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第4章 ITの普及と家族

5.まとめ

ITの普及は、家族の生活に大きな影響をもたらすものである。

第一に、テレワークは、時間と場所に制約されることなく、個人の能力や家族の事情に合わせて働き方を選択することができるものである。これは、通勤に要する時間やコストを削減するものであるほか、女性や高齢者、障害者等、これまでさまざまな理由から就業することが困難であった人たちが、それぞれの事情や能力に応じて働くことを可能とするものである。

第二に、ITは、少子高齢化等の環境変化の中での家族の抱える問題を解決したり、生活の質の向上をもたらすものである。

すなわち、保育所にいる子どもの様子を画像で確認することができるサービスや、育児関連の相談のためのインターネットのサイトが増加していることを紹介したが、こうした動きは、親子の孤立や、就業と子育ての両立性を巡る困難性等が指摘される中での、子育てを巡る問題の解決にも役立つ。

また、高齢者の使いやすいIT関連商品・サービスの開発や、離れて暮らす高齢者の家族が安否を確認しやすくするサービスの開発等が進んでいるが、これらは、急速に高齢化が進み、なかでも一人暮らしの高齢者が増えるなど、家族の介護機能が低下していく中での諸問題の解決にも大きな力となる。

さらに、オンラインショッピングや遠隔医療、遠隔学習等の実現により、家族の生活の利便性や質は大きく高まるものと考えられる。また、これらは、各家族が居住している地域の違いや、各家族の経済的な格差等に起因する、生活の質の格差縮小にも資するものである。

第三に、ITは家族のコミュニケーションを大きく変化させる。

移動電話やメールの普及により、家族の各構成員は、時間や場所の制約なく、また干渉されることなく、直接ほかの家族や家族以外の者にアクセスすることが可能となっている。これは、家族間や家族以外の者との結びつきを容易化する。

同時に、家族の各構成員は、自らの意思で、時間や場所にかかわりなく低コストで、多くの情報にアクセスすることが可能となってきている。これは、家族の中での共通の情報量を増加させる一方で、家族構成員間で共有されない情報も増加させるものと考えられる。

こうした変化は、これまでの人と人との関係を大きく変化させ、家族という枠からの個人の関係性を自由にする可能性と、また、家族の結びつきを強める可能性の両面を有するものだと捉えられよう。

最後に、IT分野における技術の進展は、新規産業の創出や既存産業の効率、生産性の向上により、経済の活力を高めて、雇用を拡大させることを通じて、家計のリスクを減少させるものとなり得る。

 

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