全文 > 第2章 地域のつながり > 第2節 地域のつながりの変化による影響(4/4) |
災害が発生した場合、最も身近な存在は、同じ被災現場にいる地域の人々である。地震や台風、集中豪雨による災害などいざという時に、様々な人や組織が力を合わせることが必要になる。そして、このような助け合いには日頃からの付き合いが重要であると考えられる。以下では、地域の防災機能への期待とその実態について見ていこう。
災害の被害を軽減するために、災害発生時に取るべき対応はどのようなことか尋ねたところ、「公助、共助、自助のバランスが取れた対応をすべきである」を挙げた人の割合が37.4%と最も高くなっている(第2-2-18図)。つまり、災害被害軽減のためには国や地方公共団体だけでなく、地域の住民やボランティア・企業などの連携、そして自らも一緒になって取り組むことが重要と考えている人が多い。

次に別の調査で、災害時の対応(防災や防火)について、地域において最も役立っていると考えられる活動・組織は何か尋ねたところ、「公的機関(学校、病院、消防署、警察署等)」との回答が30.4%と最も高いが、続いて「町内会・自治会」も22.9%となっており、地域の防災の担い手として、エリア型地域活動も期待されている(第2-2-19図)。

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、極めて甚大な被害をもたらした災害であったが、日常生活における地域のつながりの重要性を改めて認識させる契機でもあった。例えば、倒壊した家屋などの下敷きになって自力で脱出できなかった人の約8割は、近隣住民などによって救出されたと言われている(第2-2-20図)。

また、「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」(内閣府)には、「現場へ駆けつけた警察・消防職員は、家族や周囲の人から情報を集めながら生き埋め箇所の見当をつけ、呼びかけに応える声を頼りに掘り進んだ」、「広範囲かつ大規模に市民消火活動が展開され、その結果として火元で焼け止まった火災現場も多かった」、「延焼拡大を阻止した要因のひとつとして市民消火活動をあげることができる」という内容が紹介されており、災害時に「地域のつながり」が果たした役割をうかがい知ることができる。
こうした実態がある中で、地域が災害に対して安全だと感じているか尋ねたところ、「安全」と回答した人の割合は84年の35.0%から2002年の25.2%まで低下していることが分かる(第2-2-21図)。

防災に関して日頃からの近所付き合いといった地域のつながりが大切と言われているにもかかわらず、地域のつながりが希薄化していることが、災害に対して地域が安全と感じる人が少なくなっていることの一因にあると考えられる。
地域の高齢者福祉と言えば、介護保険制度などと連携した施設・サービスや地方公共団体の取組のほかに、地域住民のボランティアによる高齢者宅の訪問などの草の根的な活動が挙げられる。ここでは、こうした地域住民の手による高齢者福祉にかかる取組を中心に見てみることにする。
まず65歳以上の高齢者に対して、現在、心配ごとや悩みごとがあるか尋ねたところ、「自分の健康のこと」と答えた人が33.5%、「配偶者の健康のこと」と答えた人が16.7%と、健康について心配している人が多い(第2-2-22図)。

では、こうした心配ごとや悩みごとを、高齢者は誰に相談しているのだろうか。同じ調査で65歳以上の高齢者に心配ごとや悩みごとを誰に聞いてもらったり、相談したりするか尋ねたところ、「配偶者」との回答が46.3%、「子供」が43.3%である一方、「友人・知人」は10.5%、「となり近所の人」は2.2%にとどまっている(第2-2-23図)。

しかし、世帯構成別に見ると、単身高齢者世帯については「友人・知人」との回答が24.0%、「となり近所の人」が7.1%となっており、家族以外の人に対して、心配ごとや悩みごとを相談している割合が高くなる。さらに、単身高齢者世帯の人については、9.8%の人が「相談したりする人はいない」と回答しており、他の世帯の人と比べその割合が高い。つまり、単身高齢者にとっては、家族以外の人とのつながりがより求められており、隣近所の人を始めとした地域の人々がその役割を担うことが重要と言えよう。