経済審議会経済政策推進部会(第2回)議事録

時: 平成 12年 3月 17日
所: 経済企画庁特別会議室(436)
経済企画庁


経済審議会経済政策推進部会(第2回)議事次第

平成12年3月17日(金)10:00~12:15
経済企画庁特別会議室(436号室)

  1. 開会
  2. 関係省庁からのヒアリング
    • 1)少子化対策について
      • 厚生省
      • 労働省
  3. 2)高齢者雇用について
    • 労働省
  4. 3)世界秩序への取り組みについて
    • 外務省
    • 通商産業省
  5. 政策小委員会の設置について
  6. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1.経済審議会政策推進部会委員名簿
  2. 資料2.関係省庁ヒアリング説明者
  3. 資料3.厚生省資料
  4. 資料4.労働省資料(少子化対策について)
  5. 資料5.労働省資料(高齢者雇用について)
  6. 資料6.外務省資料
  7. 資料7.通商産業省資料
  8. 資料8.政策小委員会の設置について(案)

5.出席者(敬称略)

(委員)

水口 弘一 部会長、香西 泰 部会長代理、安土 敏、荒木 襄、伊藤 進一郎、江口 克彦、木村 陽子、嶌 信彦、高橋 貞巳、高橋 進、田中 明彦、畠山 襄、濱田 康行、星野 進保、村田 良平、八城 政基、鷲尾 悦也

(経済企画庁)

小池総括政務次官、中名生事務次官、坂官房長、牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長 他

(ヒアリング省庁)

厚生省 真野児童家庭局長

労働省 藤井女性局長、長谷川職業安定局高齢・障害者対策部長

外務省 石川経済局審議官

通商産業省 豊田通商政策局国際経済部長、寺田通商政策局経済協力部長


経済審議会政策推進部会委員名簿

部会長
水口 弘一   (株)野村総合研究所顧問

部会長代理
香西 泰   (社)日本経済研究センター会長

安土 敏   サミット(株)代表取締役社長
荒木 襄   日本損害保険協会専務理事
伊藤 進一郎   住友電気工業(株)代表取締役副社長
植田 和弘   京都大学大学院経済学研究科教授
江口 克彦   (株)PHP総合研究所取締役副社長
大田 弘子   政策研究大学院大学助教授
角道 謙一   農林中央金庫理事長
木村 陽子   奈良女子大学生活環境学部助教授
嶌   信彦   ジャーナリスト
清家 篤   慶応義塾大学商学部教授
高橋 貞巳   (株)三菱総合研究所代表取締役会長
高橋 進   (財)建設経済研究所理事長
田中 明彦   東京大学東洋文化研究所教授
畠山 襄   日本貿易振興会理事長
濱田 康行   北海道大学経済学部教授
原   早苗   消費科学連合会事務局次長
ロバート・A・フェルドマン   
モルガンスタンレー・ディーンウィッター証券チーフエコノミスト
星野 進保   総合研究開発機構特別研究員
村井 純   慶応義塾大学環境情報学部教授
村田 良平   (株)三和銀行特別顧問
森尾 稔   ソニー(株)代表取締役副社長
森地 茂   東京大学大学院工学系研究科教授
八代 尚宏   上智大学国際関係研究所教授
八城 政基   日本長期信用銀行代表取締役社長
山口 光秀   東京証券取引所理事長
鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会会長


〔 部会長 〕 おはようございます。定刻になりましたので、政務次官はちょっと遅れられるようですので、ただいまから第2回政策推進部会を開催させていただきます。

委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、本日の議題に入らせていただきます。本日から3回にわたり、主要テーマに関する施策について、関係省庁からヒアリングを行う予定でございます。本日は、厚生省と労働省から少子化対策について、労働省から高齢者雇用について、外務省と通産省から世界秩序への取り組みについて、それぞれヒアリングをしたいと存じます。テーマ毎に各省庁から説明をしていただき、その後、委員の皆様方から、ご質問、ご意見をお伺いしたいと存じます。

とは申しましても、全体としてこれだけのものを2時間の中でやることになりますと、各省庁の方にも非常に無理をお願いして資料はコンパクトに、かつ説明も短くということになっておりますので、また委員の皆様方もご意見が非常に多いと思いますけれども、非常に限られた時間でございますので、ご意見は簡明にしていただきまして、また、説明者あるいは委員の皆様方からのご意見、その他につきましてはファックス等を通じまして事務局の方へ寄せていただいて、それをまとめて次回にご披露するという恰好で運営したいと思いますのでよろしくお願いをいたします。

また、ヒアリングを行いました後に、前回の政策推進部会でのご議論も踏まえまして、「あるべき姿」の実現を図っていく上での当面の重要課題について、集中的に検討を行うため、当部会に政策小委員会を設置することをお諮りいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

それではまず、少子化対策について厚生省と労働省からご説明をいただきたいと存じます。なお、先日の第1回目の当部会で、少子高齢化への対応については、少子化対策とともに、少子高齢化に対応した社会保障のあり方も重要な検討課題であるというご意見をいただきました。この点につきましては、日を改めてご議論をいただく機会を考えたいと思っております。それではまず、厚生省からご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

〔 厚生省 〕 よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の「少子化について」という厚生省の資料で、少子化の動向と、これまでの対策の主な取組みをご説明申し上げたいと思います。

まず1ページ、少子化の人口の状況・動向。先生方、既にご案内のとおりでございますが、表にございますように、昭和43年に 209万人で第2次ベビーブームでピークを迎えて以降、減少を続けております。15歳~49歳までの女子の年齢別出生率を合計した合計特殊出生率、1人の女性が一生の間に産む子供の数、これも昭和49年以降低下していまして、特に昭和60年以降 1.8台から 1.4を切るところまで減少してきている状況でございます。

2ページをおめくりいただきます。その後を人口問題研究所が推計していますが、平成9年の推計によりますと、「中位推計」という真ん中の推計では、西暦2007年に人口のピークを迎える、その後は減少に転じるとみております。現在約1億2,650万人ですが、2050年には約1億人ぐらい、50年たった2100年には6,700万人。大体1億人といいますと、そこの表にありますように、昭和42年に1億人を超えましたので、42年の水準。 6,700 万人といいますと、1930年ごろの水準まで戻るということでございます。大きく申し上げますと、20世紀は毎年83万人ずつ人口は増えた時代でしたが、この人口問題研究所の推計によりますと、21世紀は、逆に60万人ずつ人口が減少するということを予測しております。

3ページは、各国の合計特殊出生率の推移でございまして、我が国は非常に高かったのですが、最近、低下が著しいというものでございます。

4ページですが、この少子化の要因は何だろうかということでございます。

資料がとんで恐縮でございますが、9ページをご覧いただきたいと思います。これは人口問題審議会、厚生省の審議会でございますが、平成9年に、少子化に関する現状とこれからの対応についての基本的考え方を非常に幅広くご議論いただき取りまとめたものでございます。現在、私どもが取り組んでいます施策の基本的な考え方をお示しいただいたものでございます。その一番下の左の箱のところに「少子化の要因とその背景」ということで、「未婚率の上昇(晩婚化の進行と生涯未婚率の上昇)」が少子化の要因、さらに「夫婦の平均出生児数と平均理想子ども数」の間に差があるのではないか、というご指摘をいただいております。

4ページに戻っていただきまして、男女ともに晩婚化が進んでいまして、二十歳代後半の女性の未婚率は、この10年間に、3割~5割(48%)。さらに申し上げますと、出生率の低下が始まりました昭和55年頃を見ていただきますと20%ですので、そこからみますと2.3倍ぐらいになっている。男性の方も、表にはございませんが、30~34歳の未婚率が、昭和50年には14.3%でしたが、平成7年(1995年)、20年後には37.3%と2.6倍になって、やはり大変に晩婚化が進んでおります。

その影響を受けまして、次の5ページでございますが、平均初婚年齢が、それぞれ高くなってきているということがいわれている。それが原因ではないか。特に、我が国の場合には婚外子の出生率は1%ぐらいで、スウェーデン、デンマークは5割ぐらい、イギリス、フランスは3割ぐらいの婚外子がいると言われています。それと比べて大変特徴的に婚外子が少ない。そうしますと、結婚年齢が遅れる、結婚しないということになると子供が減る。各国の中では特徴的な部分であろうかと思います。

6ページ、夫婦の出生児数と理想子供数との乖離でございますが、2.6人前後で推移しております。統計をとるのが最近でございまして、その前はわかりませんが、そんなに変わってはいない。まだ「3人を理想とする」という家族が5割近くありますので、結婚しますと、子供をそのぐらい持とうとする。しかし、実際には 2.2人ぐらいということで、持ちたい理想の子供の数と現実に持てる子供の数の間に差がある。そういうところを何とかギャップを埋めていく必要があると考えております。

7ページでございますが、そういう状況を踏まえ、これまで取ってきた施策の主な部分を時系列で掲げさせていただきました。平成2年、先ほどの1ページの表にございましたように平成元年に、昭和42年(丙午の年)の1.58を下回りまして「1.57ショック」ということが言われました。いわゆる少子化の問題点というのは、この辺から大きく言われたのではないかと思っております。

平成6年にエンゼルプランを策定いたしました。これは8ページに載せていますが、今後の子育ての分野の支援を含め、計画的に、総合的にやっていこうという対策を、文部、厚生、労働、建設大臣で合意をしたものでございます。それの5年後の数値目標を掲げまして、保育を中心に対策を進めていこうというのが緊急保育対策5カ年事業でございます。これは大蔵、厚生、自治の3大臣合意で取りまとめたものでございます。

平成9年には、先ほどご覧いただきました人口問題審議会で少子化の現状と今後の対応策を総合的にご議論いただき、ご報告をいただきました。

平成10年には、これを踏まえ敷衍した形で厚生白書をお示しをし、ぜひ国民的なご議論をお願いしたいということを申し上げました。

平成10年には、総理が主宰されます「少子化への対応を考える有識者会議」、これは10ページに資料を入れておりますが、政府だけの議論ではなく、いろいろな方々にご議論いただいて、国民的に情報発進をしていこうということで、「働き方に関する分科会」、「家庭に夢を分科会」、2つの分科会を平成10年6月に設置をしました。ここでは、若い方々にぜひご参加いただこうということで、若い世代の方々に、現に子育てをされている世代の方々にご参加いただくとか、公募するということで、非常に活発なご議論をいただきまして、 150項目ぐらいのご提言をいただきました。それにつきまして、それぞれ主体となるべき、労使ですとか、役所の名前ですとか、この検討・実施の中心となるところを明記して、それのフォロー・アップをしていこうということをここでご提言いただいております。少子化の問題というのは国を挙げて行うべきだということで、政府レベルでは閣僚レベルの取り組み体制を整備すること、労使をはじめ各界各層のご参加をいただくということで、総理が主宰するそのような国民会議を設けてフォロー・アップをやっていくべきだ、こういうご提言をいただいております。

7ページに戻って恐縮でございますが、そういうことで関係閣僚会議、国民会議を開催して議論をしていただきました。

11ページでございますが、少子化対策は与党の中でもいろいろご議論がございまして、特に中心的に進めるべきだということで、11年度の第1次補正予算で 2,000億円、少子化対策のための臨時特例交付金を確保していただきました。特に待機児童を解消する、そういうものを中心に地域の実情に応じて、少子化対策というのは国全体1本でということではありませんで、その地域の状況が大きく異なりますので、それぞれの市町村で創意工夫をした事業を行っていただきたいということで、そこにありますようないろいろなアイデアを市町村に出していただき、そのための助成を行っております。

