責務を法案に書きまして、機の熟したものから、個別法を定めまして対応していきたいということでございます。私どもも、そういうメカニズムを追求していきたい。

問題は、拡大生産者責任を追求すれば、生産者はリサイクルに伴うコストを、当然ながら、製品の中に実現しないと対応していき得ないという点は、お考えいただきたいと思います。

一方におきまして、排出者に、国民、事業者が、分別収集に協力いただくとか、そういう規定もきちんと置いております。いわばちょっとした参画によって非常に大きな効果を得るという排出者の責任というものは、私どもはきちんと追求していきたい。それは、税金が上がるか、自分の参画によってそれを抑止するか、こういう選択の問題であろうと思います。その辺はお考えいただきたいと思います。

ちょっと郊外へ行ってください、テレビがぶん投げられています、ベッドのスプリングがぶん投げられています、そういう実態です。したがって、排出者の責任というのは非常にきちんと問うていかないと、放縦の社会になるということだけは、ご理解賜りたいと思います。

その次に、H委員から、残余年数の件について、地域分布のお話がございましたけれども、具体的には厚生省の方からお話しいたしますけれども、首都圏については、もっと非常に厳しい状況にあるということでございます。

その次に、I委員から、要するに廃棄物、リサイクルの側面からしかアブローチしていないけれども、生産に伴ってのいろいろな、水・空気・土壌汚染等への対応はどうなっているのかということでございますが、基本法の16ページ、21条において、「原材料等が廃棄物等となることの抑制並びに循環資源の循環的利用及び処分を行う際に環境の保全上の支障を防止する」措置ということの一般的規定を置き、これを踏まえまして、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、農用地の土壌汚染防止法等々を活用しまして、きちんと手当てをしていこうということでございます。また、22条において、不適正な不法投棄等が行われた場合においては、その原状回復についての責務を置いているという形で、公害防止という観点についてはきちんと整理させていただいております。

その次に、Bさんが、市場メカニズムの活用による対応というのが今後、非常に重要になるだろうということ。私も、基本的な流れとしてはそうだと思います。ただ、こういう問題が出てきたのが、市場メカニズムの結果の外部不経済であったという側面も考えながら、規制と市場メカニズムの活用とのバランスをどういうように考えていくのかというのが、非常に難しい政策分野だということはご理解を賜りたいと思います。

私の分野は、あと足りなければ、また補足いたします。

〔 厚生省 〕 厚生省の方から、関連するご質問等に対してお答えしたいと思います。

1つは、G委員から最初にあった、資源ごみの回収の責任分担、役割分担の観点ですけれども、今、ほっておいて、現状においてマーケットベースで流通しているものというと、古紙とか、缶、ビン、鉄くずとか、特定のものはマーケットの中で流通しております。こうしたものは、基本的には自治体は手を出さない。自治体が手を出しているケースは、むしろ地元の業者を利用するとか、再生利用業者が地元にいて、そういう個別の事情によってやっているところはありますが、基本的には市場で流通しているものは、市町村の責任にはなっていない。

ただ、それ以外のものについてどうしているかということですが、基本的には、今、事業者の全面的な負担というもので動かそうとしているのは、多分、ないと思います。基本的には、責任分担論でやっています。例えば、今年の4月から、容器包装リサイクル法が全面施行されたわけですけれども、これについて分別排出は消費者の責任、分別収集が市町村の責任、それの再資源化というのが事業者の責任ということです。ですから、コストの面でも、再資源化のコストについては、事業者が負担します。事業者の負担分は、それぞれの製品のコストとして内部化されますから、処理費用の高い容器包装をしようしているような事業者は、その分だけ負担が多くなりますので、結果的には、その容器が高くなるということにはなります。ただし、そのコストには、先ほど申し上げましたように、消費者のコストとか、自治体が収集運搬するコストが含まれていませんので、全面的にそのコストが内部化、製品に転嫁されるというふうにはなっていないということです。

