なぜ離職期間が長いと正社員としての就職が困難となるのであろうか。その背景には、離職中の職業能力の低下があると考えられる。離職期間中の職業能力の変化を直接計測することは困難であるので、ここでは能力を表すものとしてしばしば便宜的に利用される賃金を用い、転職前後の賃金を比較することで、離職期間における能力の低下について検討してみよう。
まず、転職経験のある女性について賃金がどう変化したかを調べてみると、増加した割合が35.7%、変わらなかった割合が26.4%、減少した割合が37.9%となっている24。さらに、どのような場合に賃金が増加したかを分析すると、年齢が若い、あるいは学歴が高いほど賃金が増加する傾向にあるとともに、離職期間が長くなると賃金が減少することが分かった(第2−3−12表、付注2−3−2)。このように、離職期間が長くなると、能力が低下しやすく、賃金が減少する傾向があると考えられる。
第2-3-12表 離職期間が長くなるほど転職後の賃金は低下する
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離職した女性に対して、離職中に職業能力が低下したと思うか尋ねたところ、離職が1年未満であれば、それほど能力の低下を実感していないのに対して、離職期間が2年を過ぎると、どの能力についても低下を感じる割合が高くなった(第2−3−13図)。
特に、専門技術・知識については離職期間が1年未満であっても能力低下を感じている割合が高い。また企画提案・プレゼンテーション能力、マネージメント能力、外国語能力、パソコン能力についても、2年以上離職すると多くの人々が能力の低下を実感するようになる。他方、顧客対応能力やコミュニケーション能力については、能力低下を実感する人は相対的に少ない。
第2-3-13図 離職した女性は専門技術や知識の急速な低下を実感
次に、離職期間がある就業希望者に対する採用側の評価を見ていこう。企業に対して、中途採用の際に前職からの離職期間をどのように評価するか尋ねたところ、「離職期間の長さによってはマイナスに評価する」と回答する割合が47.6%と半数近くを占め、「離職期間は評価に関係ない」と回答する割合である49.3%とほぼ同数となった(第2−3−14図)。そしてさらに、離職期間をマイナスと評価し得る企業に、どの程度の期間離職していたらマイナスになるか尋ねたところ、6ヶ月未満が21.5%、6ヶ月以上1年未満が34.9%と1年未満が半数を超えるなど、短期間の離職期間でもマイナス評価を下すことが明らかになった(第2−3−15図)。また1年以上2年未満との回答も31.7%を占め、合わせると9割近くの企業がブランクの許容範囲を2年未満と認識している。
ただし、この問では単に「正社員への応募者として中途採用者を評価する場合に、前職からの離職後の経過期間をどのように評価するか」と尋ねており、結婚や出産・育児により離職期間が生じている女性についての評価を聞いているわけではない25。しかしその点を勘案したとしても、離職期間に対する企業の厳しい認識は、女性の再就職にとって壁となる可能性が高い。
第2-3-14図 半数近くの企業が離職期間が長いとマイナスに評価する
第2-3-15図 半数以上の企業が1年未満の離職期間でマイナス評価
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