そして、12ページでございますが、12年度の予算編成に当たりまして、まず政府全体として少子化対策の基本的な考え方、今後政府が中長期的に進めるべき総合的な少子化対策の指針として、18省庁の大臣にお集まりいただきまして、11年の12月17日に基本方針を取りまとめております。従来の議論のいわば集大成をし、それぞれ方向性をお示ししたということでございます。

この中で重点施策について具体的な実施計画、一番下にございますように「新エンゼルプラン」を策定すべきだというご意見をいただきました。

次の13ページでございますが、今度は大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治大臣の6大臣合意として、新エンゼルプランを作成いたしました。平成16年度を目標に、5年間で今後の施策を進めていこうということを合意していただきました。労働省の方からもご説明があろうかと思いますが、厚生省関係を手短に申し上げますと、働くことと子供を育てることの両立ということで、保育サービスに大きく力を入れよう。従来も、低年齢児の保育受入れ枠の拡大ということを行ってまいりましたが、多様なニーズに応える延長保育、休日保育などの保育サービスの推進を行う。それから最近では、子育て基盤といいますか、家庭・地域の子育て基盤が弱体化しているのではないかということで、働くお母さんの子供だけではなくて、家におられるお母さんの子供(在宅児)も含めた子育て支援、地域・家庭の支援をしようというものを進めております。

次に14ページでございますが、母子保健医療体制の整備ということで成育医療センター、周産期医療ネットワークの整備等を行いました。

15ページに厚生省関係の主な施策の16年度の目標水準をお示ししておりますが、これに向けて今後5年間、さらに推進をしていきたいということでございます。

16ページでございますが、総合的な少子化対策の一環ということで、与党でもいろいろご議論をいただいております。その与党でのご議論も踏まえまして、児童手当制度を拡充するということで現在、国会に関係法案を提出し、審議をいただこうとしているところでございます。

大変手短でございますが、私どものこれまでの少子化の現状・動向と、これまでの取り組みの主な点をご紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。続きまして、労働省から、雇用や男女共同参画の観点からご説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 労働省 〕 よろしくお願いいたします。

労働省では、少子化の問題につきまして、2つの切り口で対応をすべきだろうということで政策を進めております。1つは、人口減少に伴い労働力人口が年々減少していくのが目の当たりになっております。そういう中で、女性をどう活用していくか。そのためには、女性の働きやすい環境づくり。2つ目は、子育てと仕事をどう両立させていくか。働きながら子育てをしやすい環境づくりを行う。その結果として、少子化対策にも寄与するだろう、という観点から進めておりますので、その2つの分野に分けて施策をご説明申し上げたいと思います。

まず、「女性の活用のための対策の概要」でございますが、職場が性によって差別されない状況になることが第1だろうと考えておりますので、男女雇用機会均等法、昨年4月1日から改正均等法が施行されています。これの周知徹底、行政指導を推進する。

それから、時間が短いのでとばさせていただきまして、2ページ目の3)です。企業の環境整備にあわせ、女性が能力をアップできるような施策も進めなければいけないということで、能力開発のためのセミナー、最近普及しています女性起業家支援事業、あるいは女子学生、女子高校生の適切な職業選択のためのサポートというものにも力を入れているところでございます。

それから、職場風土の改善ということにつながるかと思いますが、セクシュアルハラスメントの防止対策、これが新たに盛り込まれていますので、これの徹底を今推進してございます。

3ページ目、仕事と子育てを両立するための環境整備ということで、いくつかの施策を実施してございます。1つは、育児休業制度。これは法律によって、誰でも取れる、男女労働者が取れる形になっていますので、この育児休業が定着するように育児休業法の周知徹底に力を入れております。取得者数についての正確な統計が3年に1回しか出ておりませんので、ちょっとお示しできないのですが、年々取得者数は増加しているのは間違いございません。ただ、公務員の取得率に比べますと、民間はまだまだ低いという状況でございますので、取りやすい環境整備が必要であるということで、1)2)3)4)のような施策を推進してございます。1つは、育児休業中に育児休業給付というのを雇用保険特別会計から支給してございます。従来は、25%でございました。これですと、月間平均5万円になります。これを13年1月より40%、月間8~9万円になるかと思いますが、引上げを予定しております。その他、休んでいる間の能力開発をやる事業主に対する助成措置、代替要員を確保して戻ってくる方が戻りやすい環境整備をする事業主に対する助成措置も講ずる予定にしております。

4ページ目でございますが、育児休業とあわせ、働きながら子育てをしている方々への助成というのもしてございます。例えば、勤務時間を短縮する。1日6時間と所定労働時間を決める、そういうものの普及を図っているところですが、少子化基本方針の中で、さらにこれの拡充を図れということですので、拡充を図るための検討をこれから進める予定にしてございます。

それから、事業所内託児施設も相当普及しておりますが、これの助成制度も設けてございます。

その他、ベビーシッターを雇う方に対する補助をしている事業主に対する助成がございます。

それから、保育所関係の情報を提供するサービス等を実施してございます。

それから、子育てというのは地域によるサポート体制が大変重要であるということで、市町村に助成金を支給しまして、会員制で働く方の子育てを支援するファミリー・サポート・センター事業というのを展開しております。現在、全国で61ケ所ございます。来年度は20ケ所増。新エンゼルプランの計画年度中に 180ケ所に拡大いたします。

それから、地域のサポート体制に並びまして、5ページでございますが、企業ぐるみで子育てをサポートするシステムというのが必要であろうということで、そういう取り組みをやる企業を我が国でも増やしたいということで、ファミリー・フレンドリー企業普及促進事業というのを今年度から実施してございます。これは厚生省と共同でやっております。企業表彰を行ったり、シンポジウムを開催したりしてございます。

3の「子育て等のために退職した者の再就職支援」、子育て等でどうしても退職せざるを得なかった方々の再就職支援というのが大変重要でございます。我が国の女性の働き方に対する意識調査をいたしますと、一番率が高いのが、子育てで退職し、一段落したら再就職したいという方々ですので、そういう方々のサポートというのはこれから大変重要な課題であろうと思います。そういう方々に対して情報提供、あるいはさまざまなセミナーを受講される場合に割引券を差し上げるといったような状況を展開してございます。

現状は以上でございますが、若干補足させていただきたいと思いますのは、9ページに昨年策定いたしました「少子化対策推進基本方針」の労働省関係項目の抜粋をしてございます。今説明したもの以外で、掲げてございますのを少しコメントさせていただきたいと思います。9ページの2)の「職場優先の企業風土の是正」でございます。

我が国の企業の職場風土というのは、どうしても仕事優先であるというのは否定できないところかと思います。そういう風土の改善というのは、行政が強制的にどうこうできるというものではございませんで、労使の方々の自主的な取組みを促していくための活動をやらせていただくところでございます。

次の10ページでございますが、両立を図るためには何といいましても、下から2つ目の○のところですが、労働時間の短縮が大変重要な課題でございます。年間総実労働時間1, 800時間を目標にしてございます。フレックスタイム制の普及による柔軟な働き方の実現に力を入れていく。さらに、子供が病気をしたときに休めるという制度、子供の看護のための休暇制度、これについても制度のあり方について検討を行うことにしております。

補足させていただくのは以上で、私の方からのご説明はこれで終わります。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。非常にコンパクトにご説明いただきました。それでは、ただいまご説明いただきました少子化対策につきまして、ご質問、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。

〔 A委員 〕 ここに書かれていることは、ぜひ実現していただければ、今分析できるものについては大体尽くされているのではないかと思うのですけれども、もうちょっと根っこの問題がいくつかあると思います。

これは今ご説明いただいた厚生省、労働省だけではなく、特に共管をしておられる文部省などにも考えていただかないといけないのですが、厚生省の説明資料の中にも「教育に関して」という部分が有識者会議の提言の概要でございましたが、男女の固定的な役割分担等については子どもの頃からしっかりと教育しておかなければいけないのではないか。我々世代になると、ここにおられる方はほとんどそういう教育を受けておりませんので、固定概念がどうしても出てくるということではないかと自省もしています。そういう意味からいいますと、教育プログラムの中における男女の性的役割分担というものをきっちりと教育することが必要ではないかと思います。

それから、最近の教育の実情からみてみますと、男女にかかわらず、社会的な人間関係についての基本的なものが欠けている、今の子どもたちはそういう気がいたします。要するに、人間関係をつくることが非常にできにくいというか、そういう能力が欠けているような子どもたちがたくさんいると考えます。このこと自体が、先ほど婚外子の問題もありましたけれども、結婚しているかしていないかにかかわらず、いわば男女が人間としてお互いに、言い方が難しいですけれども、人間関係をつくり上げるということが非常に少なくなって、結婚どころか男女交際もなかなかしない、こういう状況になっているわけであります。これは基本的に教育に欠陥があるというふうに思うのでありまして、これは今日ご説明いただいた両省の問題を超える問題だろうと思いますけれども、少子化を考える場合に、ぜひこういうことを考えていかなければいけないと思います。

もう一つは、児童手当の問題です。私どもは、児童手当を充実しろということを申し上げてはいるのですが、今のような財政難の状況の中で、もちろん所得制限があるのですが、児童手当を付けさえすれば少子化対策になるという、基本的発想というのはもう少し根っこから議論していくべきではないかと考えております。したがって、そうした問題についてもこの推進部会で議論していただくことを望みます。

〔 部会長 〕 ありがとうございます。ただいまのA委員のご意見に関して、実行することが必要である。教育問題、児童手当問題等を含めまして、両省から何かコメントがございましたらお願いいたします。

〔 厚生省 〕 おっしゃるとおりだと思っております。文部省の方にも、今日、A先生からそういうご意見があったということはお伝え申し上げたいと思います。また、関係閣僚会議でも、基本方針を決めっぱなしではなく、フォローアップをしていくということですので、その旨をお伝えしたいと思います。

また、児童手当に関しましては、児童手当があるから少子化対策になるといいますか、現金給付が子どもを増やすということについての政策効果といいますか、そこはかねて議論のあるところでございます。あるという説をとる国もございますし、ないのだということをおっしゃるところもございます。ただ、私どもとしましては、児童手当を増額すれば子どもが増えるという、そういう意味での直線的な関係が明確であるというふうには思っておりません。ただ、いろいろな形で子育ての経済的な負担ということも一方でございますし、少子化対策という総合的な施策の中の一環として、子育て家庭の経済的支援という部分も大きな役割の1つだと思っております。ただ、現在の児童手当制度がこのまま単純に、先生がおっしゃるように拡大していくのがいいのかどうか、そこは大きなご議論のあるところだと思っておりますし、これは議論をしていく必要があるとは思っております。

〔 労働省 〕 男女共同参画社会づくりにおいて、意識の問題というのは大変重要だというのはおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、なるべく小さい頃から教育が必要です。

これは文部省さんの関係でございますが、たまたまこの前、文部省の会議に出まして、新施策としてご説明いただいたのは、ゼロ歳児からのジェンダー教育事業というのをやっております。これは私は、赤ん坊のときに何か洗脳するのかと思いましたら、そうではございませんで、家庭における父親と母親の位置づけ、関係というものが非常に重要であるということで、家庭教育、そこからやる必要があるということで文部省はご認識なされ、進められているということでございます。それは大変重要なことだと思います。