また、来年から施行されます家電リサイクル法につきましても、電気メーカーに引取義務が課されます。引取義務が課されて、その処理コストについては電気メーカーがそれぞれ負担するということになりますけれども、これについては、一部、費用として、引取コストとして、恐らく数千円ぐらいの値段を消費者から徴収することになります。多分、それでは賄いきれないコストについては、事業者が負担したものを、自分の製品の方に今度は転嫁していくことになります。これも 100%ではありませんけれども、家電製品について、処理コストを負担させることによって、そのコストをそれぞれの製品に転嫁させて、それで市場の中で競争させていって、できるだけ廃棄物処理のコストも含めて、全体の製品コストの最も合理的、効率的なものについて、消費者の選択に委ねようという仕組みになっています。

全体的にはこれから、先ほどBさんからもお話がありましたけれども、市場経済に委ねる方向で持っていきたい。市場経済に委ねるためには、コストを内部化させなければいけませんから、行政が義務づけをして、引取り義務とか、回収義務を課することによって、その事業者にそのコストを負担させ、そのコストを商品に転嫁させる。こういう仕組みをどんどんやっていかないと、何も行政的な措置を講じないと、市場経済の中ではまわっていかないのではないか。ですから、市場経済に乗せるためにも、我々としては、市場経済に乗せる条件整備のために規制をしていく必要があるだろうと思っています。

H委員から、産廃施設の残余年数の話がありました。これは全国のレベルの数字です。ただし、ちょっとお断りしなければいけないのは、これは届出が出た一定規模以上のもの。つまり、具体的に言うと、 1,000ヘクタール以上のものです。それ以下の小さな規模のものが地方に点在しておりますので、この 1.6年というのは、プラス・アルファというのが若干あります。しかし、地域的には、首都圏とか近畿圏で非常に逼迫していて、遠くの地域、東北とか北海道とかの地域は比較的余裕があるという状況でございます。

ただ、産廃施設については、とにかく産業の製品そのものが広域的にオールジャパンで流通していますのと同様に、産業廃棄物もかなり日本の枠の中で流通していまして、一般廃棄物というのは、どちらかというと地域で流通するのが多いですが、産業廃棄物系のものはかなり全国規模で流通しますので、地域差というよりも、むしろ全国的な数字で理解していただいてかまわないのではないか。むしろ、余っているところに、首都圏とか近畿圏の不足している産業廃棄物は、余って地域に流れていく、こういう状況になるだろうと思います。

H委員からもう一つ、立地のための合意形成という話がありましたけれども、これも非常に難しい問題で、私どもは、基本的には、施設の設置に当たって一定の手続きを踏ませること、許可要件を明確にすること、それから運営の透明性に努めることなどの一定の、周辺の人たちが見て、できるだけ透明な手続きと情報というものを示すことによって、地域の合意を得ていくことが必要ではないかと考えてやっているところでございます。

あと、行政的な手続き、ルール化はそれぞれ地元で事態が紛糾したときにはどういうふうにするかというのは、これは必ずしもルールはございません。その意見が、コンセンサスが得られるまで、合意形成のための話し合いをしてもらうということしかございません。その結果、現在、なかなか施設が建設できないという状況になっているという状況でございます。

J委員、それからD委員の方からもちょっとありましたが、産廃業者などの参入の問題でございますけれども、例えば、従来、し尿くみ取りをやっていた業者が、下水道等ができて転業をしなければいけない。一方で、ごみの収集などの業務が出てくるということで、一般廃棄物の方に参入してくる。一般廃棄物の方から、さらに産業廃棄物が非常に増えてくるということで、それを扱うようになってくるというように、どちらかというと保障的に、従来から一定の市町村の業務を行っていた事業者を、地域でそういう個別の結びつきによって支えてきたという面がございますので、この市場はオープンでないと言われるのは、地域のそうした過去の参入の経緯どなどがあって、事実上閉鎖的な面があるだろうということはおっしゃるとおりだと思います。

