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第3節
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女性の再就職を妨げる壁
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第3節では、女性が出産・育児のために離職した後、再就職しようとするときに直面する壁について検討する。育児期の女性の多くはパート・アルバイトとしての再就職を望んでいるが、後で見るように「育児等の負担が少なければ正社員を希望した」とする人も多い。このように「壁」の高さという観点からは、むしろ正社員としての再就職の方が課題が多いことから、以下ではこの点を中心に検討する。
結婚や出産にかかわらず就業を継続したいと望む女性がいる一方で、むしろいったん退職して出産や育児に専念し、その後に再就職をしたいという人々も多い。女性の希望するライフコースを時系列で見ると、再就職コースを希望する割合は1987年の34%から2002年の39%と増加している(前掲第2−1−1図)。結婚や育児を機に退職した後、現在再就職を希望する女性にその理由を尋ねたところ、45.3%が「収入を得る必要が生じたから」と回答し、「知識や技能を生かしたいから」、「社会に出たいから」といった理由を上回っている。このように、再就職希望が強まる背景には経済的要因があることがうかがわれる(第2−3−1図)。
第2-3-1図 再就職を希望する背景には経済的理由
また、妻に働いて欲しいと考える夫も増えている。男性に、女性が働くことに対してどのように考えるかを尋ねたところ、「子どもができてもずっと職業を続けるほうがよい」または「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職を持つほうがよい」と回答した者の割合が、92年には59.8%であったが、2004年には71.0%にまで増えている20。
また20〜49歳の既婚男性に夫婦の望ましい働き方について尋ねたところ、約半数が共働きを望ましいと回答した(第2−3−2図)。その理由を尋ねてみると、「金銭的にゆとりのある生活をしたいから」と答えた人が44.7%と半数近くを占めた。また「夫婦のいずれかの失業や病気など不測の事態に対応できるから」との回答も約20%と高く、近年の雇用不安などを背景に、家計全体の危機管理との観点から妻の就業を希望する男性も少なからず存在する。
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子どもを持つ女性の再就職に関する特徴として、実際に求職活動をしている人は少ないものの、求職活動をするには至らないが再就職希望を持っている人が非常に多いことが挙げられる。
子どもを持ち求職活動をしている女性は、末子の年齢にかかわらず6〜10%程度であるが、これらの女性は再就職に向けて目に見える形で挑戦中の人々と言える(第2−3−3図)。この数字だけでは女性の再チャレンジ意欲はそれほど高くないようにも見えるが、このほかに、就業を希望しているが求職していない、いわば潜在的挑戦者とも言える女性が存在する。このような女性の比率を末子年齢別に見ると、3歳未満では30.0%、また3〜5歳では21.9%となっており、実際に求職活動をしている人々の2〜4倍に達している。就業を希望しながら求職していない理由については、「家事・育児や通学などのため仕事が続けられそうにない」と回答した女性が末子年齢3歳未満の既婚者で75.6%、末子年齢3〜5歳の既婚者で60.8%と高い比率となっている。小さな子どもを持つ女性の多くが、再就職はしたいものの家事・育児負担から続けられそうにないとの見込みから、求職活動自体をあきらめてしまっていることが分かる(第2−3−4図)。
第2-3-3図 子どもが小さいほど潜在的に再就職を希望する人が多い
第2-3-4図 末子年齢が低いほど家事・育児などのために求職活動ができない
女性の年齢層別労働力率は25〜29歳をピークに下落し始め、30〜34歳で底を打った後、45〜49歳でほぼ同じ水準にまで回復する。つまり結婚や出産により退職した女性の多くは再就職を果たしていることとなり、出産・育児後の女性の再チャレンジは長期的にはおおむね成功しているようにも見える。しかしながら再チャレンジの成否は、[1]希望する時期に再就職しているか、[2]希望する職種で再就職しているかを勘案する必要がある。
まず、希望した時期に再就職しているかどうかを見よう。育児のために離職した女性がどれくらいの離職期間の後に再就職しているかを見ると、1年未満で再就職する割合は13.3%、1〜4年未満での再就職が34.4%と、ほぼ半数が4年以内に再就職している(第2−3−5図)。残りの半数は4年以上の離職期間の後に再就職することになるが、7〜10年未満が15.0%、10〜15年未満が12.8%と、長期間離職する女性も少なくない。先に述べたように、離職期間が長くなっているのは、育児期の女性の場合、再就職する希望はあっても実際の求職活動に至らないケースが多いことがある。つまり、希望する時期に再就職できず、離職期間が意に反して長くなっている女性が多いものと推察される。
第2-3-5図 4年以内に再就職する者が全体の約半数を占める
●重い育児負担のためパート・アルバイトを希望せざるを得ない女性も多い
では、育児期の女性は希望する就業形態で再就職できているのだろうか。M字カーブ(年齢層別労働力率)の内訳を就業形態別に示してみると、左右の山の高さはおおむね同じであるが、その内容が違うことが分かる(第2−3−6図)。正社員は25〜29歳時点で女性人口の41.8%を占め、M字の左側のピークの形成に寄与しているが、その後30代後半にかけ25%程度まで低下し、50代までほぼ横ばいとなる。一方でパート・アルバイトは30代前半まで25%程度で大差ないが、40代にかけて35%前後まで増加し、M字の右側のピークを形作っている。30〜44歳の女性入職者に占めるパート・アルバイトの割合も60.9%となっており21、育児後の女性の多くはパート・アルバイトとして再就職していることが分かる。
このような再就職における就業形態は、女性自身が望んだものだろうか。再就職を希望する無業の女性に、希望する就業形態を尋ねると、約8割がパート・アルバイトを希望している22ことから、そうした育児後の女性のパート・アルバイト志向が反映されていると考えることはできる。
パート・アルバイトとして働く女性に、パート・アルバイトを希望した理由を尋ねたところ、「希望に合う勤務先がなくやむを得ず」という消極的な回答をした割合は26.8%にとどまっている(第2−3−7図)。しかし、それ以外の「自ら希望してパート・アルバイトとなった」人々の中に、「育児等の負担が少なければ正社員を希望した」とする人々も26.0%存在している点にも留意する必要がある。このような潜在的な正社員断念組を合わせると、パート・アルバイトとして再就職した女性の半分程度は、意に反してパート・アルバイトとして働いているとみなすことができる。このように単に「パート・アルバイトとしての就業を希望するか」と尋ねても、子どもの有無を前提とするのか、配偶者の現在の働き方を前提とするのかなどによって回答は異なり得ることに注意が必要である。
以上のように、育児後の女性の再就職についても、必ずしも希望が実現しない「壁」が存在する。そうした壁の背景について、以下で詳しく検討する。
第2-3-6図 女性の労働力率が盛り返すのはパート・アルバイトの増加による
第2-3-7図 パート・アルバイトに就いた人の中にも潜在的な正社員ニーズは存在する
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