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全文 > 第3章 職場のつながり > 第1節 職場のつながりの変化と現状(2/3)

(3)深い付き合いを望まない人が増加傾向

●職場では部分的な付き合いを望む人の割合が増加

次に、人のつながりに対する人々の意識についてその変化を見てみよう。職場の同僚との望ましい付き合い方について尋ねたところ、73年時点では「全面的つき合い」と回答した割合が59.4%と最も高く、「部分的つき合い」が26.4%と続き、「形式的つき合い」は11.3%にとどまっていた(第3-1-8図)。

 

第3-1-8図 職場では部分的な付き合いが望ましいとする者が増加

しかし、2003年になると、「全面的つき合い」が望ましいと回答した割合は37.8%に低下し、逆に「部分的つき合い」が望ましいとする割合は37.5%に高まり、両者は拮抗するまでになった。また、「形式的つき合い」が望ましいとする割合も21.7%に高まっている。つまり、かつては職場では親密な付き合いが求められていたが、現在ではより緩やかな付き合いが求められるようになっている。

ただし、このような傾向にあっても、職場で最低限のつながりしか望まない人が多数を占めているわけではない。仕事に直接関係する範囲といった最低限の付き合いを望む人は増加してはいるが、2003年においても2割程度であり、大多数はそれ以上の付き合いを求めている。つまり、人々の求めるつながりは総じて緩やかなものになってはいるが、これはつながりを否定する人が多数となったことを意味するわけではなく、多くの人は程度の差はあれ、依然として職場で人のつながりを求めている。

●4人に1人が仕事以外でも職場の人と付き合いたいと希望しながら実現していない

多くの人は職場の人と、仕事上だけではなく、それ以上の付き合いを望んでいることを見たが、実際のところはそのような付き合いは実現しているのだろうか。職場の人と仕事以外で付き合うことについてその希望と現実を比較したところ、付き合いがあった方がよいと考えていて、実際にもそのような付き合いをしている人、つまり希望と現実が一致している人の割合は44.0%であった(第3-1-9表)。つまり4割以上の人は、このような職場のつながりを得たいと希望し、現実にもつながりを得ていることが分かる。また、付き合いがない方がよいと考え、実際もそのような付き合いをしていない人は25.8%である。したがって、これらを合わせた約7割の人々は希望と現実が一致している。

 

第3-1-9表 職場の人と仕事以外でも付き合いたいのに付き合えない雇用者は4人に1人

職場の人との仕事以外での付き合い方の希望と現実
(%)
区分 現実
職場の人と仕事以外で
付き合っている 付き合っていない
希望 雇用者 職場の人と仕事以外での付き合いは あった方がよい 44.0 25.2
ない方がよい 5.1 25.8
  正社員 職場の人と仕事以外での付き合いは あった方がよい 46.4 23.5
ない方がよい 5.1 25.1
パート・アルバイト 職場の人と仕事以外での付き合いは あった方がよい 40.3 27.7
ない方がよい 5.2 26.8

(備考)
1. 内閣府「国民生活選好度調査」(2007年)により特別集計。
2. 希望欄は、「職場の人とは、仕事以外でのつき合いはあまりない方がよい」との考え方に対して「そう思う」または「どちらかと言えばそう思う」と回答した者を「ない方がよい」、「そうは思わない」または「どちらかと言えばそうは思わない」と回答した者を「あった方がよい」とした。
3. 現実欄は、「職場の人とは、仕事以外でもつき合うようにしている」との態度に対して「あてはまる」または「ややあてはまる」と回答した者を「付き合っている」、「あてはまらない」または「あまりあてはまらない」と回答した者を「付き合っていない」とした。
4. 回答者は、20歳以上の雇用者1,654人。

また、仕事以外では職場の人と付き合いたくないと考えながら、実際は付き合っている人、すなわち、本意ではないが無理をして付き合っていると考えられる人は5.1%とそれほど多くない。その一方で、職場の人と仕事以外でも付き合いたいと考えながら、実際はそのような付き合いができていない人は25.2%と、4人に1人が、仕事以外でも付き合いたいと考えながら、その希望が実現していない。

なお、職場の人と仕事以外でも付き合いたいと考えながら、実際はそのような付き合いができていない人の割合を、就業形態別年齢層別に見ると、34歳以下のパート・アルバイトが32.6%と他と比べて高かった(第3-1-10表)。つまり若年のパート・アルバイトは、職場のつながりを持ちたくても持てない傾向が強い。

