第3回経済審議会政策推進部会議事概要

1.日時

 平成12年4月4日(火) 15:00~17:35

2.場所

 経済企画庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 部会長、香西 泰 部会長代理、安土 敏、荒木 襄、大田 弘子、角道 謙一、木村 陽子、嶌 信彦、清家 篤、高橋 貞巳、高橋 進、畠山 襄、濱田 康行、原 早苗、村井 純、村田 良平、森尾 稔、八代 尚宏

 (経済企画庁)

中名生事務次官、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、藤塚計画課長 他

 (ヒアリング省庁)

郵政省 稲村通信政策局審議官、小笠原放送行政局総務課長

通商産業省 林機械情報産業局次長、羽山中小企業庁計画部長

文部省 玉井初等中等教育局審議官、井上学術国際局審議官

4.議題

 ・関係省庁からのヒアリング(①情報化について、②世界への情報発信について、③創業・起業について)

5.議事内容

(1)関係省庁からのヒアリング

①情報化について

  郵政省及び通商産業省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

 (委員)

  • 日本では、情報関連の技術者、研究者がアメリカ等と比較して不足しているが、どのように技術者の不足を補足し充実させていくのか。
  • 情報技術は変化が非常に早い分野だが、多くの政策の中で、緊急性の観点から、優先度の特に高いものはなにか。
  • 新規事業創出のためにも規制緩和が重要だが、特に重要なものはなにか。
  • インターネットを利用した個人間取引の普及により、既存の物流体制の変化をどう見込んでいるのか。
  • 個人情報保護の必要性とともに、消費者保護のための施策が重要。
  • 通信と放送の融合化のため、具体的にどのように政策を変更していくのか。
  • デジタル空間は、非常にグローバルな空間であり、国内にのみ視点を向けるのでなく、アグレッシブな世界戦略が重要。
  • サイバーテロとはどういう事態を想定しているのか。また、サイバーテロに対してどういう体制で臨もうとしているのか。
  • IT革命はアメリカとヨーロッパが覇権を争っているが、日本としてはどのような国際戦略を考えているのか。
  • 接続料金は日本が高く、アメリカが安いのはなぜか。
  • 税制等の支援措置は起業のときにどの程度効果があったか。
  • 郵便局での行政のワンストップサービスは効果があるのか。パソコン等の端末を特定の箇所においても利用度が低いのではないか。使いやすさということに対して何か考えているのか。
  • 電子商取引では暗号技術の強化が大切。また、暗号技術を評価する公的機関が必要。暗号が破られたときの賠償責任のガイドラインを作ることも必要。

 (郵政省)

  • 通信と放送の融合に関して、1つのメディアを通じて情報が流れるようになるのは必然的な傾向。通信と放送は、それぞれ別の観点から法制度が構築されており、法制度を統一するのは相当難しい。制度が民間の活動の障害とならないように改革していくことが重要。
  • 日本の接続料金が高いのは、人件費、土地等のコストの差が要因の一つとなっているが、できるだけ引き下げることが重要であり、メディア間をまたいだ競争を促進する環境を整備することが重要。
  • 技術力の強化については、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)のように魅力ある研究環境を創造していくことが重要。
  • サイバーテロは重要な問題であり、早急に対応すべき。
  • 郵便局のワンストップサービスは、デジタル・ディバイド、アクセス・ディバイドの観点からも、きめ細かい対応が可能であるので重要。
  • ITは世界レベルでの動きであり、国と国、個人と個人の協力の積み重ねの上に成り立っている。
  • 日本はかつて工業分野で世界での地位を築いたが、今度は、資源を重点的に配分することにより、日本の中で情報通信に関する成功モデルを作り、それを世界に広げていくことが重要。

 (通商産業省)

  • 情報技術者の量的な不足への対応はこれまでも行ってきているが、量的な不足もさることながら質的な面で不足しているので、そのための取り組みが重要。
  • 施策の優先順位をつけるとすれば、電子商取引のルール整備と電子政府。
  • 規制緩和は全体的な課題だが、インパクトの大きさから言えば、特に、情報通信、流通、金融、労働の分野が重要。
  • 個人間取引の増加に伴い、物流もより合理的なものが残っていくということは歓迎すべきであるが、世界全体の物流がどう変わっていくのかということは考えるべき。消費者保護については、どの国の法律を適用するかという問題があるが、自主的な解決メカニズムが整備されていくようになることが必要。
  • 国際的な情報産業の競争力については、技術開発、標準化、競争的な環境の整備が情報産業を育てていくことにつながる。また、IT21(ミレニアム・プロジェクト)や規制緩和が情報産業の産業競争力を強化していくと考えられる。
  • サイバーテロは大きな問題であり、政府としてはセキュリティー関係の会議を設けながら検討を進めている。政府全体としてセキュリティー政策をたてることが必要。
  • 通信料金はできるだけ安くなってほしい。そのためには競争を促進することが必要。
  • 標準化では、アジアという観点から、各国の熟度にバラツキはあるものの、標準化に対する認識を揃えることにより、アジアでのまとまりができていくのではないか。
  • 暗号技術の評価は重要。

