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第2章 家族の働き方の現状と課題

パートタイム賃金を巡る状況 −拡大する女性フルタイム、パートタイム就業者の賃金格差−

子どものいる核家族世帯の妻のように、育児等の家庭内労働をおもに担っている者の中で、パートタイム就業率が高まっている。そこで、こうしたパートタイム就業者の処遇を賃金の面からみてみよう。

パートタイム就業者とフルタイム就業者とでは、職種や勤続年数の構成に違いがあり、また、その違いは各国間で異なることに留意が必要ではあるが、我が国女性パートタイム就業者の賃金はフルタイム就業者の約7割となっており、国際的にみて格差が大きい(第2−5図)。この状況を時系列でみてみると、企業が求人に占めるパートタイム就業者の比率を増やしているにもかかわらず、パートタイム就業者とフルタイム就業者の賃金格差は拡大している(第2−6図)。

この賃金格差拡大にはさまざまな要因が影響しているものと考えられるが、その一つとして、いわゆる「就労調整」の存在が指摘されている。これは、サラリーマンの妻が就業し、妻の収入が増加するのにともなって、夫が企業から支給される配偶者手当が打ち切られること、妻の社会保険料負担が発生すること、夫や妻の税負担が増加することやそれが急増するのではないかという誤解があることから、妻が自身の収入を一定の範囲内に収めるように就業時間等を調整するというものである(第2−7図)。女性パートタイム就業者の年収が90〜100万円に集中しているのは、こうした就労調整が影響しているものと考えられるが、これは就業時間によって調整されるだけではなく、時間あたり賃金によって調整される場合もあり、結果的にパートタイム賃金の上昇に抑制的に機能していることが指摘されている。厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査報告」によれば、女性パートタイム就業者(正社員以外の者で、正社員よりも所定労働時間が短い者)において、所得税の非課税限度額を考慮して就労調整する者の割合は、1990年には30%であったのが、95年には38%に上昇し、所得税以外の理由を考慮して就労調整する者は、90年には28%であったのが、95年には37%に上昇している。このように就労調整を行う者の割合が増加していることも、パートタイム就業者とフルタイム就業者との賃金格差拡大に影響しているものと考えられる。

 
第2-5図 国際的に大きい我が国女性のフルタイム・パートタイム賃金格差

第2-5図 国際的に大きい我が国女性のフルタイム・パートタイム賃金格差


 
第2-6図 求人の増加にもかかわらず低下する女性パートタイム就業者の相対賃金

第2-6図 求人の増加にもかかわらず低下する女性パートタイム就業者の相対賃金


 
第2-7図 妻の就業にともなうサラリーマン世帯所得の変化

第2-7図 妻の就業にともなうサラリーマン世帯所得の変化

 

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