第3回物流・情報通信ベストプラクティス研究会議事概要

1.日時:

平成12年3月16日(木)10:00~12:00

2.場所:

経済企画庁長官官房会議室(708)(第4合同庁舎7F)

3.出席者

(研究会)國領二郎座長
石原和幸、石原誠一郎、井出一仁、岩田彰一郎、花輪順一、藤田周三、前田正明の各委員
(事務局)牛嶋総合計画局長、塚田審議官、永谷審議官、藤塚計画課長、税所計画官その他総合計画局職員

4.議題

  • ベストプラクティスに向けた戦略について

5.議事内容

  • 世界の企業が我が国に集まってくる圧倒的な魅力を如何にして提言として作っていくのか。楽市楽座的な拠点を長期的にどう具体的な形にしていくか。研究会の議論をメリハリをつけてやるのか、まんべんなくやるのか。
  • 議論の前提としてネットワーク取引の定義をはっきりさせたほうがよい。
  • 一般的にはネットワーク取引の定義には、①情報交換する商談レベル、②実際にモノが動き配送されるレベル、③最終的な決済レベル。この研究会では少なくとも②のレベルまでは求められるべき。②のレベルの取引では、需要予測、在庫管理等をネットワークで効率化することが必要。この研究会の検討対象範囲を考えると自ずとネットワーク取引の定義論に入ってくる。ネットワーク取引は消費者-企業の関係だけでなく、情報-モノの動きを如何に結束させていくか、の観点での定義になると思う。
  • 魅力ある取引環境を如何に作るかということでは、我が国は色々理想を言うのであるが実際には企業はそれを導入しない。それはトップマネジメント、社内的慣行、人材・資金不足のような阻害要因があるためである。この阻害要因を如何にして打破していくか。
  • 今回の資料では「商慣行」が最もプライオリティーが高く、ボトルネックとなっている。
  • 流通構造に手をつけず、情報や物流のみだけ手をつけても全体でみたら効果が上がらないのではないか。
  • インターネットは自由に様々な者と付き合いをすることができる手段であるが、わが国企業取引は系列化しているため、自由に取引相手を選べないのが現状である。もっと企業が取引相手を自由に選んで協力できるようにしなければならない。取引の系列化を助長するような構造的な問題を見つけ解決していかなければならない。
  • 従来は我が国企業はグループを構築し系列化に邁進してきたが、オープンマーケットを作っていかなければならない。しかし、これは強者と弱者を明確に峻別させてしまうため困難が伴う。日本人はこういうことに不得手である。
  • 大手国内航空3社が代理店に対して情報を共有化しようという動きがある。国際競争に曝されたことによる経営効率化の動きは現実に行われているのであり、企業は時間はかかるが系列を乗り越えて伸びていくのである。
  • 物流の中で、ある部分に係る情報をネットで一括して把握できれば全体の物流の効率化に資する。
  • 我が国はインフラは個々でみれば良いものが揃っているのであるが、それらの連結が非効率ではないか。
  • 特に空港と道路の接続は悪い。空港では検問が多い。スキポール(蘭)やワシントンでも検問は一切ない。環状道路の整備率が高くてもヒースローではトラックが空港の周りで航空機から荷卸されてから2時間も待機させられている。いわば情報の分断が生じている。トラックと航空機の荷卸をネットで一元管理できれば効率的な配車ができるはず。
  • ハードの整備量だけではなくシームレス化等従来とは異なる指標も必要ではないか。
  • インフラは必要であり、その利用を効率化するためには情報化が必要というのが結論ではないか。まずインフラを整備するのか情報化を推進するのかという視点が必要。
  • 既存の空港や道路を最大限に活用するために如何なる方策があるかという視点も必要。
  • 顧客ニーズの変化により、従来は100の荷物を1個口で扱えたものが、100個口で扱わなければならなくなった。このため人力では処理に限界があり電子タグ等の技術が求められるようになっている。
  • 要はトラフィック論である。インテリジェンシーの高い物流が求められるようになった。
  • 週に売上高のピーク・オフピークがあっても配車のダイヤが定まっているので変えられない。したがって、空車の時も多い。
  • 結局カスタマーズサティスファクションを高めていくと、積載効率や需要の波が大きくなる。年に何回あるかないかのピークのために莫大な投資をせざるを得ないこともある。
  • ピークの平準化をすると積載効率が倍になる。新しい需要を作るという意味も大きい。ATMの時間延長もある意味でピークを分散できるという意味がある。
  • スピードという観点から企業、国が対処していくべき心構えをしておく必要がある。
  • 長期的施策か短期的施策かという施策のサイクルの違いも考慮に入れるべき。
  • 世の中に刺激を与えるタネを伸ばしていけば周囲の意識改革を促す。しかし一方でひずみが生ずる。インターネットは確実にそういう事象を助長することとなる。誰でも開設できる公設市場のようなものを作るのもよい。
  • 「公設」が良いものとは限らない。
  • 企業取引の系列化も価値が無ければ消費者は離れていく。系列化を打破することに楽観主義に過ぎることは疑問である。
  • 共通のプラットフォームを構築するのに独禁法上障害となることはあるか。仮にここに問題があるのであれば公的な関与が必要となってくるであろう。また、インターネット社会の射程範囲が広い。物流だけに絞るのが良いのか。
  • 今回の検討テーマでは物流が全体のボトルネックになっているので、インターネット社会の射程範囲も物流に絞ることに意義はある。また情報通信の通信速度は今以上速くなるだろうが、物流にとって余り大した影響にはならないだろう。
  • 通信速度を速くするよりも物流システムを情報通信で結束させることのほうが優先順位が高いのではないか。
  • 通信速度は、音楽配信のように通信のみで完結してしまうものに対しては確実にモノの運送を減少させる効果をもたらす。そういう意味で通信速度は物流にとって大きな影響を及ぼす。
  • 通信速度が全てではないが、それによってある程度解消でき得る問題もある。
  • EDIの進展では、台湾・韓国・シンガポールが最近急速に伸びている。物流のハブの問題も含めこれらの地域に主導権を持っていかれかねない。後5年も経てば何でも製造できるという日本の強みがなくなるかも知れない。
  • 物流と製造の関係は並列で考えるべきか。それとも物流が起爆剤となり製造を牽引していくという考えを採るべきか。いずれにしても物流は、社会システム的に考えていかなければならない問題であろう。例えば、シンガポールの港湾では共通のトレードネットというインフラが完備されている。
  • 短期的方策・長期的方策の視点でそれぞれ如何に取り組んでいくべきか、短期的な方策としては、既存のものを如何に活用していくか、長期的な方策としては、根本的問題の部分を国内的・国際的に如何に取り組んでいくか、が今後の課題。
  • 情報通信の発達により製造のリードタイムの短縮に貢献でき、国際競争力を有することができる。

(本議事概要に関する問い合わせ先)
経済企画庁 総合計画局 社会資本班
TEL:03-3581-0764