2.女性の再就職を妨げる壁の現状 ●職業能力の低下と重すぎる育児負担が正社員としての再就職を阻む壁 育児のため離職した後、正社員として再就職するための求職活動を行っている女性は、2002年において15〜49歳で約6万4,000人いる23。この中で、どのような条件を備えた人が正社員としての再就職に成功しているかを分析した。 まず離職期間が長くなればなるほど再就職の成功率が低くなる(第2−3−8表、付注2−3−1)。また、前職が正社員もしくは専門職である場合には、それぞれ再就職の成功率が高まる。このことは、専門能力を始めとした職業能力の蓄積に乏しいと、再就職が困難であることを示唆している。また、3歳以下の子どもがいる場合は再就職しにくく、親と同居していると再就職しやすいことから、育児負担が再就職を阻む一因となっていることが推測できる。このように、正社員としての再就職を阻む主要な壁は、職業能力の低下、そして育児負担であることが分かる。育児負担が再就職する上で不利となることは、基本的に育児と就業の両立が困難であることによると考えられるが、この点については既に第2節で取り上げた。そこで本節では、離職期間の長期化に伴なう職業能力の低下について詳しく見ていくこととする。 第2-3-8表 離職期間や前職の就業形態、職種などが女性の再就職に影響を与えている   23 総務省「就業構造基本調査」による。 ●中途採用では専門能力や職業経験が重視される はじめに、中途採用を望む女性を取り巻く雇用環境を見てみよう。職種別中途採用募集人数を見ると、「専門・技術職」の募集人員が最も多く、全体の3割を占めているとともに、5年前と比べて35万人以上増加している(前掲第1−2−10図)。一方、「事務関連職」の募集人員は10万人以上減少している。 中途採用の際の年齢条件を見ると、依然として20代から30代前半が中心である点には変わりはないが、99年から2004年にかけて年齢を不問とする求人が12.7%から20.1%にまで増えている(第2−3−9図)。これは40代前半に再就職のピークを迎える女性にとっては好ましい動きである。また、企業に、募集人数枠いっぱいの採用に至らなかった場合の理由を尋ねたところ、「能力・経験・資格の不足」が44.1%と多かった反面、「年齢等の条件が合わない」は8.0%にとどまった(第2−3−10図)。つまり企業は中途採用市場において、年齢などの外形的な条件ではなく、即戦力となり得る能力や経験を重視していることが分かる。 第2-3-9図 中途採用は20〜30代の募集が多いが50代以上や年齢不問も増加している 第2-3-10図 中途採用においては能力や経験を重視する ●離職期間が長いと正社員としての再就職率が低くなる 育児のため離職した女性のうち、半数以上の52.4%が、4年以上の離職期間を経た後に再就職している(前掲第2−3−5図)。離職期間と再就職時の就業形態の関係を見ると、離職期間が1年未満の場合には16.2%が正社員として再就職しているが、1〜2年未満では10.4%、2年以上では7.7%と、離職期間の長期化とともに正社員としての再就職率は低下する(第2−3−11図)。離職前に正社員であった女性のうち、正社員として再就職する割合も、離職期間1年未満では19.5%であるが、1〜2年未満では8.8%、2年以上は8.1%と、離職期間が長くなるほど急速に低下する。このように正社員としての再就職を希望する女性にとって、離職期間が長くなるほどその実現が困難となる。 第2-3-11図 離職期間が長くなるほど正社員としての再就職率が低下する