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付注

(付注4)妻の就業にともなうサラリーマン世帯所得の変化の試算について

(妻の時給)

女性常用パートタイム労働者の平均時給889円を妻の時給として計算した。

(夫の配偶者手当)

夫の配偶者手当は月10,500円(常用労働者30人以上の民営企業5,300社平均)とし、妻の収入額が年収103万円以下であることを支給の要件とした。

(妻の医療保険)

妻にかかわる医療保険については、年収130万円を超える場合について、組合管掌健康保険の保険料率(自己負担分)を4.25%、医療費自己負担額を組合管掌健康保険「一人あたり診療額」被扶養者分の額をもとに入院2割、外来3割とみなし平均額を推定した(ただし、この被扶養者分には子ども等配偶者以外も含まれる)。

(妻の年金)

妻にかかわる年金は、年収130万円を超える場合について、厚生年金保険料率(自己負担分)を8.675%を支払うものとして計算した。

なお、厚生年金および健康保険の加入要件は、原則として、「1日または1週の所定労働時間および1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上」(以下「3/4基準」という)を満たす場合は、第2号被保険者となり、3/4基準を満たさず、かつ年収が130万円未満の場合は、第3号被保険者となり、130万円以上の場合は第1号被保険者となる。本推定において基準となる労働時間を、2000年の一般労働者の月間所定労働時間157時間とすると、157時間×12か月×3/4で年間1,413時間、本推計の妻の時給では年収126万円となり(これは1週あたり約27時間に相当)、国民年金(第1号被保険者)の保険料を支払う基準となっている年収130万円よりも早い段階から厚生年金の受給資格が生じている場合もあり得る。

しかしながら、本基準は、個々の労働契約と当該企業の常用正規労働者の週または月間所定内労働時間との比較において適用されるものであり、現実には、第3号被保険者の要件の限界的な部分では、パートタイム就業者および企業の多くが、保険料を支払わない方向で就労調整を行っていると考えられる。

一方、労働者にとっては、130万円に達すると、保険料の支払いに義務が生じる。その場合、労働時間が3/4基準以下だと第1号被保険者に、3/4基準以上だと第2号被保険者になることとなるが、労働者の側からは、自己負担が少ない第2号被保険者が相対的に有利になる。このため、本推計では、年収130万円を超えた時点で、第3号被保険者から第2号被保険者に移行するものと仮定した。

(妻の介護保険)

妻にかかわる介護保険料については、年収130万円を超える場合について、組合管掌健康保険の平均料率(自己負担分)0.44%を支払うものとして計算した。

(妻の雇用保険)

妻にかかわる雇用保険料については、農林水産・清酒製造業、建設業を除く一般事業に雇用される被保険者の負担すべき保険料率0.6%を支払うものとして計算(パートタイム就業者等に係る雇用保険の適用基準のうち、年収に係る要件(「年収90万円以上の就労であること」)は、2001年4月1日をもって撤廃されたものの、労働時間(1週間20時間以上の就労)の要件から年収90万円を超える者について計算)した。

(夫の税金)

夫の税金にかかわる配偶者控除は、妻の所得金額が38万円以下の場合(パート収入のみの場合には、妻の収入額が年収103万円以下の場合)に、38万円の控除があり、配偶者特別控除は、妻の所得金額が76万円以下の場合(妻の収入額が年収141万円以下の場合)に、妻の所得金額に応じて次のような控除額となっている。

所得(収入額)別にみた配偶者特別控除
所得(収入額)別にみた配偶者特別控除
(妻の年金給付を考慮した場合の世帯所得変化の試算)

年金保険料は将来の給付を前提として支払われるものであるため、妻が厚生年金の第2号被保険者に加入するかどうかにかかわる就業時間の選択は、将来の年金給付(第3号被保険者のままでいた場合と、第2号被保険者となって、自身が保険料を支払う場合の差額)を考慮して行われている可能性もある。そこで、参考までに、将来の給付を考慮した場合の、妻の就業にともなう世帯所得の変化を、以下の方法により試算した。

ただし本試算においては、以下の点に留意する必要がある。

1)厚生年金等公的年金は、将来の老後生活の基本的な部分を保障する役割を果たすものであり、ある一時点の損得よりも実際に老後の生活を支えるのに十分であるかどうかが重要である。したがって、同時点の給付額と負担額を比較して収支を求めた場合には、どんなに長生きしても終身にわたって保障が受けられること、あるいは障害になったときに保障が受けられること等、将来の不確実性が保障されることによって得られる受益を過小評価してしまうことになる。すなわち本試算において、妻自身が第2号被保険者として厚生年金に加入した時点で発生する世帯所得の減少額は、加入することによる損失額をあらわすものではない。

2)人々の持つ時間選好の度合はさまざまであり、かつ正確な割引率を求めることは容易ではない。本試算結果は、あくまでも割引率を年率2.5%と仮定した場合のものであり、すべての人にあてはまるものではない。

試算結果(年金給付を考慮した場合)

試算結果(年金給付を考慮した場合)

 

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