新卒後3年以内に会社を辞めた若年者の割合を見ると、大卒では87年3月卒では28.4%であったものが、2002年3月卒では34.7%、また高卒では同じく46.2%から48.6%に高まっている(第1−1−7図)。このような新卒者の早期離職率の高まりの背景として、景気低迷時に卒業したため思うような就職ができなかった若年者が、希望どおりの仕事に就くため離職するという景気循環に基づく要因4も考えられる。
上の考え方に立てば、新卒時の景気が厳しいほどその世代の転職率や転職希望率が高まると考えられる。このことは、90年代以降景気の低迷が長期間続く中で、若年者の転職希望が高まったことと整合的である。
大学の新規学卒者の就業後3年目の離職率に、何が影響を与えているかを分析したところ、新卒時の求人倍率が低いほど卒業後3年目の離職率が高まることが分かった(付注1−1−1)。また、離職率が傾向的に高まっていることも確認された。さらに、同じ分析を卒業後1年目および2年目の離職者について行っても同様の結果が得られた。このことから、景気が低迷し、希望どおりに就職できなかった大学卒業者が増加した結果、離職率が高まっていることが示唆される。なお、近年は景気回復にともない、離職率は低下している。
また、卒業後3年目離職率の前年からの変化を要因分解したところ、94〜98年、2001〜2002年において、卒業時の求人倍率の影響が離職率を高めていることが分かる(第1−1−8図)。以上を総括すれば、90年代後半以降の離職率の高まりは、景気悪化による不本意就職が増加したことが背景の一つであると考えられる。
第1-1-7図 新卒者が3年以内に離職する割合は高まっている
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何らかの夢をかなえるため、あるいは好きなことに時間を使うため、時間的な拘束が比較的緩いパート・アルバイトを選択する若年者もいる。しかしこの中には、将来的には正社員として働き始めたいと考えている者もいれば、パート・アルバイトとして働き続けたいと思っていたが、結婚を考えたりするなどの理由で、正社員としての職を探す者もいると考えられる。このように、新卒時に自ら希望してパート・アルバイトとなる若年者は、新卒時の景気が良くなったとしても一定の割合で存在すると考えられる。
パート・アルバイトとして働いている20代に、「10年後に希望する就業形態は何か」と尋ねたところ、10年後は正社員となりたいとの回答は男性で85.0%であり、男性パート・アルバイトの8割以上が将来的には正社員として働きたいと考えている(第1−1−9図)。
第1-1-9図 今はパート・アルバイトでも将来は正社員になりたいと考える人は多い
新卒時に希望した就職をしても、仕事が想像以上に厳しく転職を希望するに至る場合がある。実際、転職を希望する若年者で、その理由として「時間的・肉体的に負担が大きいから」を挙げている者は、2002年に69万6千人いる。また、「失業者」で、前職を労働条件が悪かったため離職した者は2002年で19万5千人である。これらの者は、厳しい労働環境に耐えかねた結果新たに適職を探し始めた若年者と考えることができ、適職を探す若年者の15.1%に相当する。また87年と比べると17万3千人増加している(24.0%増)。
このような若年者が増加している背景には、長時間労働があると考えられる。若年者の92年と2002年における労働時間を比較すると、男女とも1週間の勤務時間が42時間以下の者の割合が高まっている一方で、60時間以上の者の割合が大きく高まるなど、二極化の傾向が見て取れる(第1−1−10図)。
また、労働時間が長くなると、「時間的・肉体的に負担が大きいから」との理由で転職を希望する人の割合が高まり、特に男性の場合は60時間を境に急速に高まる傾向がある。具体的な割合を正社員について見ると、男性の場合、1週間の労働時間が60時間を超える者のおおむね10%、女性では13.1%が該当する。この数値は2002年のものであるが、92年からの10年間でもそれほど大きくは変化していない(第1−1−11図)。
「労働条件が悪かったため前職を離職した」と回答した「失業者」が、実際にどのような労働時間で働いていたかは統計上得られないが、長時間労働を理由に転職を希望し、一時的に職を離れた者も含まれるものと推測される。
以上を勘案すると、近年の労働時間の二極化も、適職探しを始める若年者の増加の一因であると考えられる。
第1-1-11図 労働時間が長い若年者ほど時間的・肉体的負担を理由として転職を希望するようになる
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