第5回物流・情報通信ベストプラクティス研究会議事概要
1.日時:
平成12年5月18日(木)10:00~12:00
2.場所:
経済企画庁長官官房特別会議室(729号室)(第4合同庁舎7F)
3.出席者
(研究会)國領二郎座長
石原和幸、石原誠一郎、井出一仁、岩田彰一郎、北之口好文、花輪順一、藤田周三の各委員
(事務局)牛嶋総合計画局長、塚田審議官、永谷審議官、税所計画官、その他総合計画局職員
4.議題
- 中間報告書(案)について
5.議事内容
- 緊急アピールの「とにかく繋ごう」は大変良い標語としてまとまっていると思う。
- 緊急アピールはもう少し表現をストレートにした方が分かり易いかも知れない。
- 緊急アピールの②(低廉な定額料金など、使いやすい料金メニューを拡充し、増大する需要を梃子に、高速回線インフラの構築を繋ごう。)は供給先行型ではなく需要で引っ張るという趣旨。
- 緊急アピールの⑤(何でも繋ごう。)について、「官と民」だけでなく、「官と官」も追加すべき。
- 緊急アピールの⑤における「内と外」は「横と外」にした方が良いのではないか。ネットワークは「横」のつながりを意味するものであるため。
- ネットワークをつなぐという意味では、上司と部下は「繋ぐ」ものではなく、上下関係をなくし、フラットな関係にするべきものであるから、緊急アピールの⑤における「上と下」はこの場にそぐわないのではないか。
- ネットワークを通じて風通しを良くすることで各人が夢を持ち、社会が変わるということを意味するのであれば、「官と官を繋ぐ」ことを表明することにより、いわゆる縦割りがネットワークのつながりで変化していくのだという期待がもてる。
- 「世界」や「グローバル」という概念が前提として「緊急アピール」がなされているが、実際の緊急アピールの①から⑤には、それらの言葉が一切使用されていない。我が国内だけのネットワークのつながりではなく、世界を相手に積極的に行動していくという視点を盛り込んだ緊急アピールを提言する必要があるのではないか。
- 緊急アピールに「世界の中で、よりグローバルなシステムの中で活躍できる」という趣旨を盛り込むべき。
- 我が国は、将来的に世界最先端の価値を作っていく国、世界から尊敬される国であるべき。
- ルール等あらゆるものが米国からもたらされるようになれば、実際にモノは動いていくのに、国内事業者にとってはビジネスは成り立たない。世界と同等に競争できる環境を我が国が積極的に構築するという趣旨を盛り込むべき。
- 中間報告書(案)の第3(ネットワーク取引の特性を最大限に発揮させるための諸方策)及び第4(「世界のベストプラクティス」実現の鍵を握る「物流のスピード化」)だけをみると若干抽象論に終始している感はあるが、全体的にはよいのかもしれない。
- 既存インフラが24時間365日使おうと思うときに使えるという体制になっていないことが問題。例えば、航空輸送が商流の円滑化に絶対的に必要だが、どこの空港も夜間の使用が困難な状態にある。
- 緊急アピールとしては、「とにかく繋ぐ」ことのほかに、その繋ぎ方も盛り込むべき。「いつでも・どこでも・誰でも・何でも・手軽に(安く)」繋げることが必要。
- 我が国が従来比較優位を有している製造業の立場でみると、この報告書(案)はインターネット取引を使用する一部の者だけのものだという狭い見方をしてしまうおそれがある。デルモデル型の製造業のようにネットワーク取引が新たな製造業を生み出すということを念頭において製造業における変化等についても記述すべき。
- 報告書(案)12頁における「海上輸送、航空輸送を含めた物流時間の短縮や定時性の確保」については、「定時性の確保」というよりも情報通信を利用した物流の観点では、貨物が今何処にどういう状態であるかということが分かるようになるという状態の方が重要であろう。
- 製造業との関係で言えば、報告書(案)の「はじめに」におけるネットワーク取引の4段階の概念がおかしいのではないか。製造業にも通用する段階論、つまり製造業をより強くするための情報通信や物流が必要であるということをもっと明確化した方がよい。
- このネットワーク取引の4段階の区分は流通業にあてはまるけれども、果たして製造業には当てはまるか疑問。この報告書(案)は情報通信を活用した産業の中で物流にスポットライトを当てた。そしてそういう物流が製造業を始めとして様々な産業や社会に影響を及ぼしていくのだという説明をすべきだ。このままでは物流以外の他の分野への波及が希薄だというイメージを持たれるおそれもある。
- 従来余り提言等されていないものを目玉として出すべき。
- 「ネットワーク取引」のスピード化の最大の鍵として、「物流のスピード化」を取り上げたことが新規性と考えられる。
- 「ITSとインターネット等との結合」は世間的にはまだ余り言われていない分野なので新鮮さを打ち出し得る。
- ベストプラクティスの実現において、モバイルの活用を巧く取り込むためにも、緊急アピールの①における「全家庭・全事業所」を「全個人」にするのも一法。
(本議事概要に関する問い合わせ先)
経済企画庁 総合計画局 社会資本班
TEL:03-3581-0764