 

第3-1-10表 職場の人と仕事以外でも付き合いたいのに付き合えない雇用者の割合は34歳以下のパート・アルバイトで高い

職場の人と仕事以外の付き合いがあった方が良いと考えるが、
現実は仕事以外の付き合いがない雇用者の就業形態別割合
(%)
区分 正社員 パート・アルバイト
34歳以下 21.3 32.6
35〜59歳 24.8 26.6
60歳以上 20.0 25.6

(備考)
1. 内閣府「国民生活選好度調査」(2007年)により特別集計。
2. 年齢層別、就業形態別に、仕事以外の付き合いがあった方が良いと考えるが、現実には付き合いがない人の割合を示したもの。
3. 回答者は、20歳以上の雇用者1,654人。

 

●職場旅行に行く人の割合は大きく低下

仕事以外での付き合いについては様々な形態がある。職場の同僚と昼食に行くこともあるだろうし、仕事帰りに部下や上司と一杯飲むこともあろう。実際に仕事上だけでなく、職場の人と付き合っている人は49.1%と約半数である(前掲第3-1-9表)が、付き合いの形態によって、それを行う人の割合が大きく異なると考えられる。そこで以下では、職場旅行、飲み会・食事会、昼食の三つの形態についてどの程度の人が、そのような付き合いをしているか見ていこう。

まず職場旅行である。雇用者のうち、職場の人との観光旅行、いわゆる社員旅行への参加者数がどの程度の割合であるか(行動者率)を見ると、2001年は17.0%であり、職場旅行へ参加する人はそれほど多くないことが分かる(第3-1-11図)。また、職場旅行の行動者率は、91年は31.2%であり、10年間で大きく低下している。なお、年齢層別に見ると、60代以上の行動者率が低いことを除けば、大きな差は見られない。休日において職場の人と朝から晩まで行動を共にする職場旅行は、職場の人との強いつながりであり、日本の会社文化の象徴とも言える。近年は、休日くらいは職場の関係から離れたいとの意識の高まりや、景気の長期低迷により余裕がなくなったなどの理由から、職場旅行が廃れてきたと言われているが、行動者率の変化は、それを裏付けている。

 

第3-1-11図 職場旅行に行く人の割合は大きく低下

●職場の人との飲み会に頻繁に行く人は少ない

次に、職場の人との飲み会・食事会である。職場の人とどのくらい頻繁に飲み会や食事会に行っているのか尋ねたところ、週1〜2回以上行っていると回答する割合は5.1%にとどまり、月1〜2回程度が43.1%で、残りの半数はほとんど行っていないことが分かった(第3-1-12図)。

 

第3-1-12図 職場の人との飲み会に頻繁に行く人は少ない

これを男女別に見ると、週1〜2回以上飲み会や食事会に行く人は、男性は7.3%、女性は2.7%にとどまっており、月1〜2回程度についても、男性で45.2%、女性で40.7%と、女性の比率が若干低いものの、男女間で大きな差は見られない。また年齢層別に見ると、月1〜2回以上飲みに行く人の割合が、20代以下では、男性が62.3%、女性が59.6%と他の年齢層に比べて高く、若者は男女問わず、仕事以外のつながりを持つことに積極的であるとも言える。飲み会も社員旅行とともに日本の会社文化の象徴と見ることができ、特に男性社員は仕事が終わった後、夜な夜な一杯飲んでいる姿がイメージされることもある。しかし、そのようなイメージと合致する人、つまり週1〜2回以上職場の人と飲んでいる人は少数である。

さらに月1〜2回程度以上飲みに行く人の割合を就業形態別に見ると、正社員は54.8%と半数を超えているが、パート疋アルバイトは38.2%と低くなっている(第3-1-13図)。

 

第3-1-13図 職場の人との飲み会や食事会は正社員の参加割合が高い

●パート疋アルバイトは昼食も職場の人と行かない場合が多い

最後に勤務時間の合間での昼食について見たい。職場の人とどのくらい頻繁に昼食に行っているか尋ねたところ、ほぼ毎日との回答が44.8%、週1〜2回が12.2%と、合わせて半数以上が週1〜2回以上は職場の人と昼食に行っていることが明らかになった(第3-1-14図)。昼食については、仕事から離れた付き合いの中でも最も手軽な形態の一つであり、飲み会と比べてもより多くの人がそのような形で、職場の人とつながりを持っていると考えられる。ただし、このような手軽な付き合いもほとんど行っていない人は32.2%と、3人に1人に上っている。

