それではパート・アルバイト経験は能力構築に全く役立たないのであろうか。企業に対して「学校卒業後に正社員としての就業経験のない者」を評価するに当たって、卒業後の経過期間をどのように評価するかを尋ねたところ、7割近くの企業が「本人がどのような行動をしていたかによりマイナス評価にもプラス評価にもなる」としている(第1−2−17図)。さらにその半数以上は「同じパート・アルバイトを継続し、その仕事に関して一定の能力を身に付けていた」ならばマイナス評価はしないと回答している(第1−2−18図)。
また、企業に対して「学校卒業後に正社員としての就業経験のない者」を採用する場合に重視する能力について尋ねたところ、「上司・同僚などとのコミュニケーション能力」が最も高く61.8%の企業が重視するとしており、次いで「ワープロ・表計算などのパソコン操作能力」49.7%、「専門的な技術・知識」35.6%、「接客など顧客対応能力」33.1%と続いている(第1−2−19図)。これらの中では、コミュニケーション能力などの基礎的職業能力はパート・アルバイトでも身に付けることが比較的容易なものと言える。企業ではなく若年者自身の評価になるが、パート・アルバイト経験を通じてコミュニケーション能力、接客能力が向上したと感じているのはそれぞれ72.5%、68.8%であり、正社員を経験した者に対して遜色ない(第1−2−20図)。したがって、パート・アルバイトでも、一定の顧客対応能力やコミュニケーション能力などの基礎的能力を身に付けることは、それほど困難ではないと考えられる。
第1-2-17図 既卒者の評価は卒業後の過ごし方次第
第1-2-18図 パート・アルバイトを継続し、その仕事に関して一定の能力を身に付けていれば、その経験はマイナスに評価されない
第1-2-19図 コミュニケーション能力が重視される若年既卒者採用
第1-2-20図 パート・アルバイトでも基礎的能力は磨かれる
このように、パート・アルバイトではいわゆる専門性の高い能力を習得することは困難ではあるものの、一つの職場である程度粘り強く働くことによって基本的なコミュニケーション能力やビジネス・マナーを身に付けることは可能であり、そうした経験や能力は企業からも評価され得るものである。
先に、パート・アルバイトが専門的能力を身に付けることは困難な面が多い点について述べた。しかしながら、パート・アルバイトでも専門性を含む多様な能力を身に付けることが可能な場合もある。また中途採用の場合に必ず高度な専門能力が必要なわけでもない。実際の採用の現場は多種多様であり、求められる能力の水準も異なる。パート・アルバイトの経験しかなくとも、コミュニケーション能力や基本的なマナーなどの能力を積極的にアピールし、そうして就いた職で更に専門的能力の涵養に努めるといった段階的な適職探しも考えられるのではないだろうか。
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