また、先ほど私どものご説明で、地域のサポート、企業でのサポートということは申し上げましたが、1つ抜けておりましたのが、家庭の中のそういう男女共同参画。これは行政役人がどうこうというよりは、国民の皆さんの自主的な取り組みというのが非常に重要なことではないかという感じでございます。

これは有識者会議の報告を受けて、各界の代表の方で構成された少子化対策国民会議、そこで今取りまとめられているところですので、そういう視点も入っていくのではないかと考えてございます。

それから、人間関係についての基本ができていないというところのご指摘でございますが、先ほど私がご説明申し上げました中に、セクシュアルハラスメントの防止対策を事業主が講じるようにしなければいけないというのが今回、盛り込まれた。セクシュアルハラスメントというのは、この基本的な原因は何かというと、女性を一人前の労働者として扱わない、扱えないというところに原因がある。つまり、個として相手を認めていない。企業において、職場において、我が国においては残念ながら、そういう一定の距離を置いた人間関係といいますか、他をちゃんと個人として一人前の労働者として尊重する、そういう意識があまりなかったのではないか。そういうところに原因があるということで、企業のトップの方々や管理者の方々に今ご説明申し上げているところでございます。

したがいまして、私どもはセクシュアルハラスメント防止対策を推進する中から、そういう新たな企業あるいは職場における人間関係づくりというのができるのではないかということで、力を入れているところでございます。

〔 B委員 〕 2点、お伺いします。

厚生省関係ですが、育児サービスが非常に大事だろうと思うのですが、これは量の確保と同時に質も必要だということで、いろいろな政府の関与も必要だということはよくわかるのですが、介護サービスについては、かなり民間活力といいますか、ビジネスを導入しようというアイデアが出ています。その点、育児サービスについてはどのようにお考えになっているかという点をお伺いしたいと思います。

労働省関係では、従来のいろいろな雇用慣行についてコメントがあって、見直すというように書いてあるのですけれども、どのくらい見直されるかということです。哲学的な話になりますけれども、労働省さんは、どちらかといえば現在の雇用システムのメリットをかなり高く評価してこられたのではないかと思うわけですが、現在の年功賃金を維持したままでは途中退職は非常に不利になるわけで、そういった点を労働省全体としてはどの程度お見直しになるつもりがあるのかという点をお伺いしたいと思います。

〔 厚生省 〕 保育サービスの件でございますが、介護分野は量も爆発的に増えますし、今までのような主体だけで供給できない。それから、介護保険制度という仕掛けに変わりまして、選択もできれば、その中で競争も起こるということで、そういう恰好になっております。保育の方も、平成9年の児童福祉法の改正で、従来のいわば措置という市町村の行政行為から申込み制に変えるという恰好で、ある程度選択制を導入したつもりですが、今回あわせまして、今までは自治体以外の保育所の設置というものを原則社会福祉法人と限定しておりましたが、今回、その設置主体の制限を撤廃するということで、NPOでも結構ですし、いわゆる営利企業でも結構という恰好の規制緩和を、今年度中にお示ししたいと思っております。

先月の10日から、今年度中に、その主体の制限を撤廃しますよというパブリックコメントを実施いたしまして、こういう恰好でやりたいということをお示ししてございます。

〔 労働省 〕 B先生のご指摘のとおり、労働省といたしましては、雇用の安定確保というのが労働行政としては最重要になります。そういう観点からいたしますと、これまでの長期雇用慣行というのは非常にいい方向で働いてきたのだろうということで、非常に高い評価をしているわけですが、そうはいっても、転職が現実に増えてきているし、希望を持っている方々は特に若い方を中心に増えてきている。あるいは、産業構造の変化の中でいろいろな形での労働移動というのが進んできている。であれば、そういう中で不利にならないシステム、セーフティネットを張っていく必要があるであろうということで、今、さまざまな転職等が容易になるような措置、例えば、能力開発、これまでは主として企業内での能力開発という方に重点が置かれてきたかと思いますが、それを外の能力開発、特にホワイトカラー、事務職の方々についての能力開発に重点を置いていこうということ。あるいは、退職金や年金制度というのが、転職の場合に不利にならないシステム、制度に変えていく必要があるであろうということで、先頃から厚生省さんが中心になってまとめさせていただいたのですが、確定拠出型年金制度というものを創設しようとしているわけでございます。

そういったことで、必ずしも、これまでの長期雇用だけでというのが労働行政の基本になっているわけではないということは申し上げられると思います。ご理解いただきたいと思います。

〔 C委員 〕 私は、2つ質問がありまして、厚生省と労働省に一つずつです。

厚生省に対する質問は、制度の統合化ということですが、現在、少子化が問題視されてから、特に金銭給付につきましては、児童手当とか、その税制とか、さまざまな面で本当にいろいろな提案がなされておりますが、私は研究者としましては、先ほど局長もおっしゃいましたように、金銭給付が少子化にどれほど効果を与えるのかということについては、ほとんどはっきりした結果は出ていないというふうに認識しております。それにもかかわらず、さまざまな方面から、また日本の賃金体系がヨーロッパとは違うということをほとんど踏まえないような議論が多くて、その上で児童手当、あるいはまた別の金銭給付を充実させようという意見が多いことには、個人的には、やや危惧を覚えております。

質問ですけれども、こういった子育て費用の軽減のための施策といいますのは、児童手当だけではなく、当然、税制の扶養控除とか、遺族年金にも児童がいることの加算とか児童扶養手当というものがありますけれども、将来的には、そういった制度の整理統合をされる気持ちがおありかどうかということです。

2番目、労働省に対する質問ですけれども、それは4ページの一番下に書いてある部分ですが、子どもの多い世帯といいますのは、統計的にも親族等に介護を簡単に依頼することができたというところが出てきますが、ファミリー・サポート・センターというのは、ある意味でそれに代わる機能を持てると思いますが、このセンターの利用率というのはどのようなものでしょうか。

〔 厚生省 〕 大変大きなご指摘だと思います。それぞれの制度毎に必要性に応じて、例えば遺族年金であれば加算をするとか、そういうことをやってきたのだと思います。

ただ、おっしゃられるとおり、方向としてはそのとおりだと思いますが、議論をするときに、そこまでの大きな議論が本当に可能か、それから、個別の需要に対してきめ細かく配慮しろという議論と、大きく整合性をとって1本でドンとやれという議論と、常に、社会保障の分野の議論ですと、それぞれの状況の中でどちらを取るかという選択をしてきているのだと思います。議論としては、当然、全体の整合性をとるべきだというのは、それはおっしゃるとおりだと思いますが、個別の制度を議論するときに、どこまでそれが全部統一的な整合性というところまでやり切れるかという、そこはまた個別の制度の議論になってしまうのではないかと思います。

〔 C委員 〕 おっしゃるお気持ちとかご意見は、私は非常によくわかるのですけれども、ほかの国の経験ですが、一旦そういうふうに個別にばらばらとやってしまいますと、効果があまりないとわかった時点でも始めた施策は後戻りしにくいということがありますので、私は、むしろ、これからの社会保障構造改革という時期に入っては、大きなところからまとめていくのがいいというように考えています。

〔 部会長 〕 非常に重要なご指摘だと思います。

〔 労働省 〕 お尋ねのファミリー・サポート・センターでございますが、これは保育サービスを提供したいという会員の方と子育て中の方の会員、2種類の会員があるわけでございますが、おっしゃるとおり地域ぐるみで子育てをしている人を助けようと、そういうことで始めたものでございます。

利用状況も、平均的に申し上げれば非常によくなっております。平成10年の4月から平成11年の3月までの1年間の件数が出ておりますか、4万 7,341件ということで、61ケ所でございますので、1ケ所当たり年間 8,000回とかいうことでございます。

具体的にはどんなサービスが多いかと申しますと、保育所、幼稚園の迎え及び帰宅後の援助というのが多くございます。それから、保護者が、親が病気や急用で子どもの面倒をみられなくなったときの援助とか、急に残業が出たときに面倒をみてあげるとか、あるいは学童の放課後の面倒をみるとか、学童保育から帰った後の面倒をみるとか、そういうようなものが多くなっております。

年々利用者数も、それから利用回数も増えてきておりますので、一挙に180ケ所に増やそうと計画されております。

〔 D委員 〕 この報告を見ながら、少子化対策ということで挙げられている内容が、子育てということに非常に偏っているような気がする。子どもがほしくなくなったという理由の非常に大きなものは、親が、自分自身が年を取ってから後、子どもに面倒をみてもらえるという期待が持てなくなったということに非常に関係があるのではないかと思うのです。

これを非常に身勝手だといわれようとなんといわれようと、子どもが、例えば労働力としてほしいという国はどんどん子どもをつくるわけです。したがって、親のニーズで子どもはできてくるという面があると思うのですが、今、親になろうとしている人たちやなっている人たちは、ほとんど自分が親の面倒をみるのはいやだということで大きくなってきたわけです。それを見ていると、自分も年寄りになったときには「子どもはとても面倒をみてくれないぞ」、子どもには期待できないということは、ほとんど社会として一般的な認識になっていると思うのです。

そうすると、子どもを育てる楽しみということはあるにせよ、老後を子どもに面倒をみてもらう喜びということが今、社会からほとんど消えてしまっている。しかも、一方で、老後の面倒は別にいろいろ考えようということになってくると、子どもを持つ必要性が、親の側からみてほとんどなくなってきているのではないか。これはいいとか悪いとか、非難するとかしないとかということとは別に、そういうことが背景としてあるのではないかと思うのですが、このレポートのいずれを拝見しても、そういうことにほとんど触れていないでいるような気がするのですが、そういう議論はこの少子化対策の過程で出てこなかったのでしょうか。また、出てきたら、それに対してどういう、その対策というのは非常に難しいと思いますが、国が面倒をみなくなればいいというわけにいかないので非常に難しいと思いますが、そういうことの議論を避けて通るわけにいかないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

〔 E委員 〕 僕は、この問題は全く素人でよくわかりませんけれども、少子化の要因というのを見ていると、本当は3人ほしいのだけれども、未婚率とか晩婚率が原因だと書いてあるけれども、直観として、家が狭いとか、昨日か一昨日発表されたのを見ると、大学生一人の教育費は 380万円を田舎から送っている。 1,000万円の収入で 380万円とか、教育費とか住宅が狭いとか、そういうこともすごく大きな要因ではないのかと。単なる個人的な主観的な問題だけではなく、そういうことがすごく大きな原因ではないかという気がするのですが、その辺はどうなのでしょうか。

〔 厚生省 〕 大変難しい、少子化の議論の根っこの議論のようなお話になるかと思います。先ほどの9ページの人口問題審議会でも、D先生がおっしゃったようなことは議論になっております。ただ、直接的に子どもを増やす施策をどうするかという議論もまた別にございますし、今のような意識の問題、そこの部分にどう国なり行政がコミットするのか。そこは、今、先生からお話がありましたように、子どもを持ちたい、そして子どもを育てることをやりたいのだけれども、それに対して制約要因、阻害要因、そういうものをきちっと指摘をして、その阻害要因を一つ一つ取り除いていくことによって、ぜひ子どもをつくって育てようというところを助けていこう、という議論なのではないかということで議論を進めております。

