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第1章 家族を巡る潮流変化

子どもを持つことに対する意識の変化

そこで、近年の少子化の原因について詳しくみてみよう。

まず、結婚しても子どもを生まなかったり、生む数を減らすという近年の傾向の背景として人々にどのような意識の変化があるのだろうか。

これについて、子どもを持つ理由からみてみよう。当府「国民生活選好度調査」(97年)によると、子どもが欲しい理由の回答として割合が高いのは、「人間として自然」、「子どもがかわいい」であるが、前者については年齢層が高くなるほど、後者については年齢層が低くなるほど回答者の占める割合が高くなっている(第1−6図)。また、「社会的に一人前になる」と答えた人の割合も、年齢層が高くなるほど高い。これらの結果からみると、子どもを持つことは誰もが当たり前のことと考えられていたのが、その意識が変化していることがうかがえる。

そして、この意識の変化は子どもを持つ必要性についても表われている。前述「国民生活選好度調査」(2001年)において、結婚しても子どもを持つ必要はないという考え方に対しどう思うか尋ねてみたところ、そう考える人の割合は、世代が若くなるにつれて高くなっている。これについて、ライフステージ別の結果をみてみると、男女の生徒または学生、独身者、子どものいない夫婦、女性の第一子が小学校入学前の親、第一子が小・中学生の親において、そう思う(「全くそう思う」+「どちらかといえばそう思う」)と答えた人の割合が、そう思わない(「どちらかといえばそう思わない」+「全くそう思わない」)とする人の割合を上回っている(第1−7図)。

これに対し、子どもを持つことで豊かな人生を送ることができるという考え方については、世代間で大きな変化はみられず、ライフステージ別にみても、男女とも、そう思うとする人の割合のほうが高くなっている(第1−8図)。

これらの結果から、以下のことがいえよう。まず、子どもを持つことで豊かな人生を送ることができると考える人が多いという結果からわかるように、子どもを持つことについて否定的に考えている人は少ない。ただし、必要性については、若い世代を中心に、必ずしも必要でないと考える人が多い傾向がみられる。そして、義務教育を終了するまでの子どもがいる母親についても、必ずしも子どもを持つ必要はないと考える傾向が強いが、これは、育児や教育に対する負担が反映された結果ではないだろうか。同調査(2001年)において、出生率低下の原因について尋ねたところ(3つまで複数回答)、「育児を容易にする施設・制度が十分でないから」、「子育ては肉体的負担が大きいから」と回答した人の割合が家族形成期および家族成長期における男女において、女性の割合が男性の割合を上回っていた(第1−9図)。

 

第1-6図 子どもが欲しい理由として、若い世代ほど多い「子どもがかわいいから」

第1-6図 子どもが欲しい理由として、若い世代ほど多い「子どもがかわいいから」


 

第1-7図 結婚しても子どもを持つ必要がないと考える人の割合

第1-7図 結婚しても子どもを持つ必要がないと考える人の割合

 

第1-8図 子どもを持つことで豊かな人生を送ることができると考える人の割合

第1-8図 子どもを持つことで豊かな人生を送ることができると考える人の割合


 

第1-9図 出生率低下の原因

第1-9図 出生率低下の原因


 

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