制度的にはそのようなことは全くないのですけれども、結局、許可権は市町村とか都道府県知事に付与していますので、地域のそれぞれの市町村長とか都道府県知事からすれば、その地域のいろいろな状況とか、過去のしがらみみたいなものも考慮して今のような状況になっているだろうと思います。

これについては、国の規制改革委員会の中ではあまり議論されておりませんで、特に廃棄物行政については、地方に下り過ぎているという、批判といいますか、意見もありまして、むしろ今、地方に下り過ぎているそうした許可権のようなものを、もうちょっと上の方に上げていかないと、今のような規制緩和に対応するような話にはなかなかならないだろうと思うのですが、一方で国では、地方自治体の方に権限を下ろすというようなことをやっているものですから、この話はなかなかすり合わせができなくて、規制緩和は進まないという状況でございます。

K委員から、平成22年はどういうことかということですが、今平成12年で10年後という、それだけのことでございます。

〔 通産省 〕 通産省のことでご説明させていただきます。

まず、G委員の、義務づけをするときには、設計と回収のリンクが必要ではないかとおっしゃった点は、誠にそのとおりだと考えております。例えば、家電は、別途のリサイクル法で来年4月から回収の義務づけがかかっていくわけですけれども、リサイクル法の方では、設計について、リサイクルが容易に進むように、あるいはリデュース、リユースの観点を入れるようにと、そういった設計上の義務づけをしているということでありますし、パソコンについては、この法律の中で一貫して設計から回収までみていこうという姿になってまいります。

これから、回収については義務づけが始まる話ですので、想像でしかものが言えませんけれども、既に、家電メーカーたるパソコンメーカーの中には、そういったことを前提とした設計を開始している、研究開発を開始しているというふうに聞いてございます。

また、静脈産業がコスト的に成り立つだろうかという話でございますが、すべての静脈産業が、コスト的に有利な産業になるかどうかというのはわかりませんけれども、例えば、鉄鋼業の一部、あるいは製紙業という業界は、長い、一部静脈産業としての性質を持ってきたわけですし、そういったものは拡大していくと私たちは考えております。

ちなみに、ご参考までにですが、通産省の勝手な皮算用で申し上げますと、現在、売上ベースで15兆円、雇用者数が64万人と言われています環境関連産業、これは非常に広く取っておりますけれども、10年後の2010年に37兆 140万人、倍以上になっていくだろうと考えておりますし、先頃発表いたしました「21世紀産業ビジョン」の中では、2025年には60兆円と、約4倍ぐらいになってくるのではないかというふうに考えております。

また、今日は手元に持っておりませんが、昨年度の産業機械の売上を見てみますと、設備投資が低調な中で、環境関連の設備投資というのは非常に旺盛で、その分でかなり潤っているという状況もございまして、こういった傾向は続いていくのではないかと考えております。

それから、Bさんの市場と行政との関係で一言申し上げれば、通産省の法律は、全てを義務化して、縛っていこうというのではございませんで、これとペアになっています「産業構造審議会ガイドライン」というのがございます。この分野というは、ものにより、業種により、非常に千差万別である。これを一律の規制あるいは一律のガイドラインで示すというのは難しい。まして、行政がこれを一律に縛るということはあり得ないと考えておりまして、まずは、その業種のことを一番よく知っている人たちが集まって議論して、そういう方向を目指すべきかということをまとめていったらどうか。あるいは、ある製品のことを一番よく知っている人たちが消費者の中へ入って議論して、製品別のガイドラインを作っていったらどうか。

そういうことで、ガイドライン作りというのをこの10年やってまいりました。その中で、抜け駆けする人がいては困るということで、一律に政府でルールにしたらどうかというものについて、この法律の中に取り込んでいっているということでございます。

最後に、D委員からお話がありました、回収の義務づけはメーカーだけかという話でございますが、メーカーもございますし、輸入業者、流通業者もございます。家電法の中でも、そういうことになっております。

