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第1章 家族を巡る潮流変化

サラリーマン世帯における収入構造の変化

それでは、以上のような就業構造の変化は、家族における働き方や家庭生活にどのような影響をもたらしているのだろうか。ここでは、働き方に関する点を中心にみてみよう。

50年代半ばから始まる高度成長の過程における、第1次産業から第2次、第3次産業への産業構造の変化は、家族の生産単位としての意味合いを減少させる一方で、都市部に多くの就業の場を生み出した。そしてそれは地方から都市への人口流入をもたらし、そうした人口が新たな世帯を形成した。人口集中地区(DID)(注)人口割合は、50年には34%であったが、70年には54%にまで高まった。

そして、企業に雇用されて働くという働き方が一般化する中で、夫のサラリーマン化、妻の専業主婦化が進行し、夫一人の収入によってまかなわれる家計が増加した。夫がサラリーマンである専業主婦(非労働力(無業))の人口は、55年の517万人から70年には898万人に増加し、その割合は30%から36%に増加した(第1−1図)。

しかし、近年、雇用者として働く妻の割合は上昇している。人口総数に占める雇用者の割合(以下、「雇用就業率」という)を妻についてみてみると、82年の29%から97年には38%まで上昇している。これについては、特にパート・アルバイトの比率が10%から18%まで高まったことが大きく影響している。また、夫がサラリーマンである専業主婦の割合も、87年の37%から2000年には27%まで減少している。これについては、以下のような要因が考えられる。

まずあげられるのが、就業構造の変化である。すなわち、近年の高齢化やIT化の進展等にともない、女性就業者の比率が相対的に高いサービス産業の雇用が拡大したことで、女性の雇用就業の機会は拡大している。

また、家庭電化製品や外食、惣菜等の普及により、家庭内労働の省力化や外部化が進展してきていることも影響していると考えられる。

さらに、近年における夫の雇用環境の変化も影響している可能性がある。すなわち、高度成長期に培われた夫の就業形態は、いわゆる長期雇用保障と年功的な賃金体系等のもとで、雇用や所得に関する不確実性が小さいと一般的にみなされてきた。しかしながら、夫の多くがフルタイムで雇用されている状況には大きな変わりはないものの、失業率が高まっているなど、夫の雇用環境には変化がみられる。

このような中、近年、サラリーマン世帯においては、夫一人の収入に依存するという高度経済成長期に形成された働き方から、夫と妻双方が雇用者として働くという形へと変化してきているといえよう。


(注)人口集中地区(DID)は、1960年から総務省「国勢調査」により設定されている。
 50年は大友篤「日本都市人口分布論」による数値である。
 

第1-1図 高度成長期に大きく増加したが、近年は減少しているサラリーマン世帯の専業主婦数

第1-1図 高度成長期に大きく増加したが、近年は減少しているサラリーマン世帯の専業主婦数

 

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