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補論

II.子育てや教育における改革−少子化問題への対応−

次に、我が国の社会に存在する大きな問題として、少子化があげられよう。この問題は、親や子どもといった個人の暮らしからみれば、子育てや教育にかかわる問題と捉えることができる。そこで、これらについて、構造改革により、どのような変化がもたらされるかをみることとする。

第一に、仕事と子育ての両立が図りやすくなる。

具体的には、新エンゼルプランの着実な実施、保育所待機児童ゼロ作戦の推進、放課後児童受入れ体制の整備および育児休業制度の定着があげられる。新エンゼルプランでは、延長保育・一時保育等を推進することにより、必要な時に利用できる多様な保育サービスの整備が促進される。

保育所待機児童ゼロ作戦では、PFIやすでに実施した規制緩和措置の活用、公設民営の推進、幼稚園における預かり保育の推進等により、保育所等への児童受入数が平成16年度までに15万人分拡大され、また同時に、保育サービスの多様化も図られる。これにより、たとえば、送迎保育ステーションを利用したり、駅前の保育所に子どもを預けることによって通勤時間が短縮できる。また、以前であれば、仕事か子育てかの二者択一を迫られていた人たちにも、子どもを育てながら働くという選択が可能になる。一方、放課後児童受入れ体制については、平成16年度までに全国で15,000か所の放課後児童クラブができるように、整備が早急に進められる。これにより、保護者に代わり児童を事故や事件等の危険から守ることができるなど、働く親の負担感を緩和・除去し、安心して子育てができる環境がつくられる。

第二に、地域による子育て支援が積極的に行われるようになり、親が安心して子育てができるようになる。

具体的には、新エンゼルプランにおける地域子育て支援センターや一時保育等の在宅児を含めた子育て支援策の推進があげられる。

たとえば、子育て不安の解消のための相談や、一時的に親を育児から解放するための一時保育を実施する保育所の整備により、親は身近に子育てに関する相談相手を見出せるとともに、リフレッシュのための時間をつくることが容易にできるようになる。また、幼稚園における預かり保育や子育て相談等の子育て支援活動も行われる。

さらに、小中学生を対象に、放課後や週末に学校の校庭や空き教室等の利用を可能にしたり、地域のスポーツ指導者や子育てを終えた中高年者の協力を募り、子どもの放課後や週末のさまざまな活動を支援するという取組みが強化される。この結果、親の子育て負担が軽減されるとともに、子どもたちが地域の大人との触れ合いの中で、心豊かな人間性を身につけたり、地域コミュニティの重要性を学ぶことができるようになる。特に1960年代前後の高度成長期以来、小世帯化の進行に加えて、地域の子育て機能も低下してきた結果、親の子育てに対する不安感は増してきた。これを解消するためにも、地域で子育てをサポートすることは重要であると考えられる。

第三に、本人の意欲や能力に応じて、多様で質の高い教育を受けられる機会が提供される。

まず、初等中等教育については、学校の評価システムを確立することにより、評価結果を踏まえた学校運営、教育活動の改善、評価結果の公開を通じて開かれた学校づくりが促進される。また、小・中学校の設置基準を明確化して私立学校を設置しやすくすること等により、多彩な教育理念に基づく小・中学校の設置が促進される。このような学校教育の透明化や多様化が進むにつれて、保護者や子どもが、学校の評価結果を踏まえたさまざまな意見を学校に伝え、学校がそれを踏まえて教育活動等の改善を図ることにより、子どもたちは、その適性や親の教育理念に合ったより良い教育を受けることができるようになる。一方、高等教育についても、大学に第三者評価による競争原理を導入し、重点的支援を行うこと等によって、国際競争力のある大学づくりが推進され、世界に通用する人材として活躍することも期待できる。また、2つ以上の専攻(メジャー)を取得できるようになったり、社会人が長期履修学生(修業年限を超えて柔軟に学びながら学位を取得する学生)として学び、キャリアアップを図ることもできるようになる。

さらに、教育を受ける意欲と能力のある人が確実にこれを受けられるように、奨学金の充実や教育を受ける個人の自助努力を支援する施策の検討が行われている。


 

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