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本文 > 第3章 高齢者の人生の再設計 > 第2節 高齢者の就業:意識と現実

●「小企業」、「パート・アルバイト」が60代の雇用の受け皿に

それでは、就業している高齢者は、どのような産業や企業規模、就業形態で働いているのだろうか。

60歳前後の男性の就業形態を見ると、55〜59歳では正社員として就業している割合が53.9%、パート・アルバイトの割合が8.5%であるが、60〜64歳では正社員の割合は18.4%と大きく減少し、パート・アルバイトの割合(20.6%)の方が高くなる(第3−2−10図)。

企業規模別に見ると、55〜59歳では従業員数1,000人以上の企業で働く者の割合が13.0%、100〜999人の企業で働いている者の割合は17.2%、99人以下の企業で働く者の割合は34.2%となっている(第3−2−11図)。これが60〜64歳では、1,000人以上の企業で働く割合は4.6%、100〜999人の企業で働く割合は11.2%、99人以下の企業で働く者の割合は28.7%に減少している。

しかし、大企業ほど減少幅が大きいため、雇用者全体に占める割合で見ると、99人以下の企業で働く者の割合は、55〜59歳では46.5%であったものが、60〜64歳では59.3%に増加する。

このように、就業形態では「パート・アルバイト」、企業規模では「従業員数99人以下の企業」が60代の雇用の受け皿となっていることが分かる。

第3-2-10図 60代前半で高まるパート・アルバイトの割合

第3-2-10図 60代前半で高まるパート・アルバイトの割合

第3-2-11図 60代前半では小企業で働く割合が増える

第3-2-11図 60代前半では小企業で働く割合が増える
 

コラム 高齢期の労働者の企業間移動

年齢層別の転職入職率14を見ると、年齢が上がるにつれて低くなる傾向が見られるが、男性については60〜64歳では12.3%と、25〜29歳並みに跳ね上がっている(コラム図)。これは、定年前後の再就職・転籍などにより職場や就業形態が変わる者がいるためである。

定年前後の労働移動の状況を見るために、55〜59歳、60〜64歳の男性について前職と現職の「産業」、「企業規模」、「就業形態」を比較してみよう。

まず、産業別に見ると、55〜59歳、60〜64歳のいずれにおいても、「建設業」、「卸売・小売業」、「サービス業」において同一産業に転職する者の割合は60%以上となっている(付表3−2−1)。一方、他業種から「サービス業」に転職する者も一定程度存在する。

次に、企業規模別に見ると、55〜59歳では「前職:雇用している常用労働者数1,000人以上」から「現職:同1,000人以上」に移動した割合は16.9%、残りの80%以上は999人以下の企業に移動している(付表3−2−2)。このうち、5〜99人以下の企業への移動が40.1%となっており、関連子会社などへの転籍、あるいは早期退職による再就職などが多いのではないかと考えられる。「前職:999人以下」の企業に勤務していた者に関しても「現職:5〜99人以下」の企業へ移動する割合が相当高く、既に定年前からより小規模の企業へのシフトが始まっていることが分かる。

一方、60〜64歳では、55〜59歳の場合と同様の傾向が見られ、「前職:1,000人以上」から「現職:999人以下」への移動が約7割を占めている。「前職:999人以下」からの労働移動を見ても、前職と同程度の企業規模へ移動する割合が最も多くなっているが、全体的には前職と同程度、もしくはより規模が小さい企業への移動が大半を占めており、前職よりも大規模の企業へ動いている割合は少ない。

就業形態別では、55〜59歳では「前職:正社員」から「現職:正社員」へ移動した者の割合は約6割を占めているが、「前職:正社員」から「現職:パート・アルバイト」への移動も2割強となっている(付表3−2−3)。そのうち、「契約社員・嘱託」への移動が約3分の2を占める。

60〜64歳では、「前職:正社員」から「現職:正社員」に移動した者は3割に満たないが、「前職:正社員」から「現職:パート・アルバイト」に移動した者の割合は半数以上に上っており、雇用の非正規化が急速に進んでいることが分かる。パート・アルバイトの形態別では「契約社員・嘱託」への移動が多い。

このように、定年前後の労働移動には、[1]産業間では基本的には同一業種への移動が多いが、他産業からサービス業への移動も一定の割合で生じている、[2]企業規模間では50代後半より大企業から中小企業への移動が始まる、[3]就業形態間では60代前半で雇用の非正規化が急速に進展するといった特徴があり、60歳を境に就業環境が大きく変化していることが読み取れる。

コラム図 60代前半の転職入職率は20代後半並み

図 60代前半の転職入職率は20代後半並み  
 
14

転職入職率=転職入職者数/常用労働者数×100

 
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