したがいまして、何のために子どもを持つのだという部分は、議論はもちろんございましたけれども、そこについて、では、かくあるべしという議論はなかなかできない。

先ほどいろいろ、厚生省や労働省の議論のほかに、3人目を持ちたいけれども、今は子どもはそれぞれ一人一部屋ということになれば、子ども3人に一部屋ずつ渡せるような住宅になっているか。それから、高等教育を受ける場合に、親の仕送りがそんなことが可能なのか、そこも議論がございました。今回のエンゼルプランの中に文部省なり建設省にご参加いただいているのも、国ができるとすれば、そういう環境整備、条件整備、阻害要因の排除ということであるとすれば、そういうところをやっていく必要があるのではないか。ただ、具体的に、では住宅をどれくらいの大きさにいつまでにしますというようなところが、なかなか数値目標としては出ませんので今日はちょっとご紹介申し兼ねましたけれども、両省にお入りいただいているというのも、そういう問題意識の下でお入りいただいているわけでございます。

〔 部会長 〕 労働省サイドから何かコメントはありますか。

〔 労働省 〕 ございません。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。まだいろいろとご質問、ご意見があろうかと思いますけれども、時間の関係もございますので、次のテーマに移りたいと思います。本日はご多忙のところをありがとうございました。

それでは続きまして、高齢者雇用につきまして労働省から説明をしていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

〔 労働省 〕 本日は政策推進部会に呼んでいただきまして、高齢者雇用につきまして説明する場を与えていただいたことを大変ありがたいことだと思っております。本日、時間も限られております。説明資料と、私どもが事業主の方々に、高齢者雇用についてのいろいろなサービスを紹介するパンフレットと、2つ資料をお配りさせていただいております。この資料に沿いまして簡単に説明をさせていただきたいと思います。

説明資料を1枚めくっていただきまして、目次ということで書いてございます、高齢者雇用の現状と、そのあと最近の私どもの政策方針についてご説明をし、またそれについての施策体系、今後の課題について触れさせていただきたいと思います。

1ページから「高齢者雇用の現状」でございますが、1)「人口の見通し」はよくご承知のとおりでございます。2)「労働力人口の高齢化」の下の方の左から2つ目の1998年というのが現状でございます。その棒グラフの上の方の白いところが65歳以上の労働力人口、その次の黒いところが60~64歳ということで、この2つを合わせた61歳以上の労働力人口は現在 924万人。全体の労働力人口の13.6%となっております。これが2つ右側にいきまして2010年になりますと、65歳以上が 630万人、60~64歳が 650万人ということで1280万人、 350万人強増えていく。全体の労働力の割合の中で約20%になってくるということでございます。その後をずっと見ますと、大体20%。これは団塊の世代の動きが大きいわけですが、こういったことでこれから10年というのが、労働力全体が落ちるという問題がもう一つありますが、その中で高齢労働者、60歳以上の労働力が非常に増えていく。また、60~64歳層がこの時期でかなり増える。この辺が当面、ここ10年をみたときの特徴ということになります。

次の2ページに、高齢化というのは日本が非常に急速でございますが、欧米でも進んでいるわけです。日本の高齢者の場合は非常に就業意欲が高いということが特徴として言えるわけで、2)「高齢期の就業希望」ということでみますと、現在、40~59歳の方にしますと、8割以上の方が65歳以上、あるいは年齢にこだわらなく働き続けたいということでございます。60歳以上の方だと、9割近い方がそういうふうに答えておられるわけです。

それから下にまいりますが、そういった場合に、普通勤務のみならず、むしろ短時勤務や任意就業という形の希望も、高齢になればなるほど多くなるというデータでございます。

次の3ページにまいりまして「高齢者の雇用失業情勢」でございますが、下の方の「有効求人倍率の状況」を見ていただきますと、一番下の12年1月の数字でいきますと、60歳以上の有効求人倍率が0.08ということで、非常に雇用機会が少ないということが言えるかと思います。

次の4ページにまいりまして、「定年制等の確保状況」でございます。ご承知のとおり高度成長期において、55歳定年制というのが民間においては一般的であったわけですが、昭和48年に、国としても政策的に60歳定年への引上げを図っていくということで、最初は行政指導、省令措置、そういったことで始めまして、約25年の間に、平成10年の4月には、定年制を定める場合には60歳未満に定年を定めてはならないという形の法規制もしたわけですが、現在では、定年制を定めている企業の99.2%は60歳以上ということになってきております。日本の場合、年功的な雇用管理というのが一般的ですので、徐々に変わってきたということでございます。

下の方へまいりまして、現在、65歳までの雇用確保というのを課題にしているわけでございますが、60歳以上定年というのは、「一律定年制を採用している企業 100%」が一番左に書いてございますが、その次に「65歳以上定年企業」が 6.2%、「60~64歳(ほとんど60歳ですが) 定年企業」が93.0%とございます。この93%の企業のうち、「少なくとも65歳までの勤務延長制度、再雇用制度を有する企業」が46.4%でございますが、そのうち「原則として希望者全員を対象とする企業」が11.9%でございます。本人が希望すれば65歳までは雇用されるという企業の全体の割合は、ここに書いてありますように18.1%、約2割という現状でございます。

以上が現状でございます。

5ページは「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の関連部分でございますので、説明は省略します。

6ページで「雇用対策基本計画」、これは去年8月13日に閣議決定されました第9次の雇用対策基本計画の高齢者雇用の関連部分でございます。「計画の基本的考え方」の一番最後のパラグラフを見ていただければと思いますが、「今後とも、経済社会の活力を維持、発展させていくためには、高齢者の高い就業意欲が活かされ、その有する能力が十分に発揮されることが必要不可欠となる。また、公的年金制度等の改革が議論されているところであり、こうした制度変更による労働力供給の変化も予想される。高齢者雇用の現状が、依然として厳しく、また、今後の60歳以上の労働力人口が大幅に増加することが見込まれる中で、高齢者の雇用機会の確保が一層重要な課題となってくる。」というのが現状認識であります。

7ページにまいりまして、雇用対策の考え方について、高齢者の雇用対策については3つに分けて整理をしております。1)「長期的な高齢者雇用の在り方」ということで、かなり長期をみたときに何を目指すかという議論でありまして、傍線のところを見ていただきますと、「将来的には、高齢者が、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現していくことが必要である。」としております。

次の、真ん中より下の2)「向こう10年程度の間における取組」におきましては、65歳までの雇用の確保というのを最重点に考えておりまして、8ページの第2段落目が議論の集約ですが、「向こう10年程度の間においては、65歳定年制の普及を目指しつつも、少なくとも、意欲と能力のある高齢者が再雇用又は他企業への再就職などを含め何らかの形で65歳まで働き続けることができることを確保していくこととする。」ということで、こういう考え方で諸般の施策を進めてきたというような整理をしております。

次の9ページと10ページは、高齢対策基本計画と並行して、労使の実務家の方々に入っていただきまして、メンバーは10ページの下に書かせていただいておりますが、神代先生を座長にした「65歳現役社会政策ビジョン研究会」で2年ほど議論していただいて、それの取りまとめでございます。これは去年の10月20日に発表させていただいたものですが、1)「中長期的な高齢者雇用対策の基本的な考え方」、最初の○は、先ほどと同じでございますが、そのあと2つ目の○に、これら問題の解決のためには、「労使が率直に話し合い、政・労・使が協力して、段階的な取組を行っていく必要がある」。次の○に、「個々の企業においては、賃金・人事処遇制度の見直しを行いながら、高齢者の職域開発など、高齢者が働き続けることができるような条件整備を行い、高齢労働力を一層活用していくことが必要」。4つ目の○ですが、「米国における年齢差別禁止のような手法を用いる場合には、定年制の見直しが求められるが、現時点においては、定年制が高齢者の雇用機会の維持・確保に貢献している側面を無視するわけにはいかず、その性急な見直しを避けることが適当」、こういった基本的考え方で整理をしております。

そのあと2)、3)、4)が、当面の高齢者雇用の政策の3つの柱でございますが、最初の「

定年の引上げ等による65歳までの雇用の確保」ということで、従来の賃金・人事・労務管理制度を見直しつつ、定年の段階的な引上げや定年後の継続雇用制度等により、65歳までの雇用を確保することが大事だということが書いてございます。

それから、「高齢者の再就職の援助、促進」、可能な限り雇用の中断が生じないような労働移動ということで、そのためには離職前からの積極的な求職支援が必要である。継続雇用が高齢者雇用の場合は大切であるけれども、どうしてもできない場合には、再就職の援助促進の措置を強化していかなければいけないということを書いております。

10ページの一番上の○に、「事業主に、事業主の果たすべき役割に加え、労働者募集段階における年齢制限の緩和を求めていくことも必要」ということで、今ハローワークでも少しやっておりますけれども、30歳までという、あるいは35歳までという求人に対して、その年齢を少しでも上げてほしいと行政指導としてやっておりますが、そういうことを求めていくことも大事であるということを言っております。

あと、なだらかな引退というか、高齢者の多様な雇用・就業機会の確保等について触れております。

こういった提言を受けまして、11ページに、現在、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律がございまして、先ほど申しましたような、60歳未満定年の禁止等の規定が書いてあるわけですが、それの改正法案を現在の国会に提出させていただいております。これについては、定年の引上げ、継続雇用制度の導入といった高年齢者雇用確保措置を事業主がとることの努力義務規定を新たに設けるというのが1番目でございます。2番目に、高年齢者等の再就職の援助・促進。45歳以上のなかなか再就職の難しいものについて、計画的に、可能な限り離職前から再就職活動が円滑にいくようにという仕組みを設けようということでございます。そういった改正を提起して、議論をさせていただいております。

12ページ、現在の高齢者雇用就業対策の体系でございます。1)に「定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用の確保」、これは政府の施策としては、相談援助とか指導・奨励が主で、例えば、2つ目の○にあります「高年齢者雇用アドバイザー」、これは相談がありましたら、いろいろな雇用制度のことの情報提供をしたり、相談に応じたりということで、全国で 456人、社労士の方が50%ですが、平成10年で2万7,000件ぐらいの相談がございまして、そういったものに助言をしたりしております。2)「中高年齢者の再就職の援助・促進」、これはハローワークが中心的な役割を果たしております。それから、多様化の対応等々が施策の代表でございます。

時間の関係で終わりにいたしますが、施策の概要あるいは奨励措置の具体的なものにつきましては、むしろ、お配りしました事業主に対しての説明資料の1ページ、「はじめに」のところに目次が書いてございますので、これを見ていただければと思います。急いで恐縮ですが、説明は以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、ただいま説明のありました高齢者雇用につきまして、ご質問,ご意見がございましたらどうぞ。

〔 F委員 〕 先ほどの議題にも関係するのですけれども、ご案内のとおり、オランダで1996年、常用雇用と臨時雇用の差別を禁止する法律を出した、オランダモデルと言われているわけです。このモデルはいろいろな内容を含んでいますけれども、そのエッセンスはそうなっているわけです。そのお蔭で、例えば、家庭では余分な時間ができる、男女とも働くわけですけれども、大ざっぱに申し上げれば、八掛けぐらいで働くということになっている。合計の仕事量は増えるけれども、家庭に男なり女がいる時間が増えるということで、家庭の幸せにもプラスだし、所得もプラスということになって、一部で非常に評価されているわけです。それについて、高齢者なのか、先ほどの少子化なのかよくわかりませんが、どういうふうにお考えか伺いたいと思います。

〔 労働省 〕 基本的に常用雇用であれ、臨時雇用であれ、同じ労働については同じ処遇を受けるべきだという考え方は、労働行政のところの基本だと思うのです。現実におきましては、臨時雇用の方が労働条件がよくないという実情がありますので、当面のいろいろな施策としては、常用雇用を重視する施策を基本的にとっているということだと思います。

