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第1章 家族のつながり

第1節

家族のつながりの変化と現状

1.家族のつながりが意味するもの

家族は社会生活を営む上で、最小かつ最も基礎的な集団である。人は生まれてから多くの場合は家族に育てられ、食事、団らん、余暇など様々な生活行動を共にし、家族との触れ合いの中で人間として必要な愛情や社会規範意識などを身に付け成長していく。一緒に暮らすにせよ離れて暮らすにせよ、家族のつながりは、今もなお他の集団では代替困難な特別の存在であり、個人の生活や意識に大きな影響を与えるものである。

本章では、「家族のつながり」について、近年どのように変化したのか、また、その変化によってどのような影響が生じているのかを検証していく。まず第1節では、家族のつながりが近年どのように変化してきたのか、また、その変化の背景にはどのような要因があるのかを見る。続く第2節では、家族のつながりの変化が、家族がこれまで果たしてきた役割にどのような影響を与えているのかを検証し、現代の家族が有する問題を明らかにしていく。そして第3節では、そのような問題を解決する新しい動きや事例を紹介する。

●人々にとっての家族とは

家族のつながりの変化を見る前に、そもそも人々にとって家族とは何か、あるいはどこまでの範囲が「家族」として定義されるのかを考える必要があるだろう。

家族の定義には様々なものがある。時代や社会によっても異なるし、個人によっても異なるだろうが、人々はどこまでの範囲を家族であると認識しているのだろうか。内閣府の国民生活モニター1に、家族と考える範囲について尋ねたところ、同居している親族については、「配偶者」と答えた人が91.4%と最も多く、次いで「子ども」が87.6%、「親」が70.8%となっている(第1-1-1図)。また、「孫」、「祖父母」、「兄弟(姉妹)」についても、それぞれ4割以上の人が家族と考えると回答している。そして、別居している親族については、「親」が66.1%と最も高く、次いで「子ども」が55.4%、「兄弟(姉妹)」が53.2%と高くなっているほか、「配偶者」が40.1%、「孫」が45.1%、「祖父母」が43.3%とそれぞれ4割を超えている。つまりここからは、同居別居にかかわらず、親、子ども、祖父母、孫などの直系の親族と、配偶者、兄弟(姉妹)までを「家族」の範囲ととらえる人が多いことが見て取れる。

 

第1-1-1図 「家族」の範囲は直系の親族、配偶者、兄弟と考える人が多い

●家族の役割としては休息ややすらぎを求める人が多い

家族の役割は大きく分けて、一般的に「休息・やすらぎを得ること」、「子どもを生み育てること」、「相互扶助」、「生活の糧を得ること」の四つがあると言われている。では、実際に人々は家族という集団のどのような役割を重視しているのだろうか。ここでは、家族が過ごす場である家庭を人々がどうとらえているのか見てみよう。

「あなたにとって家庭はどのような意味をもっていますか」と尋ねたところ、「家族団らんの場」と回答した人の割合が66.5%と最も高く、「休息・やすらぎの場」の61.5%、「家族の絆を強める場」の54.9%がこれに続いている(第1-1-2図)。家族が過ごす場である家庭を人々がどう認識しているのかは、人々が家族に求めている役割を表していると考えられる。ここから、「休息・やすらぎを得ること」といった役割を家族に求める傾向が強いことが分かる。

 

第1-1-2図 家族には精神的なやすらぎを求める人が多い

続いて、「子どもを生み・育てる場」、「子どもをしつける場」と答えた人もそれぞれ27.4%、20.2%おり、「子どもを生み育てること」も家族に求められている役割の一つであると言える。

また、「親の世話をする場」と回答した人も14.3%いることから、家族の誰かに介護や看護が必要となった場合にその人を助けるといった「相互扶助」についても家族の役割として認識されていることが分かる。

本章では、この結果に基づき「休息・やすらぎを得ること」、「子どもを生み育てること」、「相互扶助」の三つの役割を取り上げ、これらが家族のつながりの変化によってどのような影響を受けているのかを検証していく。

 


1 国民生活にかかわる政策を始めとした様々な問題についての意識調査に回答するほか、地域における価格調査などを行う。全国で約2,000人に委嘱している。ただし、国民生活モニターは無作為抽出で選ばれているわけではなく、4分の3が女性であり、また、40歳以上が7割近くを占めていることにも留意する必要がある。

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