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第1章 家族を巡る潮流変化

高い就労意欲と厳しい高齢者雇用

ここでは、高齢者の労働面についてみてみよう。
 総務省「労働力調査」(2000年)、ILO“Yearbook of Labour Statistics”により、高齢者の労働力率(実際の就労している人に失業者を加えた労働力人口の割合)をみると、我が国の60〜64歳の労働力率は56%(男性73%、女性40%)、65歳以上では23%(男性34%、女性14%)となっており、アメリカ、ドイツ、フランスに比べて高く、我が国の高齢者の就労意欲は高いといえる(第1−35図)。

しかし、高齢者の就業環境は厳しい状況が続いている。厚生労働省「雇用管理調査」によれば、一律定年制を採用している企業のうち、60歳を定年としている企業の割合をみると、2001年は90%以上となっており、近年、60歳定年は定着しているといえよう(第1−36図)。一方、前述「労働力調査」によると、2000年における60〜64歳の完全失業率は8.0%(男性10.4%、女性4.5%)となっており、全体の完全失業率(4.7%)を大きく上回っている。また、厚生労働省「職業安定業務統計」(2000年)によれば、60〜64歳の求人倍率は0.07倍となっており、14人に1人程度しか求人がない状況になっている。

生産年齢人口(15〜64歳)が減少する一方、高齢者数が増加しており、年金の支給開始年齢は65歳へ段階的に引き上げられることから、今後、引き続き働き続けたいという高齢者はさらに多くなると予想される。したがって、高齢者の長年培った能力・知識等が十分に活かされるような環境づくりが必要であろう。

高齢者の就業機会が限定される要因として、募集・採用時の年齢制限等が指摘されている。また、定年制については、定年年齢までの雇用を維持する機能を果たしている面もある一方、定年年齢を超えた者が労働市場から退出する1つの契機になるとの指摘がある。これらについては、年齢を重視した人事処遇や雇用調整のあり方等、我が国の雇用管理全般にかかわる大きな問題であることから、雇用慣行のあり方を見直し、意欲と能力のある高齢者が社会活動に参加しやすくしていくことが必要であろう。それは、高齢者の自助努力と社会保障制度の支え手を増やしていくことにもつながる。

 
第1-35図 高い我が国高齢者の労働力率

第1-35図 高い我が国高齢者の労働力率


 
第1-36図 大多数の企業は60歳定年制を採用している

第1-36図 大多数の企業は60歳定年制を採用している


 

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