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平成13年度国民生活白書の公表にあたって

国民生活白書は、従来より、国民生活に関する重要な課題とその対応の方向について考察を行ってまいりました。毎年度、特定の切り口を設定して分析を行っておりますが、昨年度は「ボランティア」の現状と課題について検討しました。

本年度の国民生活白書では、「家族の暮らしと構造改革」という副題のもとに、「家族」を切り口として、国民のライフスタイルに関する検討を行っています。

バブル崩壊後における経済低迷の長期化や国民の意識の変化など、家族を取り巻く環境が大きく変化する中、家族の生活を巡る従来のシステムがこのような変化に対応できなくなったことで、国民の暮らしにさまざまな構造的問題が生じていると考えます。国民一人ひとりの自由で活発な活動を引き出し、それを人々の暮らしの充実にむすびつけていく観点から、このような問題への取組みが強く求められております。

近年、少子化の問題がいっそう深刻化しておりますが、この要因として、家族について人々の意識が変化する中、結婚や出産を選択しない人が増えていることがあげられます。人々の価値観が多様化した結果、家族のあり方についても多様な選択があり得るようになってきましたが、一方において、家族が自らの選択に基づいて充実した生活を実現していくための条件は、必ずしも十分に整っているとはいえません。特に、働き方に関する条件の整備は重要な課題となっています。たとえば、家計がサラリーマンの夫一人に依存することを前提とした従来のシステムは、そこから派生する長時間労働の問題や、女性や高齢者を巡る就労の問題などを引き起こしてきました。家族の構成員が共に支え合い、充実した暮らしを実現していくためには、このような問題を解決していくことが求められます。現在、「骨太の方針」の柱の一つである「生活維新プログラム」に沿って進められている雇用などの分野における構造改革は、こうした問題への取組みの一環であります。

また、小世帯化の急速な進行に対する対応策も重要な課題と考えます。子育てや高齢者の介護・扶養といった分野では、従来、地域社会等が果たしていた機能が低下する中、これらを担う家族の構成員一人ひとりの負担感は高まっていくと思われます。このような状況においては、家族を社会でサポートするしくみづくりが重要であり、その際、ボランティアやNPO活動といった地域や個人の自発的取組みが大切な要素になってくると考えます。

現在、政府が推し進める構造改革が目指すのは、「人」を何よりも重視する国です。今後、改革を進めるにあたっては、「暮らしの改革」という視点に立ち、人々が未来に夢と希望が持て、安全で安心な暮らしが実現できる社会の構築に努めていきます。なお、本白書のポイントを見やすいパンフレットにすることを手始めとして、改革後の国民生活の姿をハンドブック等の形で示していきます。

本白書が、これらと相まって、人々の暮らしの充実にとって構造改革がいかに重要であるかの理解の手助けになるとともに、国民一人ひとりが自らの家族や生活のあり方を考える際の参考となれば幸いであります。

平成14年3月26日

経済財政政策担当大臣
竹 中 平 蔵
 

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