[目次]

第4章 ITの普及と家族

コラム インターネット・パラドックス

インターネットを利用することによって、対人関係が阻害されるという「インターネット・パラドックス」という考え方が1990年代後半にアメリカで発表されている。ここでは、この考え方、およびその後の状況について紹介する。

(インターネット・パラドックス)

「インターネット・パラドックス」とは、カーネギーメロン大学のクラウトらによって95年から 97年にかけて行われた調査結果から発表された考え方である。この考え方では、インターネットの利用によりインターネット上で知り合う新しい人間関係を増加させる一方で、インターネットの利用に時間を取られることから、身近な家族や友人等とのコミュニケーションが減少してしまい、対人関係や心理的健康が阻害されるとしている。ただし、この調査はインターネットの普及があまり進んでいない時期のものであったため、インターネットによるコミュニケーションの相手が既存の人間関係ではないという点に注意をする必要がある。

(その後の状況)

「インターネット・パラドックス」という考え方が発表されたあと、いくつか同様の調査が行われ、

1)インターネットを利用することで、遠くに住んでいるために疎遠になりかけていた親戚や友人との関係が親密になる。
2)インターネットでのコミュニケーションの相手は、インターネット上で新しく知り合う相手であることはまれであり、既存の人間関係とのやり取りが多く、関係を深める。
等、「インターネット・パラドックス」とは異なる考え方を指摘している。

こうした中、クラウトらによって行われたその後の調査でも、インターネット利用は概してポジティブな効果があると以前の考え方を変更している。考え方を変更した理由としてクラウトらは、インターネットの普及が進み、コミュニケーションの相手が身近な人間関係にも広がった点、コミュニケーションソフトも多様化し、質的変化が起こっている点等が大きく影響しているのではないかとしている。また、インターネットを利用することで、社交的な人間は社会との関係が深まり、内向的な人間は社会との関係が弱まる傾向があるとも指摘している。

 

テキスト形式のファイルはこちら

[目次]

前の項目に戻る     次の項目に進む