ただ、高齢者、特に今我々が高齢者雇用対策で対象にしております60~65歳以上というのは、当面の問題としては、年金が出ています、あるいは基礎年金の支給開始年齢は引き上がりますけれども、報酬比例分が出てくるということで、実際60~64歳になっている方についても、非常にニーズが多様であるというか、いろいろな就業の希望がある。そういったニーズに対応した雇用契約をとっていかなければいけないと考えておりまして、そういう中では、短時間の雇用であるとか、いろいろな就業形態というのを高齢者雇用については進めるべきだと考えております。そういった就業機会が、労働条件が不当に悪くていいと思っておりませんので、その辺についてはきちっと実情をみながら対応していく必要がある、こう考えております。

〔 部会長 〕 チューリップモデルについては、経済界でも非常に関心を持っておりまして、シンクタンクからもレポートが出ておりますけれども、それぞれこれから更に勉強していこうということでやっておりますので、なお進めて、これから勉強していきたいと思っております。

〔 G委員 〕 「高齢者雇用就業対策の体系」という中に含まれていると思いますけれども、12ページの一番下に「高年齢者等の職業能力開発の推進」という項目があります。今重要なのはIT、情報関連技術の習得あるいは利用だろうと思うのですけれども、この辺についてはどのような施策を今お取りになっているか、あるいは将来お取りになるお考えがあるのか伺いたいと思います。

〔 労働省 〕 特に高年齢者の再就職ということを考えたときに、基本的には今までの知識なり、技能なり、経験を活かしていただく、全くそういうものと離れた形というのはなかなか現実的にはマクロの考え方の中では難しいのではないか。ただ、今、その知識、技能、経験の上に何かを付け加えてやるのが大事であるというのは、おっしゃるとおりだと思います。

職業能力開発というのは、高年齢者に必ずしも限らないですけれども、中高年齢者を含めて、今雇用情勢が非常に厳しい中で再就職対策というのをいろいろ強化していく。例えば、最近の職業能力開発の考え方でいきますと、自己啓発というか、自分が計画的に能力開発をすることについて支援をしていこう、そういう考え方に立った施策を強化しておりまして、雇用保険の中で教育訓練給付という制度を新たに2年前に作りましたけれども、これは再就職に向けて能力開発を自分でする、そういった対象の講座を受けたときに、20万円までですけれども、講座にかかった費用の8割を補助しよう。個人がそういったことを利用して能力開発していくことを奨励していこうという措置を強化しているというのが現状であります。

公共訓練におきましても、おっしゃるようなITの能力開発とかいうコースを増やしておりますけれども、それだけでは十分ではございませんので、民間のそういった職業能力開発機関も利用しつつ、この分野の施策を強化したいということでございます。

〔 M委員 〕 2ページに書いてございますように、高齢者は、働くのだけれども、短時間がいい。しかも、7%は任意的な就業がいい、そういうような希望が多い。一方、それに対して企業側にしてみれば、ここに書いてありますように、有効求人倍率はどうしても低い。そういうミスマッチがあるわけです。ですから、株式会社といいますか、採算をもった企業にしてみれば、高齢者を雇うということ自体が、必ずしも、採算に合わない点が非常に多くなってくる。その本人の能力問題もございましょうし、高齢者側のそういった希望というのをあまり。

だから、株式会社とかといった採算のところではなかなか難しい点がありますので、地方自治体もあるでしょうけれども、NPOとか、いわゆる非営利団体的なものが、海外では多いわけですけれども、日本もそういったものをどんどんやっていき、高齢者はそっちの方に吸収していくということが必要になってくるのではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。

〔 労働省 〕 おっしゃるとおりなのですが、今、今日もご説明しましたし、議論しておりますのは60~64歳層、その辺の層でございます。特に団塊の世帯がそういった層に入ってくることを考えますと、そういった層については基本的には雇用の場というのを確保していかないと、日本の労働力人口そのものについて最初にご説明はしましたけれども、マクロでみますと労働力人口も下がってくるというような展開の中で、そういったところの層の方には、社会を支える側で大いにやっていただかなければいけない。

そういったときに、日本ではやはり一番問題になるのは、今までの年功的な労務管理制度でありまして、現実には今、労使の間で段階的に、60歳定年のときもそうですが、時間がかかるのですけれども、かなり急速にやっていっていただかないと、なかなか60~64歳層の雇用の機会というのは出てこないだろう。ここが一番の問題意識なので申し上げているわけです。

実際、NPOのこと、あるいはボランティア、そういった活動を一方で強化をしていかなければいけない。むしろ、そういったことを希望する高齢者の方が、そういうことができるようにしていかなければいけない、今日はあまり説明をしませんでしたが、そういった施策もやっていかなければいけないと思います。

これは長期的には、65歳といっても大変元気な方が多いわけで、むしろ、あまり年齢に今度はこだわらなくなるのかもしれませんが、65、70といった層の方も含めて、NPOとかボランティアの活動で社会貢献する、こういった場も非常に強化していかなければいけないと思っております。

そのような考え方で基本的には考えております。

〔 部会長 〕 ありがとうございました。まだいろいろとご質問、ご意見があろうかと思いますが、時間の関係もございますので、次のテーマに移りたいと思います。本日はお忙しいところをありがとうございました。

続きまして、世界秩序への取組みについてアジア経済を中心に、外務省と通産省からご説明をしていただきたいと思います。なお、大蔵省から国際金融関係につきましては、日を改めて、ヒアリングをする予定でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

〔 外務省 〕 このような機会を与えていただきまして御礼申し上げます。

お手元に幾つか資料をお配りさせていただきましたので、これをご覧いただきながらお話し申し上げます。

世界秩序という難しい課題をちょうだいしておりますが、今更申し上げるまでもなく、ベルリンの壁が崩れて10年が過ぎ、世界の多くの地域でイデオロギーを座標軸とする世界秩序が崩れました。その上で、どのような世界秩序を作るのかを考えるべきと考えています。イデオロギーの時代には何が善で何が悪かということは、いわば二元論としてすっきりしている面もありましたけれども、今日では、民主主義、人権、法の支配、市場経済というものが共有されるべき基本的価値観だとされています。それと同時に、情報通信革命が驚異的なスピードで起きており、グローバル化が急速に進んでいます。これを裏から申し上げれば、 190近い国々、あるいはそれを構成するコミュニティの実情に即しまして、きめの細かい心配りのできる世界秩序が求められるに至ったと考えるべきだと思っております。これは総論について共通認識ができたからこそ、各論でのルールをきちんとしておかなければならない、そういうことではないかと思います。

ルール作りということから申し上げれば、国連の場が重要な役割を果してまいりましたが、その国連は、大戦後55年を経て大きな改革を必要とするに至っております。他方、第1次石油危機を契機として誕生しました先進民主主義国の首脳会議は、イデオロギー対立の時代を15年、ベルリンの壁の崩壊後10年、そうした年月を経て、昨年のコソボに象徴されますように、新しいルール作りの場として新しい意味を持ちはじめていると認識しております。

ご承知のとおり、本年のサミットは我が国が主催国となりますので、我が国としましては、21世紀の世界秩序をも念頭に置いてイニシアチブを発揮する絶好の機会だと考えております。

資料1をお配りさせていただきましたが、これは先般、総理が九州・沖縄サミットに関する懇談会でなさったごあいさつです。ここにもありますとおり、九州・沖縄サミットは、20世紀が繁栄の世紀であったかもしれない反面、植民地や戦争の世紀でもあったという事実を踏まえまして、21世紀に全ての人々が一層の繁栄を享受し、人生を平穏におくるために心の安寧を得て、繁栄や幸せな人生の根本的要件としてのより安定した世界 (紛争予防ということです。) に生きられるには何をなすべきかを問いかける場だと思われます。

具体的な課題としましては、全ての人々の一層の繁栄という観点からは、例えば、21世紀に向けますます進展されると予想される情報通信革命、世界経済や途上国の開発に関する課題、グローバル化の中でのダイナミズムの源としての文化の多様性、そのような課題があるのではないかと考えております。また、人生の平穏、あるいは心の安寧という観点からは、例えばグローバル化・情報化に伴う国境を超えた犯罪という問題、エイズ等の感染症の問題、高齢者の社会への参画という課題があり、また、より安定した世界という観点からは、コソボ問題を契機にますます関心が高まっている紛争予防や、軍縮・不拡散への取組みということが課題となっていると存じます。

さて、このようなテーマを貫くのはグローバル化ということでございます。ご承知の貿易ですとか、お金の流れにつきましては、資料に用意させていただきましたけれども、こういうものをいかにプラスに活用するか、グローバル化というものをいかにプラスの面で活用するかが大切だと考えております。そのためには多様的な取組みが必要だと考えられます。と申しますのは、アジアの通貨金融危機の影響が、いくつかの国では政治的な動揺も招いたという事実が示しておりますとおり、グローバル化した世界におきましては、経済的側面、政治的側面、社会的側面がますます密接な関係を有するようになってきております。また、経済的側面に限っても、金融、貿易、投資、開発といった関連分野において相互の関連性を十分に踏まえながら、幅広い議論を展開していく必要が高まってきていると考えております。

さらに、分野間の相互関連性のみならず、二国間、多国間、そして地域的な取組みといった種々のアプローチを相互補完的に用いまして、グローバル化に対応していくこともまた必要ではないかと考えており、我が国としましては、今後とも、このような分野横断的、相互補完的な対応をしたいと考えている次第です。

そこで、特にグローバル化の流れの中で世界経済が持続的に発展するためには、貿易、投資の自由化を通じました世界的貿易体制の強化が重要であると考えております。市場アクセスのみならず、ルールの強化をも含む各国の幅広い関心事項に十分に対応しうる、WTOの新ラウンド交渉(シアトルの後)の早期立ち上げが喫緊の課題であると考えております。このためには、途上国の積極的な参画、途上国との信頼醸成というものが現時点において不可欠な課題です。我が国としましても、WTO協定履行に関する人材育成の支援ということを通じまして、途上国の対応能力を強化するとともに、いわゆる後発開発途上国の産品に対する市場アクセスの改善といった、先進国側の努力も必要かと考えております。

次の「国際金融システムの強化」という資料をご覧いただきたいと存じますけれども、同様に国際金融の分野におきましても、大規模かつ急激な資本移動に対応した国際金融システムの強化のためには、新興市場諸国の健全なマクロ経済政策や構造改革の追究、金融システムの強化、適切な為替相場制度の選択等により資本の借手側の対応能力を強化するとともに、資本の貸手側の課題としても、民間関与やヘッジファンド等の分野で一層の進展が必要だと考えております。

さて、グローバル化が進む世界の中でアジアは重要な役割を果たすべきと考えます。我が国としましても、アジア諸国の中長期的発展のために、今後いかなる役割を果たすべきか、アジア諸国と一緒になって検討しようという考えから、アジア経済再生ミッションの派遣、更にこれを踏まえた昨年11月のASEANと日本、中国、韓国首脳会談での人材の育成や交流を強化するための小渕プランの発表、あるいは中小企業・裾野産業の育成、社会的弱者支援等の実施を行ってきております。

もとより、アジアの特徴はその多様性にあると考えておりますので、インドや中央アジア、そういった諸国との対話と協力も重要であり、推進してきているところであります。また、中近東との対話ということも、例えば、日本と湾岸協力理事会、これはGCCと申しておりますけれども、日本GCC21世紀協力といった場で、具体的にものごとを進めていくことが、例えばエネルギー安全保障の観点からも重要だと認識しております。

