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第1章 家族を巡る潮流変化

コラム パラサイト・シングル

近年、親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している、20代後半から30代の未婚者が増えているといわれる(「パラサイト・シングル」ともいわれている)。国立社会保障・人口問題研究所「第2回全国家庭動向調査」(1998年)によると、25歳から49歳の未婚者で親から経済的援助を受けている人の割合は、男性で30%、女性で40%となっており、さらに、親に身の回りの世話をしてもらっている人の割合は、男性で52%、女性で73%にのぼっている。そこで、当府「国民生活選好度調査」(2001年)により、親と同居する25〜39歳の未婚者に関する意識等についてみてみよう。

パラサイト・シングルが結婚し独立しない背景についての考え方

パラサイト・シングルが結婚し独立しない背景として、どのような考え方が強く働いていると思うかを尋ねたところ(複数回答)、全体では「経済的に楽な生活を送れるから」がもっとも高く63%、次いで「家事等の身の回りの世話を親がしてくれるから」が60%、「結婚したくても適当な結婚相手がいないから」が44%となっている。

これについて、パラサイト・シングルと同年代だと考えられる、25〜39歳で親と同居する未婚者(以下、親同居未婚者)はどのような見方をしているかを調べると、男女とも、「結婚したくても適当な結婚相手がいない」と「経済的に楽な生活を送れるから」について、過半数の人が「あてはまる」としている(図1)。

また、世帯内に親同居未婚者がいない人は、親同居未婚者と比較すると、「経済的に楽な生活を送れる」、あるいは「家事等の身の回りの世話を親がしてくれる」といったことをあげる人の割合が高く、逆に、「結婚したくても適当な結婚相手がいないから」をあげる人の割合が低くなっている。周囲の人は、親同居未婚者と比べて、パラサイト・シングルが親に依存して楽な生活を送りたいから同居している、とより強く考えている傾向がある。

 
図1 パラサイト・シングルが独立、結婚しない背景についての考え方

図1 パラサイト・シングルが独立、結婚しない背景についての考え方

パラサイト・シングルの生活満足度

では、生活の満足度についてはどうか。

これについて、親同居未婚者の生活全般の満足度(「満足している」+「どちらかといえば満足している」)をみると、同年代(25〜39歳)の既婚者よりは低いものの、未婚単独世帯よりも高くなっている(図2)。これを男女別にみると、男性の親同居未婚者の満足度は同年代の未婚単独世帯、既婚者よりも低く、女性では、逆に、そうした世帯よりも高く、満足している人の割合が61%に達している。

この結果について、満足度の高い女性から考えてみよう。まず、既婚者との関係では、結婚することに対する意識でみたように、結婚後における経済面、生活面での負担が現れていると思われる。家事の負担や、自分が自由に使えるお金の額を考えると、結婚するよりも、未婚のままで親と同居しているほうが満足度が高いということかもしれない。そして、単独世帯の場合は、自分で生活費を稼ぎながら生活していかなければならないことを考えると、このような経済面、生活面での負担が少ないことは、未婚単独世帯の人との比較においても理由としてあげられよう。ただ、この場合は、女性に特有のほかの理由も考えられる。いわゆる「友達親子」ともいうべき関係である。女性のパラサイト・シングルは母娘で買い物に出かけたりする人が多いと報告されているが、そこには従来の親子関係とは異なった、友達のような関係があると思われる。「親子の付き合いも友人のような関係であってもよい」という考え方についてどう思うか尋ねたところ、女性のパラサイト・シングルではそうした考え方に肯定的な人が多かった(図3)。経済面、生活面の負担が少ないことに加え、友達のような関係の母親が近くにいることで、精神的にも満足度が高いことから、このような結果が現れているのではないだろうか。

これに対し、男性のパラサイト・シングルは満足度が低いが、これについては、親の家業を継ぐために、親元にとどまる人がいたり、現在は自分で家事をしているため、結婚後の家事の負担についてあまり意識していないこと等が現れたものと思われる。

 

図2 親同居未婚女性の生活満足度は高い

図2 親同居未婚女性の生活満足度は高い

 
図3 親同居未婚女性は友達親子に肯定的

図3 親同居未婚女性は友達親子に肯定的


 

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