人口減少下の経済に関する研究会(第5回)議事概要
1 日時
平成12年5月10日(水)10:00~12:00
2 場所
経済企画庁総合計画局会議室(732号室)
3 出席者
(委員)
橘木座長、井堀委員、岩田委員、小川委員、小塩委員、永瀬委員、伴委員、
(事務局)
牛嶋総合計画局長、永谷審議官、塚田審議官、藤塚計画課長、大脇計画企画官、太田計画官、
4 議題
- 1)人口減少と日本経済
- 2)「人口減少下の経済に関する研究会」報告書に関する基本的考え方
5 会議経過
事務局より「人口減少下における経済に関する研究会」の配布資料について説明が行われた後、自由討議を行った。
研究会報告の内容についての自由討議。
6 討議の概要
- 1)人口減少と日本経済
- 一般政府の負債と社会保障基金の資産が相殺し合う為に、金利の影響はそれほど大きくないと考える。
- また、足元の国債金利であるが、現在国債価格が株式同様バブルの状況にあり、足元の国債利回りは低くなりすぎており、何らかの修正を加えた方がよいと考える。
- 今回の年金制度改革でかなり社会保障基金の財政見通しは改善したものと考える。
- このモデルにおいて、人口の波動はもっとセンシティブに取る必要があると考える。
- これだけ長期のモデルでは、1年刻みよりも5年刻みの方がよいと考える。
- 子供の養育費等のためか、子供がいる女性の方が子供のいない女性より就業率は高くなる。女性の出産と就業率をリンクさせる必要があると思う。
- 2)「人口減少下の経済に関する研究会」報告書に関する基本的考え方
- 仕事の為、結婚・出産に踏み切らない女性は多いが、そうした女性でも約半数は40歳までに厚生年金から脱退している。女性が社会で活躍する際の障壁は今もって大きい。
- NGO、NPOなどGDPの拡大にほとんど影響を与えない分野に生きがいを見出している人が多くいる現状を考えると、経済活動の状況を測るのにGDPだけを見るのには問題がある。
- 自らの安全・保障のため自分の子孫を多く残そうとするのは生物としての本能だろうが、飽食の現代においてはそうした考えは薄れてきていると共に子供を産んでもつまらないと考える人が多くなってきたのではないか。
- 男女間・年齢差・国籍等による社会参加への不平等が、社会的立場が劣位にある人々の潜在能力の発揮を阻害しているのではないか。
- 人口が減ると資本装備率が高まり、人口減少によるマイナス要因を補うとしているが、限界があるのではないか。また、高齢化はIT等への適応力を喪失させるのもと考える。
- 少子化は選択の結果であって、少子化を食い止める施策についてまで範囲を広げてしまうと全体から浮き上がってしまう恐れもある。
- 経済活性化はリスクが伴うものであり、リスクを減らすのではなくリスクを許容できる社会の構築を主眼としておくべき。
- 人口の内生化をもう一度考えてみるべき。
- 介護などをみるためには家族という単位で考える必要がある。モデルにおいても人口だけではなく家族を単位として考える必要がある。
- 介護保険の施行によりこれから介護のデータが急速に出てくる。また、寿命ではなくどの程度健康かといった健康度のデータも揃ってくる。この辺りをモデルの要素として考えてはどうか。この他、離婚の増大にも注意を払うべき。
- 少子化は行きすぎであると考える。子供を持たないとする「合理的」選択には、様々な制約条件があり、その制約条件を取り除くための提言は必要と考える。
- 人口減少に対しては、少子化対策のほか移民受け入れも有効と考える。
7 次回以降日程
第6回 6月7日(水) 10:00 ~ 12:00
開催地は今後決定する。
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。
(連絡先)経済企画庁総合計画局計量班
鮎澤 大橋(03-3581-1098)