経済審議会総会議事概要

1.日時:

平成12年2月24日(木) 午前8:30~9:25

2.場所:

内閣総理大臣官邸ホール

3.出席者(敬称略)

 (委員)

伊藤 助成、稲葉 興作、角道 謙一、金井 務、香西 泰、小林 陽太郎、佐々波 楊子、下村 満子、末松 謙一、鶴田 卓彦、得本 輝人、豊田 章一郎、長岡 實、那須 翔、星野 進保、水口 弘一、村田 良平、諸井 虔、師岡 愛美、山口 光秀、和田 正江

 (内閣官房)

 小渕内閣総理大臣、青木内閣官房長官、古川内閣官房副長官、江利川首席内閣参事官

 (経済企画庁)

堺屋長官、小池総括政務次官、中名生事務次官、新保経済企画審議官、牛嶋総合計画局長、河出調整局長、鹿島物価局長、貞広経済研究所長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官 他

4.議題

  • 会長の互選
  • 経済審議会の今後の運営について

5.議事内容

(1)会長の互選

 委員の互選により、豊田委員が会長に選任された。会長代理には長岡委員が会長から指名された。

(2)経済企画庁長官あいさつ

 政府は景気の回復に全力を挙げるとともに、金融システム改革等、各方面で構造改革を進めてきている。構造改革を定着させ、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(平成11年7月経済審議会答申、閣議決定)に沿った新しい経済社会を創造するため、特に情報化の飛躍的推進、世界への情報発信、創業支援、少子高齢化への対応、循環型経済社会の構築、世界経済の持続的発展への貢献が重要。これらの点に関し、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の政策の進捗状況の点検と基本的な方針の具体化のため、経済審議会でご審議いただき、明確な指針を早期に打ち出していただきたい。

(3)経済審議会の今後の運営について

 経済審議会の今後の運営について、委員及び堺屋経済企画庁長官から以下のような発言がなされた。その後、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の施策の実施状況の点検と今後の政策運営の方向性の提言を行うために、「政策推進部会」を設置し、①多様な知恵の社会の形成、②少子・高齢社会、人口減少社会への備え、③環境との調和、④世界秩序への取り組み の4つのテーマに沿って検討を行い、平成12年6月末を目途に報告書をとりまとめることが了承された。

 (委員)

  • 4つのテーマ以外に、政府の役割について検討しないのか。
  • 2010年に至るまでの道程、時間軸を示す必要があるのではないか。
  • 「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」について、少子化に歯止めをかけるだけでなく、外国人労働者導入等の問題まで踏み込んで検討を行うのか。
  • 循環型経済社会について、モノの循環だけでなく、ヒト、カネまで含めて広く検討すべきでないか。
  • 現段階でも構造改革はかなり進展している。ただし、マイナスの影響面も現れているため、景気の回復に反映されにくい。構造改革はかなり進展しており政策の方向は正しいということの理解促進に努めるべき。
  •  (堺屋長官)
  • 4つのテーマがすべて同じ速度で進むわけでないが、当面3~4年の課題と今後10年間の課題の両方の問題意識で審議していただきたい。
  • 少子化の抑制は有効な対策がとられても効果が現れるのはかなり先になるので、当面の問題も重要。高齢化の進展の中で、労働人口対被扶養人口の比率を一定にしていくことが重要であり、高齢者の雇用や外国人労働者についても重要な問題として審議していただきたい。
  • 循環型経済社会は社会経済全体として持続的なリサイクル社会の構築を目指すものであり、組織、事業、人材、技術、教育等が一体的に必要。
  • 構造改革は時間がかかることや、リストラ等で苦しんでいる方もいることから、なかなか理解が浸透しない面もある。小渕内閣の構造改革は相当の速度で進んでいると思う。

(4)小渕総理大臣あいさつ

 様々な政策の結果、景気は最悪期を脱したが、民間需要の回復力はまだ弱く、一層の努力が必要。あわせて経済構造改革を確実なものとすべく、経済新生のための政策を全力で推進する。より重要なのはわが国の経済社会構造の抜本的な改革であり、このため「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の実現を目指し、全力で努力していく。経済審議会では、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の進捗状況の点検と基本的な方針の具体化のために、積極的にご審議いただきたい。

(5)小渕総理大臣と委員の意見交換

 小渕総理大臣のあいさつの後、総理と委員の意見交換が行われた。概要は以下のとおり。

 (委員)

  • 構造改革は着実に進展している。
  • 経済は設備投資が好転する等明るい動きがでてきているが、消費は依然不振であり、慎重に対応していくべき。
  • 市場経済システムは重要であり全般的にうまく機能しているが、企業の実態と乖離した株価が存在するということについては何らかの対応が必要なのではないか。
  • アジアからの留学生受け入れ拡大が、わが国にアジアの活力を取り入れ多様性を増すことにつながる。
  • 少子高齢化への対応は、まず女性の社会参加が重要。
  • 循環型経済社会について、排出物の適切な処理だけでなく発生抑制にも積極的に取り組んでいただきたい。
  • 産業競争力の強化について、改革の事前協議等、労働者保護にも配慮することが重要。
  • (小渕総理)
  • いずれももっともな意見なので大いに参考にさせていただきたい。
  • 景気回復と構造改革を両立して進め、プラス成長を達成していくことが重要。
  • 留学生の問題については真剣に考えていかなければならない。
  • 経済の現状については、設備投資が本格的に好転してくれば望ましい。消費が確実に回復しなければ経済全体の活性化につながらないので、考えていかなければならない。
  • 少子高齢化や男女共同参画の問題については、社会保障と労働の両面からより一体的に検討すべきといった意見もあり、十分参考にしながら努力していきたい。

以上

 本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
 宮原、阿部
 電話 03-3581-1041