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全文 > 第2章 地域のつながり > 第1節 地域のつながりの変化と現状(2/5)

●地域の「つながり持ち」は全体の16%

近隣関係を築き深める傾向にある人と、地域活動に参加する傾向にある人は、おおむね共通した特性を持っていることを指摘したが、これは近隣関係が深い人ほど地域活動を活発に行うというような関係があることを示唆している。これを確認するため、地域活動への参加状況、近隣関係の頻度との関係を見ると、参加する地域活動の種類が増えるにつれて、近隣住民との行き来も多くなるとの傾向を見ることができる(第2-1-10図)。

 

第2-1-10図 地域活動に参加する人ほど、近隣関係も深い

地域のつながりを総合的に把握するため、人々が、どの程度深い近隣関係を持っており、同時にどの程度の頻度で地域活動へ参加しているか見よう。日常的に助け合うといった深い近隣関係を持つとともに、地域活動に月1日以上参加している人、いわば、「つながり持ち」とも呼べる人の割合は16.0%である(第2-1-11表)。また、日常的に助け合うような深い近隣関係を持つが、地域活動には全く参加しない人、あるいは、地域活動には月1日以上参加しているが、近隣関係は挨拶程度あるいはそれすらも行わない人、つまり、一点豪華主義的なつながりを持つ人の割合は10.3%とそれほど多くない。

 

第2-1-11表 地域の「つながり持ち」は全体の16%

●「地域から孤立する人」は2割

そのような中、挨拶程度以下の近所付き合いしかせず、地域活動に全く参加していない人は20.8%に上っており、いわば「地域から孤立する人」は少なくないことが分かる(第2-1-12図)。この地域から孤立する人の中には、近隣関係を持たず、地域活動にも参加しないといった、完全に地域から孤立した人も含まれるが、このような「地域から完全に孤立している人」の割合は全体の7.0%となっている。

 

第2-1-12図 地域から孤立している人は全体の2割

では地域から孤立している2割の人々はどのような人なのだろうか。ここまでの分析で、近隣関係が深い人、地域活動に参加する人の特性を明らかにした。直感的に、地域から孤立する人は、これら特性を持たない人、つまり若い人、配偶者がいない人、子どもがいない人、雇用者、居住年数が5年未満の人、賃貸集合住宅に住む人であることが想定される。そこで実際に改めて統計的に分析し直したところ、おおむね想定した結果が得られた(第2-1-13表)。

 

第2-1-13表 サラリーマンや単身世帯の人は地域から孤立しやすい

●「つながり持ち」は高齢者に多く、「地域から孤立する人」は若年者に多い

こうした「つながり持ち」や「地域から孤立する人」について年齢層別に見たところ、「つながり持ち」は年齢の高い層に多く、50歳以上で70.9%を占めている。一方、「地域から孤立する人」は年齢の低い層に多く、39歳以下で61.9%を占めている(第2-1-14図)。

 

第2-1-14図 つながりは高齢者に偏在し、若年者は孤立傾向

また別の調査で、60歳以上の人に「ふだんの生活で、家族以外に若い世代との交流の機会はあるか」尋ねたところ、若い世代との交流がない人(「ほとんどない」と「全くない」と回答した人)の割合は52.8%となっている(第2-1-15図)。さらに、若い世代との交流がある人(「よくある」または「たまにある」と回答した人)に対して、交流相手を尋ねたところ、「壮年の世代」を挙げる人が67.8%となっており、若い世代、特に子どもとの交流はそれほど多くない。

 

第2-1-15図 高齢者は若い世代との交流が少ない

以上から、地域のつながりは年齢の高い人に集中していることがうかがえる。

●高齢者は若年者とのつながりを求める

しかしながら高齢者は、若者とのつながりを希望している。先に示した調査から、高齢者が若い世代との交流への参加を希望しているかについて見ると、「参加したい」と回答した人の割合は52.7%と半数を超えている(第2-1-16図)。

 

第2-1-16図 高齢者の半数以上の人が若い世代との交流を希望

また、世代間の交流を促進するために、どのようなことが必要と思うか尋ねたところ、「交流機会の設定」が26.0%と最も高くなっており、環境を整えることで、世代間の交流が増える可能性があることが見て取れる(第2-1-17図)。

 

第2-1-17図 世代間交流には機会の設定が必要と考える高齢者が多い

●「親しく付き合いたい」と考えている人ほど、希望が実現していない

先ほど見たとおり地域から孤立する人は少なくないが、人々は地域の人と、どのような付き合いを望んでいるのだろうか。近所とどの程度の付き合いをしたいか希望を尋ねたところ、「とても親しく付き合いたい」と回答した人が7.1%、「わりと親しく付き合いたい」と回答した人が39.9%と、合わせて約半数が親しい近所付き合いを望んでいる(第2-1-18図)。

 

第2-1-18図 親しく付き合いたい人ほど望む付き合いが実現していない

ではこのような人は、実際に親しい付き合いをしているのだろうか。これを見るために、希望する近所付き合い程度別に現実の付き合いの程度を見ると、「とても親しく付き合いたい」と考えている人の40.3%、「わりと親しく付き合いたい」と考えている人の38.6%の人が、現実の付き合いが希望より浅い程度にとどまっていた。一方、「ほとんどもしくは全く付き合いたくない」と回答した人については、89.1%が現状もそのような付き合い方をしていることが分かった。つまり、親しく付き合いたいと思っている人ほど、現実はそのような付き合い方が実現していない。

人と人とのつながりは、お互いにその希望があって成立することが一般的である。よって、つながりを持ちたいとの希望があっても近隣につながりを持ちたくない人が多い場合は、その希望を実現できない可能性が高まる。そしてこれは、つながりを希望する人が多い場所は、地域全体のつながりは多くなるが、そうでない場所は、つながりが生まれないことを意味し、ひいては地域によってつながりが偏在化する可能性を示している。


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