②世界への情報発信について

  文部省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

 (委員)

  • 英語以外の外国語教育についての方針はどうなっているのか。
  • 日本語が世界に対してどう使われていくかということにも、戦略的に考えていく必要がある。
  • 情報教育について、小・中・高とどのような流れで行っていくのか。
  • TLOは、補助金や出向者やボランティア等の支援がないと運営できないし、特許事業、技術移転のみでは生き残っていくことはできない。何か措置を考えているのか。
  • 初等中等教育段階で、基本科目を減らしてまで情報教育を行う必要があるのか。市場性のある情報技術であれば、学校で教育しなくても使いこなせるようになるのでないか。
  • 留学生の受入れに関し、他の先進諸国の受け入れ状況はどうなのか。
  • 「ゆとり」とはどういうことなのか。
  • 学者が、経済や社会の現場を知らずに教育、研究を行っていることは問題。また、現場を知らない人間が情報発信をしているのは問題。

 (文部省)

  • 英語以外の外国語教育もやっていただくよう学校側にはお願いし指導している。
  • 日本語については、国内・海外双方で普及に努めている。
  • TLOは、ちょうど立ち上がったところであり、今後、いいものにしていきたい。
  • 高等教育における日本の留学生の受入れは、他の先進諸国と比較して少ない。一層の充実を図る必要がある。
  • 研究者等が現場を知ってもらえるよう、インターンシップ、任期付任用制度等を実施している。
  • 情報教育の導入は、昭和60年頃から議論し、平成元年から選択として部分導入して成果を実証しつつ、段階的に進めてきたもの。小学校でまず慣れ親しみ、中学校で基礎を学び、高等学校でさらに発展していくという学校段階に応じて体系的に実施する。また、情報必修科目の時間数の比率は、全体の中でわずかであり、必要最低限にしている。
  • 子供たちは、時間、仲間、空間の選択に自由がないといわれており、時間的ゆとり、精神的ゆとりをもう一度学校教育の中に取り込む必要があるという認識の下に、「ゆとり」という言葉を使っている。

 (郵政省)

  • 日本語については、NHKの世界放送等、普及に努めている。
  • 情報化については、電子政府、基盤的技術とならんで教育が重要な課題である

  ③創業・起業について

  通商産業省からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

 (委員)

  • 地方には、潜在力を持つすぐれた既存の中小企業、伝統産業が多数あり、こうしたものを育成していくことがむしろ重要ではないか。情報技術と製造技術を結びつけ、それを世界へ発信することによって世界的に飛躍する企業は実例として多くある。ネットワーク化、情報技術の発信の仕方が重要。
  • 税制等の優遇措置は、創業するときどれくらい役に立ったのか。
  • 創業に対する支援の必要性や内容については、地域によって差があるのではないか。
  • 創業・起業には関心が高まっているが、どのように情報を入手していいか理解が浸透していない。もっとPRすべき。
  • SBIRの参加省庁が少ない。官公需でも、中小企業を活用すべき。
  • 現在では、多数のホワイトカラーを大企業が抱え込んでいるため、創業・起業を行う人材の供給が不足している。供給源をブロックするような施策があると、いくら起業を支援しても創業、起業につながらない。
  • 企業においても、個人のアイデアの報酬がその個人にも帰属するよう、就業規則等の企業と従業員の関係を見なおすべき。

 (通商産業省)

  • 既存企業の振興も重要。
  • 創業貸付等の利用は増加してきており、徐々に効果がでてきている。
  • 今回の中小企業政策の見直しでは、全国各地で説明会を開催した。ネットワークで全国を繋ぐことによって、地域間の情報格差にも対応できる。
  • SBIRは特殊法人等の参加もある。開始間もないので、徐々に増やしていきたい。
  • 人材の供給については、労働力の流動化は進みつつあり、こうした人材の活用のための施策も講じている。
  • 就業規則は、本来、労使間で決めるのが原則。政府が法律で企業と従業員の関係を一律に決めることは、なじまないのではないか。

以上

本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、阿部
 電話 03-3581-1041