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第4章 ITの普及と家族

コラム 具体的なマイクロビジネスエージェント組織

テレワークの普及にあたり、仕事を発注する企業等とテレワーカーをつなぐマイクロビジネスエージェントと呼ばれる組織が生まれてきている。さまざまな企業・団体がテレワークの普及に向けて取り組んでいる活動について紹介する。

(1)地方都市にあるエージェント

このエージェントは、近年、パソコンの一般世帯への普及が急速に進み、主婦のインターネット利用者が増加していたことを背景に、テレワークを市内に普及させることを目的として設立された組織である。今までにない試みであったということもあり、事業展開を図る上で以下のような取組みを行っている。

1)仕事の確保

地元には仕事の発注元が少ないため、東京に営業拠点を設け、東京で仕事の受注を受け、地元に仕事を展開するという方法で受注活動を行っている。

2)会員のスキルの向上

独自の教育システムを構築し、会員のレベルアップに日々取り組んでいる。

なお、現在の会員は8割が女性で平均年齢は35歳である。会員一人ひとりに今月得たい給料について目標を設定してもらい、そのためにはどれだけの仕事が必要かを個別に話し合っている。希望する月給は5〜6万円程度と、配偶者手当等を意識した金額となっており、働き方も1日3時間、週3日程度と家事や子育ての合間をみて働きたいという人が多いようである。

今後は、失業者、Iターン者、Uターン者の受け皿として地元の活性化を目指し、事業拡大を図っていく予定だとのことである。

(2)あるNPO法人

この団体では、障害者等を対象にテレワークの普及に取り組んでいる。テレワークの普及を、働く意欲や能力を持ちながらこれまで既存の働き方に適応できなかった障害者の社会参画と自立のチャンスととらえ、全国規模のNPO法人として、障害者自身の発意と主体的行動により活動を行っている。障害者が保護される対象でなく、テレワークにより仕事を行い、将来的には税金を払い、国の財政に貢献する立場になることを目標にしている。

発起人の一人は、自らが障害者であり、パソコンを勉強しコンピュータメーカーへの就職内定を得たものの、通勤ができないために断念せざるを得ないという経験をしている。この経験から障害者が健常者と同じように通勤して仕事をするのには無理があり、「自宅で仕事ができないものか」という考えが活動のベースとなっているそうである。

この団体では、IT推進センターの創設を目指している。障害者だけでなく、同様に通勤弱者である高齢者等にIT教育をする拠点をつくりたいと考えている。現段階では、この団体がボランティアで近くの区民館の部屋を借り、パソコンを購入し毎週1回教育を行っているが、資金、講師の人数等に限りがあるため、定員オーバーの状態が続いているもようである。ITに興味を持つ障害者は多いのに、その教育体制が不十分な状況である。行政側が理解を示し、場所等を提供してもらえれば、さらなる拡大が期待できると考えている。

(3)大手派遣会社

この会社では、派遣社員として登録している人たちの中で、子育てや介護等の理由により外で働くことが困難になった女性を中心に在宅ワークの仕事を仲介している。テレワーカーの登録者のうち、既婚女性の割合は6割、また、年齢層では30代が7割程度となっている。登録者のほとんどが、以前企業に派遣されていたことがあるため、登録者の能力が把握できており、仕事を割り振るにあたり登録者の能力にあわせることが可能となっている。また、高齢者や初心者をおもな対象としたパソコン教室を開設し、テレワーカーの裾野の拡大に取り組んでいる。
 現在、テレワーカーの登録者数は1万4千人と、多くの登録者を抱え、引き続き増加している。ただし、仕事の受注額、量ともに年々増加してはいるものの、いまだ安定供給という状況には至っていないもようである。

 

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