そこで、21世紀を考えてまいりますと、190近い国の大半を占め、また各大陸にまたがっている途上国と、どういう形で一緒に前進していくのか、これが大きな課題とならざるを得ないと考えております。

日本の人づくり、あるいはその人づくりに基づく社会づくり、国づくり、そういったあり方を世界に広める意味からも、国際経済協力は日本が率先していくべきものだと考えております。

例えば、我が国が、一昨年の秋ですが、国連等と共催いたしましたアフリカ開発会議は、今でもそのフォロー・アップを具体的に進めております。これは言ってみれば冷戦構造の中でしかアフリカ援助をしてこなかった欧米流の考え方と一線を画し、市井の人々、そういった普通の方々の経済社会参画ということが国の発展のもとであるという日本的な国づくり、こういった考え方に強い共感を得たからだと認識しております。

このように、我が国の経済財政状況が依然厳しい状況にある中で、日本的な人づくり、社会づくり、国づくりが、我が国自身のアジアでの経験が実証しておりますように、貧困からの脱却に極めて適していることを新しい世界に示していくことは、世界秩序づくりの中でも積極的意味を持っていると認識しております。他方におきまして、そのためには国民の皆様の一層の国際経済協力に対する理解を得ることが不可欠だと肝に銘じております。

このために、ODAの効率性、透明性の向上のため、昨年8月、政府開発援助に関する中期政策を策定させていただきました。また、国別の重点問題・分野を明確にする国別アプローチを強化しているところでございます。

先ほど述べましたように、途上国の開発の根源は何と申しましても、市井の人々の経済社会の参画であります。いわば日本の哲学を推進するためにも、援助・供与側においてもNGOの方々あるいは市民社会といった皆さんと連携した国民参加型の援助を推進していくということも、強めていきたいと考えております。

以上、時間の都合で大変駆け足になりましたが、国際社会におきまして、日本の意見をはっきり述べることが新しい秩序を模索している世界の最大の貢献だと考えております。こうした中で特に、来る九州・沖縄サミットは、国際社会が直面する課題への我が国の取組みを発信する絶好の機会だととらえております。冒頭に申し上げました、サミットに向けて具体的議論を含め、さまざまな問題について積極的に議論いたしまして、総理がおっしゃっているように、21世紀が全ての人々にとってより素晴らしい時代となるという希望を世界の人々が抱けるよう、明るく力強いメッセージを発進していきたい、このように考えている次第でございます。

以上でございます。ありがとうございました。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。続きまして、通産省の方からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 通産省 〕 よろしくお願いいたします。

資料7に基づきましてご説明をさせていただきますが、冒頭のページに4つの課題が整理してございますけれども、そのうち初めの2つを私の方からご説明をさせていただきます。

まず、1ページ目をお開きいただければと思いますが、WTO新ラウンドをめぐる現在の情勢でございます。ご承知のように、昨年11月末から12月初めにかけて開催された昨年のシアトルの会議で合議が得られませんでしたので、その後、引き続き立ち上げの努力をしているというのが現状でございます。

1ページ目にいろいろな会議がございますけれども、2月7日のWTO一般理事会のときに、基本的にはツーステップアプローチを取っていこうということで合意を得ておりまして、第1段階が信頼醸成のステップ、第2段階が交渉の中身を決めるステップということでございます。信頼醸成と申しますのは、1つは、WTOの意思決定メカニズムを改善する。もう一つは、途上国に満足のいくような形での支援をしていく。この2つでございます。最近になりましても、1ページの終わりの方でございますが、3月に、日EUあるいは日米といった協議も続けているところでございます。

2ページ目に移らせていただきますが、各国の状況でございます。日本・EU・中進国は、昨年11月のシアトルの会議以前そして以降も、包括交渉、大きなパッケージということで議論を進めておりましたが、現在も基本的に立場は変わっておりません。まずは第1ステップの信頼達成に取り組み、第2ステップとしては、やはり大きなパッケージを目指そうということでございます。一方、アメリカは、小さなパッケージというポジションは変えておりません。第2ステップではまたその議論になっていこうかと思いますが、まずは第1ステップの信頼回復ということで議論を進めております。

主要論点毎の状況について、特に大きな変化はございません。引き続き、日本の必要な部分は確保していきたいということで進めてまいりたいと思います。

3ページ目でございますけれども、今後の課題ということで整理をさせていただいております。1番目に、早期立ち上げへのコミット、2番目に2ステップのうちの第1ステップをしっかりやる。3番目は、合意済み課題は着実に進めていく。4番目が、2ステップの第2ステップのことでございます。5番目に、需要事項についての各国の認識の再喚起をしていこうということでございます。

4ページに、今後のいろいろな会議、とりわけ大臣レベルの国際会議を整理してございます。当然のことながら、ここでもう一つの大きな議論になっていこうかと思います。

お時間の関係上先へ進めさせていただきますが、2つ目の課題でございます、9ページに「地域経済協定についての考え方」を整理してございます。ご承知のように、最近、アジア太平洋におきましても、地域経済協定の動きが活発でございます。日本も、シンガポールあるいは韓国と勉強を進めていることはご存じのとおりでございます。

考え方を整理してございます。第1に、通商政策の基本としてはWTO体制、したがいまして地域経済協定は補完的な役割でございます。

さらに、2にございますように、いろいろな地域統合というのが進んできている。2)でございますが、その中身も多様でございます。通常、1)の関税の撤廃を思い浮かべがちですが、そのほかにも、そこに書いているようないろいろな中身がございます。

次の10ページにまいりまして、その効果についてどう考えるかということでございますが、第1に、政治的な効果が考えられる。政治同盟としての側面。第2に、経済的な効果。特に最近のEUの動きを見ると明確でございますが、規模の利益による産業の活性化、効率化が考えられます。第3に、WTO体制との補完的、重層的な観点が挙げられるかと思います。マルチ協定、WTOを進めている国も地域協定を進めている国もほぼ同じ国々であるということ。それから、歴史的にみても、片方が進むともう片方が進む、そういう関係にある。3)で、交渉力の強化に地域協力が使われているということ。4)に、保護主義に対する牽制手段。どうしても相手の地域協力というのは保護主義的に見えがちですので、自分たちが持つことによって、相手の地域協力がより自由貿易的になるように効果を考えていくというのが牽制手段としての政治でございます。

お時間の関係上、12ページに、ここ最近の動きの表が整理してあるということだけを申し上げさせていただいて、私のご説明といたします。

〔 通産省 〕 引き続きまして、同じ資料の13ページ以降のAPEC、アジアの関係について簡単にご説明させていただきます。

15ページをご覧いただきたいと思います。APECにつきましては、委員の皆様方はよくご承知かと思いますけれども、開始されまして約10年を過ぎたということでございます。当初、アセアン6カ国、その他の日米を含む先進国でスタートしたわけですけれども、約10年たちまして、この間、大きな出来事が2つあったわけでございます。1つは、93年のシアトル会合から、当初の閣僚会合に加えて首脳会議がスタートしたということでございます。それから、翌年のボゴール宣言、ここで先進エコノミーは2010年まで、途上エコノミーは2020年までに、貿易・投資の自由化を域内で達成することが決定され、それを受けまして、大阪会合で具体的な行動指針が決まったということでございます。そういった意味で、APEC発足後10年経過し、さらに先進国の貿易・投資の自由化の達成期限の2010年に向けて、ちょうど今年、来年が折り返し点に立ってきているということで、今後、APECの中でも貿易・投資の自由化を具体的にいかに実現していくのかという話が、年を追う毎に具体的に議論されていかなければならないということでございます。

ただ、最近の状況を申しますと、98年にアジア経済危機への対応ということがございまして、とりわけ、今年ブルネイ会合での重点テーマは域内の構造改革の推進ということで、市場機能を強化していくということが1つ。もう一つは、WTOの新ラウンドの交渉が並行して進められるわけですけれども、APECとしていかにこれに貢献していけるかということでございます。APEC域内には、途上国と先進国が両方混在しているということで、とりわけ、先進国から途上国に対していかにこの側面での協力ができるのかというところが、今年のポイントであろうかと思います。来年は、ちなみに中国の上海で開催されるということでございまして、これはこれでいろいろ考えていかなければいけない状況でございます。

続きまして、アジアの状況でございます。17ページにアセアン主要国の経済の現状が書いてございます。中身についての説明は省かせていただきますが、基本的には国によって状況は異なるわけですが、総じて回復基調にあるということでございます。

日本とアセアンとの間の経済産業協力のフレームといたしまして、19ページにございますけれども、現在、日アセアン経済産業協力委員会というものが設置されております。これはカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムを含めましたアセアン10カ国の経済閣僚と日本の通産大臣がメンバーになっていまして、毎年定期的に、この場で諸々の課題を相談し、産業協力を域内で積極的に行うということで設立されたわけでございます。ここで行われていることは、アセアン地域の競争力の強化、あるいは新規加盟国に対する支援というところを大きな柱として、いろいろなプロジェクトを話し合って進めているということでございます。

20ページの下の方に、第2回アセアン経済産業委員会の成果としまして、我が国からAFTA、あるいはAIAの予定どおりの実施を強く主張するということでございます。アセアン地域は、AFTAということで域内の関税率を2002年までにゼロから5%まで下げる、あるいは2010年までにゼロ関税を達成する。新加盟国は、そこから5年ほど先に延びるわけですけれども、そういった努力を進めていますので、それを我々としても支援をしていくということがございます。

それから、新規加盟国に対する支援ということ、この枠組みはもともと新規加盟国の統合を円滑化するためにできた歴史的経緯があるわけですけれども、具体的には東西回廊という、タイとラオスの国境からベトナムのダナンまでつながる1つの国際道路をつくりまして、それを契機にハード、ソフトのインフラを進めていくというようなCLMVという、新加盟国に対する支援協力があるわけです。こういったところを今後具体的に進めていくことがございます。

最後に、時間の関係で恐縮でございますが、中国につきまして、21ページから書いてございます。中国につきましては、現在、内需の低迷によりましてデフレ状況でございます。三大改革を今後どうやって実現していくか、非常に大きな課題かと思いますけれども、あわせまして、WTOの加盟につきましても新聞等で報道されていますとおり、EUとの交渉、アメリカの議会における対中の恒久的な待遇供与というところが対象になるかどうかということがポイントになってくるかと思います。

日中協力といたしましては、具体的には24ページにあるとおり、首脳間の合意に基づきまして、いくつかの柱でこれから取り組んでいくことにしているわけでございますけれども、1つは、内陸部の開発協力というのが、今回の全人大でも大きくクローズアップされましたけれども、ある程度地域を選択しまして、日中間で推進協議会を設立して進めていくということでございます。そのほかに中小企業、エネルギー環境、情報システム、そういった分野で新しい側面についても取り組んでいるところでございます。

最後に、25ページに特別円借款の概要がございます。こうした中国、アセアン、あるいはAPECの加盟国との協力を今後拡大していくための政策手段として、従来からもちろん、JICA、JETRO、あるいは海外貿易開発協会、海外技術者研修協会といった技術協力、さらには円借款という資金協力の手段がございました。特別円借款については、当面、3年間という臨時的な措置として去年からスタートしているわけですけれども、従来の円借款の条件に比べまして、格段に途上国側にとって有利な条件で実施する。しかし、そういったことを一応条件としながら、加えてOECDルール上可能な範囲で、原則として日本タイドで実施をするという新しい制度がスタートしておりまして、関係各国から現在、1兆円を超える要望が来ている状況にございます。当面3年間ということでございますけれども、こうした制度を活用しながら、アジア地域全体のインフラの整備といったところに重点を置いていきたいということでございます。

