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付注

(付注3)因子分析、クラスター分析によるグループ分け

社会調査においては、統計手法を用いて多数のサンプル(標本)をグループ分けし、その特徴を明らかにする分析が行われることがある。ここでは、国民生活選好度調査のうち、結婚観・離婚観や子どもを持つ必要性等の考え方の中で、相関関係が強い9つの問に対する回答結果に基づいて、因子分析およびクラスター分析を行い、サンプルの類型化を試みた。以下、その方法を紹介する。

たくさんの変数を同時に用いて、それらの複数の変数の間における関連性の構造を明らかにする統計手法を「多変量解析」と総称する。因子分析はその1つの手法であり、複数のデータの測定値に共通する因子(回答選択(人々の意識等)に共通して影響を与えている要素)を取り出す手法である。

今回行った因子分析においては、最も一般的に使用されている主因子法を用いた。主因子法は、なるべく少数の共通因子によって、もとの変数の変動を説明するという観点から共通因子の因子負荷量を推定するものである。なお、欠損値(無回答)には、それぞれの問における全回答者の平均値を代入して分析を行った。

因子分析の結果、2つの因子を抽出することができた(付表)。また、この2つの因子の累積%(説明力)は48.3%であった。各因子の結婚・離婚等に対する考え方との関係(因子負荷量といわれる)から、各因子の特徴は次のようにまとめられる。

第1因子は、「長男には、ほかの子どもとは異なる特別な役割がある」、「男の子どもがいなかったら家が絶えないように養子をとるのがよい」、「婚前交渉は許されない」、「離婚は極力避けるべきである」、「女の幸福はやはり結婚にあり、仕事一筋に生きるべきではない」との関係が強い。このことから、この因子は、旧民法でうたわれた「家制度」に代表されるように、旧来からの「家意識」や離婚観を重視する「伝統重視因子」と名づけることができる。

第2因子は、「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」、「本人が納得していれば結婚をしないで子どもを産んでも構わない」、「結婚しなくても、豊かで満足のいく生活ができる」、「結婚は個人間の問題だから、婚姻届を出す、出さないは自由である」との関係が強い。このことから、この因子は、旧来の考え方に必ずしも固執しない、多様な結婚観や家族観を容認する「多様性重視因子」と名づけることができる。

次に、因子分析の結果をもとに、クラスター分析を行い、本調査の回答者を2つのグループに分け、その特徴を調べた。

クラスター分析とは、サンプルについて観測された属性値の類似性をもとに、各サンプルをグループに分類する方法である。このようにして得られる一つひとつのグループをクラスターという。クラスター分析は、多数のサンプルがある中で、各サンプルの位置関係を全体的な視点から見渡すことができるという点に特徴がある。

クラスター分析には、階層的方法と非階層的方法があるが、今回の分析は、非階層クラスター分析を用いた。この分析は、よく似た特性を持つサンプルを1つのクラスターにまとめ、別の特性を持つサンプルを別のクラスターにまとめるというように、サンプルをあらかじめ決められた並列的ないくつかのクラスターに分類する手法である。ここで、サンプルの分け方については、クラスター間の違いがもっとも明確になるようにすると同時に、クラスター内のサンプル相互の距離はできるだけ近くなるようにするため、最適な分け方が得られるまで、サンプル分けを繰り返し行い、11回の反復で収束基準に達した。なお、サンプル間の距離の測定には、平方ユークリッド距離を用いた。

今回は、因子分析の結果をもとに、第1、第2因子の因子負荷量を用いて分析を行った。クラスター数は、各クラスターの特徴をもっとも解釈しやすい2つにまとめた。

以上の手法によりグループ分けされたクラスターは、結婚観・離婚観や子どもの必要性に関する考え方等の観点から、「伝統重視群」、「多様性重視群」の2つである。

 
付表 因子分析の結果

付表 因子分析の結果

 

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