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本文 > 第3章 高齢者の人生の再設計 > 第1節 変わる高齢者像

(3)高齢者の消費態度の変化

●高齢者の消費意欲はこれまでの世代に比べて底堅い

高齢者の消費意欲も変化しつつある。一般に、60歳を過ぎると消費水準は低下する(第3−1−11図)。しかし、その低下の程度を過去と比べて見ると、89年時点に比べ99年、2004年の若い世代の方が低下の度合いが緩やかになっている(第3−1−12図)。そこで、年齢が上がるにつれてどれだけ消費水準が変化するかを統計的に調べてみると、89年時点の高齢者と比べて、94年時点、99年時点、2004年時点それぞれにおける「低下の度合い」はだんだん小さくなっている(付注3−1−2)。つまり最近の世代ほど、年齢を重ねても消費意欲が衰えなくなっている。

第3-1-11図 60代以降は、それまでに比べ消費支出は減少する

第3-1-11図 60代以降は、それまでに比べ消費支出は減少する

第3-1-12図 最近の高齢者の消費意欲は年齢を重ねても底堅い傾向

第3-1-12図 最近の高齢者の消費意欲は年齢を重ねても底堅い傾向

●現在の50代は将来の教養娯楽支出に積極的

また、現在の50代に、各費目の消費水準が60代になったときにどう変わると思うかと尋ねたところ、食費や服飾費についてはほとんどの人が「変わらない」か「多少減る」と答えたのに対し、旅行、趣味・習い事、健康・スポーツについては4割前後が「大幅に増える」か「多少増える」と答え、「大幅に減る」、「多少減る」とした2割を大きく上回っている(第3−1−13図)。このように、現在の50代は、今後の生活において教養・娯楽的な支出を積極的に行っていく意欲が高い。

このような高齢者の旺盛な消費意欲が、高齢者の就業率を高止まりさせている可能性がある。次節では、こうした観点も含め、我が国の高齢者の就業をめぐる環境を考察する。

第3-1-13図 現在の50代は将来の教養娯楽支出に積極的

第3-1-13図 現在の50代は将来の教養娯楽支出に積極的
 

コラム 高齢者の収入と資産

本文で高齢者の消費意欲が過去の世代と比べて高まっていることを述べたが、ここでは高齢者の収入や資産について見てみよう。月間実収入の内訳を見ると、世帯主60〜64歳では勤め先収入の割合が57.3%となっているが、65〜69歳では25.1%となる一方、公的年金の割合が21.8%から43.8%に上昇する(コラム図)。70歳以上では勤め先収入の割合は11.4%まで下がり、収入の58.1%を公的年金が占めるようになる。

支出が収入を上回る分は「赤字」として貯蓄を取り崩すことになるが、この割合は60代前半では11.6%だが、60代後半には23.6%と倍増する。ただし、70歳以上になっても22.9%と、それ以降は大きく変わらない。これを額で見ると60代後半で74,321円、年額に換算すると約90万円となる。世帯主年齢が60代の世帯の平均金融資産残高は1,884万円(2004年)9であるので、60代後半の貯蓄の取り崩し方で約21年分ということになる。貯蓄には不測の事態に備えるという側面があることを含めて考えても、現在の高齢者はまずまずの備えをしていると言えるだろう。

コラム図 60代後半より公的年金と貯蓄の取り崩しの割合が増える

図 60代後半より公的年金と貯蓄の取り崩しの割合が増える

なお、60歳以上の高齢者に「老後の生活のために60歳時点で一人当たりどれだけの貯蓄が必要だと思うか」を尋ねたところ、「500万円程度」および「1,000万円程度」と答えた割合が合わせて31.0%であったが、「1,500万円程度」および「2,000万円程度」も18.2%、「2,500万円程度」および「3,000万円程度」も16.6%あった10。概して貯蓄は「多ければ多いほど安心」という意識を映し出している。

 
9

総務省「全国消費実態調査」(2004年)による。貯蓄現在高から負債現在高を除いた金額。

10

内閣府「老後の生活に関する意識調査」(2006年)による。

 
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