以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。ただいまご説明がありました世界秩序への取組みにつきまして、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。それから、司会の不手際もございまして、これからは、委員の皆さんにご意見、あるいは質問をしていただいて、Q&Aはせずに、アンサーの方は後ほど、外務省、通産省の方から事務局宛にご返答いただきまして、皆さんにはファックスでという形にしたいと思います。

では、初めにご意見、ご質問をどうぞお願いします。

〔 H委員 〕 外務省にお伺いします。私どもに渡された資料は、資料6というのがページが打ってあるだけなので、どこを話しているのかフォローできなかったのですが、金融のところで、言葉の質問がございます。私どもに渡された資料では8ページ、いわゆる国際金融システムの評価、諸課題が並んでいるところですけれども、3)に「高いレバレッジ金融機関のインプリケーションへの対応」という文章があるのですが、多分、高いレバレッジ金融機関というのは、自己資本比率が低い金融機関のことだと理解していますけれども、その次の「インプリケーションへの対応」というのは何を意味しているのかわからないということが1つです。

それから、その下に◎で「オフショア金融センターに対する国際的な基準の遵守の奨励」というのがありますが、金融センターに規則を守らせるというのは、一体誰に守らせることになるのかというところをお伺いしたいと思います。

それと、通産省にWTOについてお伺いしたいのですが、先日、アメリカ大使館主催の会議がありまして、そこに行ってまいりましたら、アメリカの主張というのは非常にはっきりしているんです。特に労働問題については譲れないと。労働問題に関して、アメリカといわゆる途上国の間の対立が非常にはっきりしているのですが、そこで日本の立場というのは一体どうなっているのだということを、出席者がみんな関心をもちまして、それがよくわからなかったものですから、もし日本の立場があればお聞かせいただきたい。

以上でございます。

〔 A委員 〕 私は意見ですので、ご返事はいりません。

WTOの問題ですが、いろいろ誤解があって、労働組合が壊したというような説もあるのですが、そういう意味ではない。まず通産省の資料の中に、WTOへの信頼醸成措置についてというところで、シンポジウムを通じたNGOとの対話の強化とか、諮問機関の設置とありますが、WTOに加盟している諸国、国際自由労連に入っている労働組合はたくさんございまして、これはぜひ労働組合を対話の中に入れるということが重要だと思います。

というのは、特にサミットの関係もあるのですが、サミットの加盟国のうちカナダと日本だけが政府と労働組合の関係が悪い、あとは大体良好な関係にあるわけです。したがって、そうした対話を重視するということは非常に重要だということですので、これは、言葉の問題ですけれども、日本の見解として、労働組合も対話の相手にしているということを、NGOの中に入るのかもわかりませんけれども、ぜひ心しておいていただきたい。

もう一点は、今、H先生からご指摘のあった、これについては私が委員長をやっている部分もあるのですが、労働の問題ですから非常に注意していただきたいのは、私は、国際自由労連のWTO対策会議に出ているのですけれども、貿易と労働と書くから、途上国はやや誤解する部分がありまして、途上国については比較優位を失うのではないか、ここはいわゆる労働条件という意味にとらえるのです。ところが、国際自由労連の我々のグループで主張しているのは、WTOで議論しなさいというのは、中核的労働基準でありまして、これはアメリカも使い分けをします。したがって、そういう意味では、中核的労働基準ということを明確にしろということを日本が主張することによって、この問題はひとつクリアできる部分があるのではないか。こういうふうに思っていますから、これはぜひ、抽象的な貿易と労働ではなく、貿易と中核的労働基準というふうに言っていただく方が日本の主張は明確になるのではないか、このように今思っています。

それから、今、H先生のお話ですけれども、労働省もWTOに参加しておりまして、今回のシアトルで、ヨーロッパと日本の政府が労働基準と貿易の問題についてはある種のフォーラムをつくって、そこで議論をしよう。それとILOと一緒にやろうというような見解に転じまして、アメリカと対立したのです。したがって、そうした段階的な条件を作って、この労働基準の問題を議論するということについては、日本とヨーロッパはある程度合意ができているということでありますから、そうした方向で進められれば、アメリカも、途上国も説得ができるのではないかと私は思っています。

〔 E委員 〕 全体として「世界秩序への取り組み」となっているわけですけれども、貿易額とか、対外民間融資額とかを見ると、アメリカあるいはヨーロッパ、アジアから比べると日本はどんどん低くなっているという感じがするわけです。量的に見ても、存在感がだんだん少なくなってきている。もう一方で、質的な面でどうかというと、例えば、これからはIT革命だ、第3次産業革命だと言われていますけれども、この辺の戦略ももうひとつすっきりしない。一方で、サミットではこれからの世界秩序のシステムとかルール、あるいは価値観、歴史観、そういったようなことでルールづくりをやるというのだけれども、この辺もどうもはっきり見えない。しかも、現状は、一方で日本は構造改革が遅れて、少子高齢化だという状況の中で、これから10年20年の先の中で、日本が世界秩序の中で一体どういう位置づけを示していくのか、何を突破口として日本というものは存在を示していこうとしているのか、その辺が、今の話を聞いているともう一つよくわからなかったので、もしそういう戦略的なことを、沖縄サミットなどを含めて何を戦略的にしていこうとしているのかという点です。

〔 I委員 〕 私の方は、外務省さんに対する要望になるのです。したがいまして、回答は、むしろ、大蔵省さんとご相談し、ご支援をいただければという要望であります。

1つは、国際金融システムの強化ということでいろいろお話しをいただいたのですが、今日の議題は、インフラ整備ということになるかもしれません。はっきりと言うと、私は、国際的な会計システムに関与しておりまして、これは国際金融システムと若干違いますか、いずれにしましても、産業界のインフラ整備であるという意味では変わらないわけです。

それで、いろいろ見ますと、確かにIMFの総会とか、WTO問題について、外務省さんはいろいろ他省さんと協力してやっておられることはわかるのでございますか、会計システムに関しては、日本と今や大変苦境の域にありまして、アメリカの経済活力をベースにしまして、SECが大変強大な力を発揮しつつあります。国際会計基準に今、世界が動こうとしているのに対して、日本の立場は弱い立場にある。このあたりについて、大蔵省の金融のところとご相談し、バックアップをお願いしたいという要望でございます。

以上です。

〔 F委員 〕 世界秩序づくりというお話があって、外務省のご説明も非常に格調が高くてよかったのですが、ただ、世界秩序づくりに当たっての日本の制約条件、タブーが多すぎると思います。

具体的には、ボゴール宣言と先ほど通産省の方からも話がありましたけれども、2010年に投資・貿易の自由化を実施することになっているわけですが、日本側の理解は、農林グループからの反発もあって、何となく政治的宣言にすぎないのではないか。したがって、必ずしも守らないでいいのではないか、という意見があるわけです。

他方、世界はアジアを含めて、先ほどのCRとAFTAの提携でもわかりますように、2010年というのを目安に、例えば、AFTAとオーストラリア、ニュージーランドが中で自由化を完成しよう、こういうことになっている。そういう例がいっぱいあります。

だから、日本も農産物の貿易問題について、国内で処理するとか、正しい方向を打ち出しませんと、「世界秩序づくり」などという大それたことに乗り出せないのではないかと思いますので、その点について、まずボゴール宣言を守らなければいけないという国際的なコミットメントであるというふうに考えておられるかどうかについて、特に外務省、通産省のご意見を伺いたい。これが第1点です。

第2点は、アンチダンピングであります。アンチダンピングとこの資料を見ますと、アメリカが強行に次のラウンドの主題に取り入れることに反対と書いてあって、日本等と対立と書いてありますが、カナダの議長が行ったシアトルのこの会合では、極端な表現かもしれませんが、99対1で、それを入れることに賛成ということになって、1がアメリカであったと伺っているわけです。そういう中で、アメリカは、大統領選挙の中でこの態度を変える可能性があるのかどうか。

あればいいですけれども、ないとすると、さっきの労働の問題もそうですけれども、その2つの問題は変わらないと思います。そうすると、サミット前にこれを立ち上げるように合意をしようという動きがあるやにも報道されていますけれども、そんなことは、言うべくしてなかなか実現しないのではないかと思いますが、これは書面で回答していただく必要はないと思いますけれども、お考えがあれば伺いたいと思います。

第3点は、ODAです。ODAの供与基準の中に腐敗防止、今、武器の輸出をしているところはだめだとかいろいろ条件がありますが、あれに加えて、汚職といいますか、腐敗をしている国はだめだという条件を入れたらどうか、これは意見であります。

以上です。

〔 J委員 〕 返事はいらない、私の一方的な意見でございます。

先ほど両省のご発言の中で「環境」という言葉が一度も出てこなかったのですが、21世紀を展望しますとものすごく重要な問題だと思いますので、今後、その問題に一生懸命取り組んでいただきたいということでございます。

〔 K委員 〕 少子化の問題で、私は、今日のお話の中に、企業がやるべきことというのはあまり出てなかったと思うのですが、日本で最大の問題は女性を活用していないということだと思うのです。同じ大学を出ていても、総合職と事務職と分けてしまって、女子の能力を引き出すような措置は企業はほとんどしてなかった。将来、家庭でもどこでも仕事ができるように、インターネットを使えば子どもを育てながらちゃんと会社の仕事ができる、というようなことを考えていくべきであろうと思います。

〔 部会長 〕 時間でありますので、ご了解をいただいて、エンドレスとは申しませんけれども、若干の時間の延長をさせていただきたいと思います。

〔 L委員 〕 Eさんがおっしゃったことと少し関連しますけれども、もう少し全体を包み込むようなコンセプトというのはどういうものなのか、ということを示していただくということができればいいと思うのです。今日のお話を伺っていると、世界秩序について、日本の取り組みについて、今までやってきていること、課題になっていることを中心にお話しになる。これ全体として何がしたいということが、もう少しはっきりお示しいただけるとありがたいと思いました。

2点目は、これはF委員がおっしゃったことと全く同じことでありますが、ボゴール宣言について日本はどう思っているのか、これについて覚悟はどういうことなのかということは、ぜひともはっきりさせていただかないと、10年といっても、こういう問題はあっと言う間に過ぎますから、今のような調子で、あれは口で言っただけで政治的な問題だから拘束力はないんだ、というようなことを日本が言っていたら、世界秩序どころじゃなく、アジア太平洋の中ですらリーダーシップも何も取れないという話になるのではないかと思います。

〔 部会長 〕 非常に重要なご指摘だと思います。

あとは時間の許す限り、省からコンパクトなご返事、さらに意が足りないところは、文書、ファックスでも結構ですからいただきたいと思います。

〔 外務省 〕 ご指摘を数々いただきまして、ありがとうございました。

H先生の、「高いレバレッジ金融機関」は、いわゆるハイリスク・ハイリターンで大儲けしている機関です。そのインプリケーションというのは、例えばアジア危機というのは、結局、資本収支危機だったというふうに言われておりますけれども、彼らの透明性をどういうふうに確保するのかとか、彼らの監督ということをどういうふうにやっていくのかということをみていかないといけないということです。今、1日の金の動きが1年の貿易の動きに相当するとか言われておりますけれども、そういった金の動きの主役になっている人たちが行っていることが、世界経済にどういう意味を今後もっていくのか、実はまだよく誰もわかってないのだろうと思います。そこを監督当局を含めて、考えていかなければいけないという話であろうかと思っております。

