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第4章 ITの普及と家族

コラム 独立自営型テレワーカー

独立自営型テレワーカーはどのようなことをしているのだろうか。実際に行っている人の事例を紹介する。

Aさんは2年前に54歳で会社を辞め、それまで培ったノウハウを活用して独立自営型テレワークに従事している。

転職前までは、従業員500人規模の建設コンサルタント会社に勤務していた。そのときの知識や経験から、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)規格を容易に運用できる機能も盛り込んだ中小企業向けの簡易なプログラムにニーズがあると考え、これを事業化することで独立しようと考えるようになったそうである。

Aさんは会社に勤務していた時と独立後との変化について、以下の点をあげている。第一に、通勤環境の改善である。Aさんは、独立以前は自宅から1時間かけて通勤していたが、今では自宅から自転車でも25分のところにあるSOHO(small office home office:事務所等を離れネットワークを利用して仕事をする形態)向けオフィスに通っている。長時間の通勤ラッシュから解放され、ゆとりのある通勤が可能となっている。第二に、時間の管理である。会社に勤務していたころは、定められた勤務時間に働いていればよかったのだが、現在では時間を管理するのは自分であり、けじめをつけなければならなくなっている。第三に、人とのコミュニケーションが減少し、得られる情報が少なくなってきていることである。元いた会社は比較的規模が大きかったため、さまざまな情報を業務上自然と得られていたが、現在では変化についていくために自らが積極的に情報収集を行っているそうである。

Aさんは、独立にあたり中小企業総合事業団から取得した助成金と、退職金を元手に従業員2人、パート1人の体制でプログラム作成に取りかかったそうである。プログラム作成に1年半程度かかったが、ようやく完成し、現在までに6社に納品している。

Aさんがインターネットを活用して、行っていることは以下のとおりであるが、今後はさらにインターネットを駆使した技術の開発を検討している。

1)現在行っていること

2) 今後検討していること

現在のオフィスがあるテナントビルにはいろいろなメリットがある。第一に、税務・法務関連等のアドバイザーが日替わりで相談コーナーを設けており、無料で相談が可能である。第二に、共用スペースや共用プリントルームがあり、コストの削減が可能である。第三に、速度の速い通信環境が整備されている。第四に、地方自治体がSOHOの誘致に力を入れているビルに入居しているということで信頼を得られる。第五に、SOHO従事者間での交流が定期的に行われており、同じ境遇同士で相談する機会が持てる。

Aさんは会社を辞める前から、中小企業大学校の創業支援研修に通ったりと転職を意識した活動をしていた。現在はまだ初期投資の段階で、これからプログラムを売り込み、転職の成否を見極めていくそうである。

 

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