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第2章 家族の働き方の現状と課題

フルタイム就業者では縮小傾向にある男女間賃金格差

夫婦の間の稼得労働と家庭内労働の分担には、文化的要素・伝統的要素も大きいと考えられることに加えて、男女間の賃金格差等、夫婦間における稼得能力の違いが影響していることが指摘されている。これは、高い所得を得られる者が、より多く稼得労働を分担し、家庭内労働を行う能力が高い者が、より多くそれを分担しようとするインセンティブが働くと考えられるからである。

したがって、これまで定着してきた夫が稼得労働を行い妻が家庭内労働を行う形の分担の背景には、男性の賃金が女性の賃金よりも高いことも影響してきたと考えられるが、こうした男女間賃金格差の現状がどのようになっているかみてみよう。

2000年現在、我が国の男女間賃金格差をみると、フルタイム就業者では、女性の賃金は男性の66%の水準となっており、国際的にも格差は大きい状況にある(第2−1図)。

一方、時系列でみるとフルタイム就業者の男女間賃金格差は縮小傾向にある(第2−2図)。また、年齢別にみると、この格差は30代から50代にかけて急速に拡大していく傾向があるが、そうした傾向は、近年次第に弱まってきている。

仮に、女性就業者の勤続年数や学歴の構成が男性就業者と同じだとした場合の男女の賃金を比較すると、格差はさらに小さくなり、女性の賃金は男性の79%の水準となる。すなわち、女性就業者のほうが男性就業者よりも勤続年数が短いことと高学歴者の割合が低いことによって、男女間の賃金に 13%の差がでてきている。このうちの約半分が、学歴構成の違いによるものであり、残りの半分は勤続年数の違いによるものである。これは、多くの企業で勤続年数とともに賃金が上昇するしくみがとられている中で、女性の場合には、結婚後に、出産、育児等を契機に就業を中断するなど職業キャリア形成が継続的に行えない場合が多いことが、男女間賃金格差の一因となっていることを示している。

さらに、勤続年数と学歴を調整したあとに残る21%の賃金格差についても、女性の勤続年数の短さが間接的に影響していると考えられる。すなわち、女性の勤続年数が平均的に短いことから、女性は男性に比べて企業内訓練や登用の機会を与えられる場合が少なく、そのことが結果として賃金格差につながっている可能性がある。

このように、男女間の賃金格差は、フルタイム就業者では、就業者の勤続年数や学歴構成の男女差の影響もあって依然大きいが、次第に縮小してきている。

 
第2-1図 国際的にも大きい我が国の男女間賃金格差

第2-1図 国際的にも大きい我が国の男女間賃金格差


 
第2-2図 縮小傾向にあるフルタイム就業者の男女間賃金格差

第2-2図 縮小傾向にあるフルタイム就業者の男女間賃金格差


 

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