オフショアセンターの話については、オフショアセンターはもちろん世界経済のために貢献もしているのですけれども、他方において、マネーローンダリングなどが問題になっているものですから、オフショアセンターになっている国とか、島とか、地域とか、そういう当局との協力関係をどういうふうに構築していくかというのが今、1つ話題になっているという次第です。というのは、まさにグローバル化の負の暗い側面、グローバル化あるいは情報革命を利用する悪い人も世の中にいて、まんまと利用されてしまっているところを、まんまと利用されないようにしようではないか、そういう話です。

A委員のお話は、この前も伺いましたので、十分に意を用いて行いたいと思っております。

E先生の、「おまえ、何をやるんだ」という話に対する答えは、私は非常に難しい答えだと思っておりますけれども、1つやっていかなければいけないのは、それは賢い各論の積み上げだと思います。今、もちろん大上段に哲学をやるというのも大事だと思います。今、イデオロギーの時代が終わった後に、人間何をするかというのを模索しているときに、哲学的思考ということを打ち出して、歴史の流れの中でこうなんですよということは非常に大事だと思いますし、可能な限りそれをしていかなければいけないと思います。しかし、それを果して日本はどれくらい得意としているかということを考えると、日本は、一つ一つの各論できちっと考えて、言葉は悪いですが、時流に流されない賢さをもって、それの積み重ねをやっていって、世界に「なるほどな」と見てもらうことが、今の時点では、一番効果的なのかと、私は個人的には考えております。

会計基準の話、申しわけございません、私つまびらかでございません。

ボゴール宣言、その他厳しいご指摘がございましたけれども、そこは私どもも肝に銘じてやっていかなければいけないと思います。ただ、国内の経済も、必ずしもすっきりしていないということは、残念ですけれども、1つの事実であり、本当に21世紀になってしまったときに、そう言っていられるのかなと思っております。それはご支援、ご指導いただきながら、実施していかざるを得ません。

腐敗防止の話は、サミットの中でもいろいろあって、あるいはOECDの中でも非常に議論されておりまして、これは本当にやらなければいけないことだという認識は、皆さん持っておりますけれども、国内法制との平仄という意味で、技術的な問題があるやに仄聞しております。そこをどういうふうに今後やっていくのかということが課題です。

環境の重要性、J委員からお話がございまして、それは京都議定書の実施、今度アルゼンチンでやります、いわゆるCOP6会議というのでしょうか、気候変動枠組み条約の実施ということ、まさに重要だということは重々認識しておりまして、首脳方がどういうご判断をなさるかは別といたしまして、来る九州・沖縄サミットにおける重要テーマの1つという認識はさせていただいております。

G先生からも、全体を包み込むコンセプト、何をやりたいのかというご指摘がございました。これは難しいです。難しいのですけれども、先ほど申しました、今、イデオロギーが終わったので、総論というのはもうみんな一致しているわけです。あるいは、少なくとも、多くの国は一致していることにしている。日本は、一致していると言っていいと思うのです。その総論の中で、各論を打ち出すというのは、それぞれのセクター毎にやっていかざるを得ない面もあると思うのです。開発について言えば、今、一部の欧米と我が国がやっている対立があります。貧困削減だけを大きな柱とする開発論、それはいわばパイの分け合いですが、それで進むのべきなのか、或いは、そうではなくて、パイを分け合うだけでは意味がない。パイそのものを成長させなければだめなんだ、というのが日本の基本的発想であって、そのパイの成長、つまり貧困削減を伴う、あるいは貧困削減のための成長ということを日本が主張していくことで、先ほど通産省さんからもいろいろご披露のありました政策ということが、論理的裏付けをもって言っていくのだろうと思います。例えば、開発では、そういう哲学論争が必要です。

ついでにもう一つ言ってしまえば、「人は石垣、人は城」というのが日本の哲学とは申しませんけれども、開発の世界ではそれが日本にとってかなり重要な柱になっております。これはほかの国のアプローチと大きな違いがります。結局は、冒頭に申しました、賢い各論の積み上げをやっていかざるを得ないのが、日本の宿命なのかというふうに、私は個人的に考えております。

〔 部会長 〕 通産省の方から、どうぞ。

〔 通産省 〕 APECのボゴール宣言で示された2010年、2020年の自由化達成期限についてですけれども、これは明らかに我が国としても、あるいは我が国のみならず、APECの参加国全部がそれを目指すということで、いろいろ約束をしているということだと思います。これは、関係各国やそれ以外の国もそういう認識でいるということだと思います。

問題は、APECの各参加国が自主的に自由化を実現していくという、この取り組みの中でいかにそれを具体的に実現していくのか、つまり実現方法というところが今、各国の中でも議論になっているところでございまして、日本がまず率先して自由化を進めていくということを示さなくてはいけないということが1つあると思います。

ボゴール会合の翌年に、大阪のアクション・アジェンダが決定されましたが、具体的にそれを進めていくためのプロセスとして、日本が議長国として各国の合意を受けて作ったアジェンダの進捗の度合いがもう少し明快に世の中に明らかになることが必要です。ビジネスやマーケットによって、各国が評価されるという形で、各国の自由化努力に対してプレッシャーをかけていくような仕組みを作っていく必要があるのではないかというようなことでございます。

いずれにしましても、日本の場合には、農産物の貿易をどうするのかということについてのコンセンサスが必要でございまして、どういうふうにコンセンサスを作り、自由化の方向へ向けていくのかということにつきましては、ぜひいろいろな場で、経済審議会等も含めまして、十分な議論をしていただいて、方向性をつけていただくことを、私どもとしても強く願っているという状況でございます。

E先生等からご指摘のありました、我が国として何を突破口としてこれから世界秩序を形成していくのかという話ですけれども、我が国の場合には、官と民と含めまして、貿易投資を世界経済の中で拡大していく中で、官も民もその中に積極的に関与していくということが一番重要ではないかと考えております。

若干紹介がありました、シンガポールとの間での現在の自由貿易協定の研究ですけれども、これも確かに小さな第一歩ではあるのですけれども、物の貿易だけではなくて、サービス貿易でありますとか、投資、基準認証、貿易関連手続、人の移動の円滑化、あるいは電子商取引、人の交流の円滑化、そういった幅広いテーマを自由貿易協定の中に盛り込めないかという観点で今研究を進めておりまして、これはひるがえってみれば、我が国経済そのものにはね返ってくる、構造改革のための1つの手段であるわけです。こうしたやり方で世界経済の中に関与していくと同時に、我が国自身を変えていく、というようなことが1つの進め方ではないかと考えております。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。まだ不足な点がありましたら、続けてお願いしたいと思います。

特に、世界秩序への取り組みという問題では、私も経済団体で数年前に、勉強して提言を出した覚えがありますけれども、最後は、それぞれの省庁の立場は、もちろん事実の積み上げということは具体的事実の積み上げも必要でございますけれども、Eさんや、Gさんのおっしゃるとおり、全体を包み込む何かがないといけないと思います。これは今後のフォロー・アップとか、分析、それから提言という中で活かしていきたいと考えております。

まだいろいろとご質問、ご意見があろうかと思いますけれども、時間の関係もございますので、ここまでとさせていただきます。本日は本当にお忙しいところを長時間ありがとうございました。

それでは、本日のもう一つの議題であります「政策小委員会」の設置についてお諮りしたいと思います。事務局から説明をお願いします。

〔 事務局 〕 前回の第1回目の当部会でのご議論のございました、審議スケジュールの中で効果的な政策提言を取りまとめていくということで工夫が必要ではないかというご指摘もございまして、お手元の資料8に用意してございますが、政策小委員会を設置ということをお諮りしたいと思います。これはご議論も踏まえて、部会長とも相談して、今日諮らせていただくものでございます。

設置の趣旨でございますが、政策推進部会の限られた審議スケジュールの中で、実効性のある政策提言の取りまとめに資する観点から、政策推進部会に政策小委員会を設け、「

あるべき姿」の実現に向けた当面の重要な政策課題について調査審議を行う。

構成でございますが、委員長としては、水口部会長。委員として、委員長の指名する学識者5名程度ということでいかがでしょうかということでございます。

検討スケジュールでございますが、4月上旬から5月下旬まで、4~5回程度開催、かなり密な検討になるかと思います。この小委員会での検討の結果は、部会の報告案の中に盛り込んで、この推進部会でご審議いただくというようにしてはどうかということでございます。

この件につきまして、私どもの堺屋大臣の方が、本日は国会の関係でここに出席できませんけれども、ぜひ委員の皆様方に伝えてくれということで言われております。

「あるべき姿」の実現のためにも、最近の設備投資の回復の動きを日本経済の新しい発展へとつなげていくことが重要である。そうした観点から、ここ3年程度の間に重点的に取り組むべき政策課題について、IT革命の対応といった点を中心にご検討いただいて、中期方針というものを取りまとめていただけるとありがたいというようなことでございます。

小委員会では、そういった点について重点的にご検討いただきまして、その成果を当政策推進部会でご議論いただければと存じておりますので、よろしくお願いいたします。

〔 部会長 〕 それでは、ただいま説明のありました件についてご意見がございましたらお願いいたします。

ご異論なければ、この案のとおり今後の運営を行ってまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔 部会長 〕 それでは今後はそのようにさせていただきます。

なお、政策小委員会の委員につきましては、当部会の委員以外の方にもお入りいただく場合もありますが、恐らく、時間の関係で夜に相当やらなければいけないということになりますが、その点も含めまして、私にご一任いただけたらと思いますが、いかがでございましょうか。

ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

それでは、次回の日程ですが、4月4日火曜日、15時から17時まで、この同じ会議室で開催いたします。次回は、情報化の推進、世界への情報発進、創業・起業の促進について、関係省庁からヒアリングを行う予定でございます。

できれば、事務局にお願いいたしますが、資料は早めに委員の皆様に配って、読んできていただきたいということでできればと思います。

それでは、最後になりますが、お忙しいところを政務次官にお越しいただいておりますので、ごあいさつ、あるいはコメントがございましたら。

〔 政務次官 〕 時間も押しているようでございます。時間延長してまで、本日お時間をお割きいただきました皆様方に心から御礼申し上げたいと思います。

それから、1つご報告で、実は政務次官、ご承知のように、去年の臨時国会から役割が強化・拡大されたわけでございまして、今日の大きなテーマもいくつか省庁間を超えていろいろと進めていかなければならない問題、ある意味ではそういう問題ばかりが今残って、それが日本の根本問題のように思うわけでございますが、政務次官が省庁を超えて6つのテーマで分科会を組みまして、今、日本が抱えている問題について政治の側からやっていこうという動きもございますので、ご報告をさせていただきます。

国家の危機管理であるとか、本日テーマになりました少子化の問題など、これも厚生省、労働省、文部省というだけでなく、極めてコンプリヘンティブな問題だということで、政治の立場から、バリアを超えて、まさにバリアフリーで討論し、かつ具体的な施策を作っていこう、そういう動きもございますので、一言ご報告させていただきます。

本日はありがとうございました。

〔 部会長 〕 政務次官、どうもありがとうございました。

今日は時間を延長いたしまして長時間のご審議、誠にありがとうございました。また次回以降もよろしくお願いいたします。

── 以上 ──