統計委員会

府 統 委 第 73 号
平成21年9月14日


総 務 大 臣
   佐 藤  勉 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第18号の答申 国勢調査の変更について


 本委員会は、国勢調査の変更について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  承認の適否
     統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の要件に適合しているため、変更を承認して差し支えない。
     ただし、以下の「2 理由等」で指摘した事項については、修正が必要である。
     
  2.  理由等
    (1)  調査事項
     総務省は、「従業上の地位」を把握する調査事項における「雇われている人」の区分を「常雇」及び「臨時雇」の2区分から「正規の職員・従業員」、「労働者派遣事業所の派遣社員」及び「パート・アルバイト・その他」の3区分に変更する計画である。
     これについては、雇用形態の実態の一層的確な把握に資するものであることから、適当である。
     
     総務省は、「5年前の住居の所在地」を把握する調査事項において、従来把握の対象としていなかった5歳未満の子供について、その移動情報を得るため、出生当時にふだん住んでいた住居の所在地を把握する計画である。
     これについては、すべての年齢層について人口移動をとらえる統計が整備され、地域別の将来人口のより的確な推計につながるものであることから、適当である。
    ただし、「5年前の住居の所在地」については、市町村合併による市町村の名称に変更がある場合の混乱を防ぐ観点から、調査時点(平成22年10月1日時点)の市町村の名称を記入するものであることを調査票に明記することが必要である。
     
     総務省は、「家計の収入の種類」を把握する調査事項を削除する計画である。
     国勢調査で把握される「家計の収入の種類」については、1.世帯の記入に対する忌避感が大きい事項であること、2.政策における利用状況が他の調査事項と比較し低い事項であること、また、3.他の公的統計において代替情報が確保されている事項であることから、国勢調査における「家計の収入の種類」の削除は適当である。
     
     総務省は、「就業時間」を把握する調査事項を削除する計画である。
     国勢調査で把握される「就業時間」については、雇用形態を把握するために、従前の「従業上の地位」の「雇われている人」の区分と組み合わせて集計していたものである。上記アで記載した雇用形態の把握方法の変更に伴い、国勢調査では、「就業時間」の把握の必要性が他の調査事項と比較し低下することに加え、他の公的統計において代替情報が確保されていることから、国勢調査における「就業時間」の削除はやむを得ない措置である。
     
     総務省は、「住宅の床面積」の回答方法を実数記入方式から選択肢方式に変更する計画である。
     これについては、過去の調査において回答しにくいと感じる世帯の割合が高かったことを踏まえ、記入の簡素化を図るものであることから、適当である。
     
    (2)  調査方法等
     総務省は、個人情報保護意識の高まり及び昼間不在世帯等の増加による国勢調査を取り巻く環境の変化に伴い、調査票の封入提出方式を全面的に導入するとともに、郵送による調査票の提出を、さらに、モデル地域として指定する地域ではインターネットによる回答も可能とする計画である。
     封入提出方式の全面導入については、調査票の記入内容を調査員に見られたくないと考える世帯の抵抗感を和らげ、調査票の円滑な提出を可能とする措置である。
     郵送提出方式の併用及びモデル地域におけるインターネット回答方式の併用については、昼間不在世帯等による調査票の円滑な提出を可能とする措置である。
     また、調査方法の変更に併せ、「調査票の記入のしかた」の工夫など、未記入や誤記入を未然に防ぐための措置を講じることとしている。
     さらに、調査票の回収段階では、調査員が調査票を配布したすべての世帯を訪問し、調査票の提出を促す措置を講じることとしている。
     併せて、調査票が提出されていない世帯に対しては、調査員が直接訪問し調査票を回収する措置を講じるとともに、回答が得られなかった世帯については、従来の聞き取り調査に加え、住民基本台帳等の活用及び統計法第15条に基づく関係者への質問等による調査票の補完を行い、精度を確保するための措置も講じることとしている。
     以上のことから、調査方法等の変更は適当である。
     
     総務省は、調査に関する照会に対応するコールセンターを設置する計画である。
     これについては、調査方法の変更に伴う事務の輻輳化による市町村の負担軽減を図る一方で、調査員指導など実査業務への対応の充実を図るための措置であり、調査の円滑かつ効率的な実施に資するものであることから、適当である。
     
    (3)  集計事項
     総務省は、非正規雇用、高齢者等に関する集計を拡充する計画である。
     これについては、産業構造の変化、高齢化社会の進行に対応し、我が国の実態を一層的確に把握するものであることから、おおむね適当である。
     しかしながら、1.増加する外国人の実態を把握する統計を充実させる観点から、外国人の教育に関する集計事項を追加するとともに、2.母子又は父子世帯の実態を把握する統計を充実させる観点から、母子又は父子世帯の配偶関係の集計に利用する分類区分の充実を図る必要がある。
     
     総務省は、「人口速報集計」及び「産業等基本集計(第2次基本集計)」の公表時期を延伸する計画である。
     これについては、調査方法の変更に伴い、調査票の回収に係る期間が長期化するとともに、市町村事務全体の負担軽減を図りつつ、結果精度を維持するため、産業大分類の格付事務をこれまでの市町村に代わって独立行政法人統計センターにおいて一括して行う方式に変更することに伴うものであり、やむを得ない措置である。
     
     総務省は、「職業等基本集計(第3次基本集計)」等の公表時期を早期化する計画である。
     これについては、公表の早期化に対する要望に応えるものであり、適当である。
     
     総務省は、「人口速報集計」における集計の対象を「総人口」及び「総世帯数」に限定し、「男女別人口」の集計については、「抽出速報集計」等に委ねる計画である。
     これについては、調査方法の変更、これに起因する公表時期への影響、また、政策における利用状況を考慮した結果であることから、やむを得ない措置である。
     
  3.  今後の課題
     平成27年に実施する国勢調査の企画に当たっては、平成22年に実施する国勢調査の実施状況及び社会経済情勢の変化やニーズを踏まえ、調査事項、調査方法等について、更に改善を検討する必要がある。
     なお、調査票の紙面の制約を解消するとともに、調査票の記入しやすさを向上させる観点から、今後の世帯構成の推移を踏まえ、調査票様式について「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否等を検討する必要がある。


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