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はじめに

本年度の国民生活白書は、「家族」を切り口として国民のライフスタイルに関する検討を行ったが、「家族」全般に関して網羅的に考察するのではなく、主として以下の3つの視点から考察した。

  1. 近年、少子高齢化の進展や人々の価値観の多様化等にともない、「家族」に関する考え方も多様になってきている。この結果、家族形成や国民のライフスタイルのあり方について、多様な選択があり得るようになってきた。しかしながら、そうした多様な選択のための条件が整備されていない分野も残されている。特に、家族の「働き方」にかかわることは、選択肢はいまだ限定的である。このような条件の不備は、人々の自由な家族形成の妨げになっていると考えられ、未婚率の上昇や少子化という問題にもつながっている。現在、政府が推進している構造改革は、家族の働き方を柔軟なものに変え、人々が自由で多様なライフスタイルの実現をもたらす上で、極めて重要なものと考えられる。
  2. 従来から家族が担ってきた子どもを生み育てる機能や高齢者を介護・扶養する機能にも変化がみられる。子育てや高齢者の介護・扶養といった分野は、家族や地域社会の果たしていた機能が低下する中、これらの機能を補うための方策が求められる分野である。高齢者については、すでに介護や扶養を社会全体で支えるしくみが整えられているが、子どもを育てるという面では十分とはいえない。これまで家族や地域によって支えられていた子育てを、社会全体で支援していくことが必要である。
    このような取組みは、深刻化する少子化の問題への対応としても重要である。現在、政府が進めている構造改革の柱の1つとなっている子育て支援は、このような観点から重要である。
  3. 少子高齢化とともに、ITの普及も家族や国民のライフスタイルに大きな影響を与えている。ITの活用は、時間や場所に制約されることなく家族の事情等に応じて柔軟に働くことを可能としたり、安心して子育てや高齢者の介護等を行うことを可能にする。また、ITを有効に活用することにより、家族の精神的な結びつきを強めることも可能である。
     IT化の推進は、家族が抱える生活上のさまざまな構造的問題を解決するための有力な手段の1つと考えられる。

白書は、以下、4つの章と補論から構成されている。第1章では、近年の家族を取り巻く経済社会状況の変化の中で、家族の変化の状況を、その機能に着目して考察している。第2章では、家族の姿全体に大きな影響を及ぼす家族の働き方の現状と課題について考察している。第3章では、家族の子育て機能の変化に着目しながら、社会的な保育の充実のための方策や育児中の就業者への支援状況について検討するとともに、子育てや子どもの学習を巡る状況について考察している。第4章では、ここ数年で急速に進展したIT化が、働き方をはじめとして、家族の生活にいかなる変化をもたらし、また、もたらす可能性があるかについて考察している。補論では、現在、政府によって推進されている構造改革が、国民生活にどのような変化をもたらし、「暮らしの改革」にむすびつくかについて、第1章から第4章の考察も踏まえつつ、まとめている。

 

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