 

第3-1-14図 パート・アルバイトは昼食も職場の人と行かない場合が多い

次に職場の人と昼食に行かない人の割合を就業形態別に見ると、正社員が29.5%、パート疋アルバイトが36.4%と、パート・アルバイトの比率が高かった。昼食については、勤務時間の合間に行くことが一般的であり、パート・アルバイトについても、比較的職場の人と行動を共にしやすいと考えられるが、その昼食についてもパート・アルバイトは職場の人と一緒に行かない傾向にある。

職場以外で人との付き合いを希望する人の割合を就業形態別に見ると、正社員は69.9%、パート疋アルバイトは68.0%とほとんど差が見られない(前掲第3-1-9表)。パート疋アルバイトは職場の人との付き合いを希望していないわけではないが、実際は、正社員に比べて、職場の人とのつながりを持てていない人が多いことが想定される。

●3人に1人が社外の人との交流会や勉強会に参加している

職場における人とのつながりは、同じ職場の人とのみ築かれるわけではなく、交流会や勉強会などを通じて、他の職場の人との間でも築かれる。そこで社外の人との交流や勉強の場へ参加しているか尋ねてみると、参加していると回答した人は32.6%であり、3人に1人が参加するなど、職場の枠を超えた同業種間、同資格者間などの交流は比較的活発に行われていることが分かる(第3-1-15図)。

 

第3-1-15図 3人に1人が社外の人との交流会・勉強会に参加

それでは、社外の人との交流や勉強の場へ参加している人はどのような場に参加しているのだろうか。年齢層別にその割合(複数回答)を見ると、勤め先の仕事の内容にかかわりの深い「同業種間の交流会や勉強会」には年代にかかわらず6割程度が参加している(第3-1-16図)。これに対し、「業種・職種を問わない交流会や勉強会」では年代が高くなるとともに参加割合が高まり、逆に「同資格取得者同士の交流会や勉強会」では年代が低いほど参加割合が高まる傾向が見られる。若年層は、後述するように、どの会社で働くかという「就社」より、どんな仕事をするかという「就職」を重視する傾向にあるが、そのような意識から、同業種間や同資格取得者間の交流といった自分の仕事の質を高める活動を好むとの解釈も可能である。一方、職場経験を積んだ中堅以上の層では、業種を超えた幅広い交流を好むという傾向がうかがえる。

 

第3-1-16図 世代により社外の人との交流の場は異なる

なお、社外の人との交流や勉強の場に参加する人の割合を就業形態別に見ると、正社員の41.8%に対して、パート疋アルバイトは18.8%にとどまっている(第3-1-17図)。つまり、先に示したようにパート疋アルバイトは職場の人とのつながりが薄い傾向にあるが、社外の人とのつながりも薄いことが示唆される。

 

第3-1-17図 パート・アルバイトは社外の人とのつながりも薄い
【コラム】 職場の縁による婚姻割合は低下している
  職場は、仕事を通じた出会いの場にもなり得る。職場の縁により出会った男女が、結婚により家族の縁を結ぶこともある。
  国立社会保障・人口問題研究所の「結婚と出生に関する全国調査」によると、見合い結婚の割合が低下する中、職場の縁がきっかけで結婚した夫妻の割合は90年代初めまで高まり、92年には35.0%と、出会いのきっかけのトップを占めていた。しかし、それ以降、割合は低下し、2005年には29.9%と3割を下回り、友人等の紹介をきっかけとした結婚の割合を下回るようになった()。
  このように、夫妻の出会いの場として職場の役割が小さくなった要因としては様々なことが考えられるが、その要因の一つとして職場のつながりの変化を挙げることができよう。人々が望む職場のつながりは全面的なものから部分的なものに変化しているが、そのような中でかつてのように上司や先輩が結婚の世話を焼くことが「干渉」と受け取られかねなくなったことが影響しているとの見方もある。職場における人との付き合いが希薄化していることにより、結果として、職場の縁から家族の縁が生まれる機会も減少しているのではないだろうか。
 
図 職場の縁による婚姻割合は低下

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