[目次]

第4章 ITの普及と家族

コラム マイクロビジネスエージェント組織登録型テレワーカー

マイクロビジネスエージェント組織登録型テレワークでは具体的にどのような人が、どのような生活スタイルで仕事を行っているのだろうか。ここでは2人のテレワーカーについて紹介する。

(1)1日6〜7時間テレワークをしている主婦の例

Bさんは、東京都在住の30歳の主婦。子どもは保育所に通う2人と、保育所には入っていない0歳児の1人。夫は通勤時間が2時間かかり、朝早く家を出て、夜遅く帰るという状況のため、家事・育児はすべてBさんが行っている。

Bさんは、一部上場企業に勤めていたが、子どもが生まれ、保育所への送り迎えに時間が取られるようになると、残業があまりできなくなり、それまでのように自分の納得がいく仕事ができなくなったこと、また子どもがストレス性の病気にかかり、子どもと一緒にいられる時間を確保する必要性を感じたこと等から、10年間勤めてきた会社を辞めるに至った。子どもの将来等、家族のことを考えると自分として興味を持って取り組んでいた仕事を続けるべきなのかどうかかなり悩んだそうである。

この会社でコンピュータを利用して設計を行うCAD関係の仕事を担当していたことや、会社を辞めたあと、一時期パートで行っていたポップライターの経験を活かし、現在はホームページ作成をメインとするテレワーカーとして働いている。時には数千万円のプロジェクトを取りまとめたり、仕事内容はかなり充実している。

Bさんの一日は次のような感じである。起床は7時。朝食を終え、上の2人の子どもを保育所に預けて9時半にはパソコンに向かう。一番下の子どもの相手をしながら、メールのチェックや、早急に対処しなければならない仕事を10時過ぎまで行い、その後、13時までは、近くの児童館に行って子どもの相手をしたり、昼食等をすませる。昼食を終え、子どもを寝かしつけてから、保育所に子どもを迎えに行く17時までがBさんの仕事の時間。この間に、洗濯や掃除等の家事も仕事の合間に行っている。17時から子どもたちが寝静まる22時までは、夕食の準備等をしながら子どもたちと過ごす時間。そして22時からまた仕事を1時間程度行い、夫の帰宅時間の23時前後から夫の夕食の準備をしたり、夫と話をしたりして1時間ぐらい過ごしている。その後、再び仕事を始め、抱えている仕事の緊急度によっては、深夜2時過ぎまでやることも多いそうである。

仕事をしている時間は、平日が6〜7時間で、土日は基本的に休みにしている。月収は、歩合的な要素が大きく月によって変わるが、だいたい15万円程度。ただし、これだけの収入が得られるようになったのは、最近仕事を任せてもらえるようになったためで、在宅でお金を得ることの難しさについて強調していた。

テレワークという仕事を行う上で、Bさんは以下の点を指摘している。第一に、仕事と生活の区切りを明確につける強い意志が必要。Bさんの場合、常に一番下の子どもがそばにいるために、なかなか区切りをつけるのが難しいそうである。第二に、ほかの家族から理解を得るのが難しい点である。テレワークの仕事量や具体的な業務内容が周りからわかりにくいため、身近な家族ですら理解が難しいそうである。第三に、テレワーカーの子どもが保育所に入ることは、フルタイム労働者やパート労働者の子どもと比べ厳しいという現実である。Bさんの希望としては、一番下の子どもを保育所に入れ、子どもを気にせずテレワークに取り組みたいのだが、保育所の順番待ちが続いている状況にある。

(2)1日3〜4時間テレワークをしている主婦の例

Cさんは地方都市のニュータウンに住む30代半ばの主婦。サラリーマンの夫と小さい子ども2人の4人暮らし。短大を卒業後事務関係の仕事に5年ほど勤務し、結婚を機に退職。最近までは、子育てを中心に、学校行事、趣味、稽古事、ボランティア等に積極的に参加していた。

そんなCさんがパソコンに接するようになったのは、夫がパソコンを購入してからである。家事の合間に、自己学習でパソコンにかかわる多くの資格を取得し、現在ではパソコンを2台保有し、プリンター等の周辺機器やインターネット関連のソフト等テレワークに必要なものはほとんど自宅に所有している。

Cさんの平均的な一日は6時に起きて、エージェントからのメールをチェックすることから始まる。特に急ぎの用事がなければ、その後朝食の準備。朝食の後片付けや、子どもを保育所に送ること等を終えた8時半から昼食の準備を始める11時までは仕事に集中する。11時から15時までは昼食、掃除、買い物、子どもの迎えや塾へ送ったりしているうちに過ぎるそうである。15時から夕食の準備に取りかかる16時半まで再び仕事。その後、子どもを塾に迎えに行き、夫が帰宅し家族がそろった後は、特に急ぎの仕事がなければ仕事をすることなく家族団らんの時間を過ごしている。ただし、締切直前の時期には夕食後に2時間ほど仕事をすることが続いたりもするそうだが、その場合、締切後2、3日は仕事をしないようにしているとのことである。

仕事をしている時間は1日3〜4時間、週4〜5日で月間労働時間は70時間前後である。ただし、1年に2か月程度は休みを取りリフレッシュするように心がけている。収入は月収で6〜7万円程度、年収で60〜70万円程度と夫が配偶者手当をもらえる範囲内で仕事をしている。

Cさんがテレワークを希望したのは、テレワークが自分の生活にもっとも合っていると感じたからである。子どもが小さく、フルタイムや時間制約が多い仕事はできない、また、現在は介護等の心配はないが長男の嫁としていつどうなるかわからないなどの理由から、自分の管理能力で、しかもプロの意識を持って取り組めるテレワークがCさんには最適だとのことである。

 

テキスト形式のファイルはこちら


[目次]
前の項目に戻る     次の項目に進む