個人輸入はどうするんだ、こういうお話でございますが、リサイクル法の中では、一定規模以上の生産または流通をしている人たちを対象に義務づけをしておりまして、この法律の精神というのが 100%全部伝わるというのではなく、リサイクル率を上げていこうとか、あるいは効果的な資源利用をしていこうという観点ですので、大量とか、処理困難性とか、資源利用の観点とか、環境への負担とか、そういった観点で優位なものを捕まえていこうということでありますので、例えば個人輸入した物が、日本に1台しかないようなものであれば、これは対象にならないということだろうと思います。

個人輸入したものが、例えば、1年間に1万台も2万台もパソコンで入ってくるということであれば、それは対象にしなければならないと思いますが、大概、そういう場合は日本に輸入代理店があるかなと思っております。

ちなみにパソコンのケースで申し上げますと、主だった内外のパソコンメーカーさんかみんな集まって議論しておりまして、いずれも「反対」と言う人はいない状況でございます。一部、秋葉原あたりのベンチャー系のパソコン屋さんもそれに入ってきて、むしろ、そのメンバーであるということがパソコンを売るときにプロモーションになるのではないか、そんな観点で取り組んでいるようですので、我々はそれを応援して、場合によっては公平性の観点からルールにしていくというふうに取り組みたいと思っております。

〔 環境庁 〕 G委員からの重要な質問、1点だけです。

本件に、関係省庁が有機的に対応しているかということですが、今回の基本法案作成に際しまして、関係省庁会議を作りました。それの調整上の成果物である。今後、これにつきましては計画制度を、先ほどご説明申し上げましたように作りますので、その計画制度の詰めの段階、それの実施段階におきまして、環境庁が主となりまして、各省庁と風通しよく対応してまいりたいと思います。

〔 事務局 〕 最後ですが、C委員からお尋ねの国民生活審議会での取組みでございますが、国民生活審議会はこの数年、重点が消費者契約法で、なかなか手一杯ということでございますが、少し逆上りますと、平成4年に新しい視点と発想による省資源、省エネルギーを目指してということで、ご指摘の排出物の減量化の推進ということも、排出責任をきちっと明らかにするということで減量を実現していく必要があるという趣旨で提言をまとめてございます。

また、国民生活審議会とは直接関係ございませんが、我々のところの国民生活局では、その行政の一環として、省資源・省エネルギー、あるいは地球環境ということで、環境にやさしいライフスタイルという、ライフスタイルの面からの啓発活動等を地方自治体と協力して行っている状況でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。まだいろいろとご質問、ご意見等あろうかと思いますが、本日は、前回と違いまして、どうやら時間内に終了ということになりそうでございます。本日の審議はここまでとさせていただきます。環境庁・水質保全局長、厚生省・水道環境部長、通産省・環境立地局長、お三方には本日はご多忙のところをありがとうございました。

さらなるご意見がございましたら、事務局まで積極的にお願いをしたいと存じます。

最後に、次回の日程等について事務局より説明をお願いします。

〔 事務局 〕 次回の日程ですけれども、5月18日午後3時から午後5時、この会議室で開催の予定でございます。次回は、第1回の当部会でご指摘いただきました年金について厚生省よりヒアリングを行う予定でございます。その後、当部会の報告書の取りまとめに向けまして、その骨子の案をご審議いただければと考えております。

なお、お手元に参考資料として「経済社会のあのべき姿と経済新生の政策方針の推進状況(案)」をお配りしております。これは、事務局の方で、「あるべき姿」の政策方針の具体的な実施状況を現在取りまとめておりまして、現時点での暫定的なものでございます。ご審議のご参考にいただければと存じますが、暫定版ということで、「委員限り」とさせていただいております。完成次第、また改めて当部会に提出したいと思っております。

以上でございます。

〔 部会長 〕 それでは、本日の審議はここまでとさせていただきます。長時間のご審議、誠にありがとうございました。また次回もどうぞよろしくお願いします。

── 以上 ──