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本文 > 第3章 高齢者の人生の再設計 > 第2節 高齢者の就業:意識と現実

2.高齢者就業の現状

●仕事を見つけることができない高齢者が多い

前項において、我が国の高齢者の就業意欲が高水準にあることを見てきたが、こうした意欲に応じた就業機会は、十分に提供されているのだろうか。失業率の推移を見ると、まず、60〜64歳の状況と65〜69歳の状況が大きく異なることが分かる。60〜64歳の失業率は全年齢平均と比べて著しく高いが、65〜69歳では全年齢平均とそれほど違わない水準となっている(第3−2−7図)。しかし通常の失業率に、就業したいが求職活動はしていない人12を加えた潜在的な失業率で見ると、65〜69歳の水準も全年齢平均を大きく上回る。

第3-2-7図 60代の潜在的な失業率は高い

第3-2-7図 60代の潜在的な失業率は高い
 
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ここでは、総務省「労働力調査」で定義される就業希望者(非労働力人口のうち就業を希望しているものの、求職活動を行っていない者)のうち、「適当な仕事がありそうにない」との理由で求職活動を行っていない者を指すこととする。

こうした背景には何があるのだろうか。求職中の高齢者に仕事に就けなかった理由を尋ねたところ、男性では年齢層が上がるにつれ、「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」と回答する割合が増加している(第3−2−8図)。特に、60〜64歳の49.6%、65〜69歳の61.9%が再就職できなかった理由として「年齢があわない」を挙げており、採用・募集時の年齢制限が高齢者の就業機会を狭めていることがうかがえる13

第3-2-8図 中高年では「年齢」が再就職の壁になっている

第3-2-8図 中高年では「年齢」が再就職の壁になっている
 
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高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)の改正により、2004年12月1日から、事業主は募集・採用時にやむを得ない理由により65歳未満の年齢制限を行う場合には、求職者に対しその理由を示さなければならないこととなった。なお、「やむを得ない理由」とは、雇用対策法(昭和41年法律第132号)第12条に基づいて策定された「労働者の募集および採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針」(平成13年厚生労働省告示第295号)において、年齢制限を設けることが認められている10のケース(例えば、新規学卒者などを募集・採用する場合、技能・ノウハウなどの継承の観点から労働者の年齢構成を維持・回復させる場合など)を言う。

 

また、就業を希望していても求職活動を行っていない男性にその理由を聞いてみると、60〜64歳では、「探したが見つからなかった」が16.1%、「希望する仕事がありそうにない」が15.8%で、合わせて3割以上が就職環境の厳しさから求職活動をあきらめている(第3−2−9図)。65〜69歳においても、やはり3割程度が同様の理由で求職活動をあきらめている。

高齢者の失業率は大きく景気動向に左右され、特に最近は経済状況の改善に伴い、いわゆるバブル経済期に匹敵する低さを記録している。しかしながら、前述したように、職には就きたいが求職活動をあきらめてしまった人まで含めると高齢者の失業率は決して低いとは言えないこと、また景気が悪化した場合には真っ先に高齢者に対する求人が減ってしまうであろうことを考慮すると、現状では高齢者の働く意欲が高いにもかかわらず、それに応じた就業機会が十分に供給されているとは言い難い。

第3-2-9図 60代男性の約3割が求職活動をあきらめている

第3-2-9図 60代男性の約3割が求職活動をあきらめている
 
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