(2)フランス (PACS法が後押しする多様な関係) フランスにおいては、婚姻率がわずかに上がりつつあるものの依然として我が国よりも低い一方で、出生率は回復傾向にある(第1−補2−3図)。80年代頃からは、嫡出でない子の割合が急激に増加しており、婚姻関係外で子どもを産む行動が一般化している(第1−補2−4図)。99年に成立した「連帯市民協約(PACS)法」は、そうした状況を後押しするものであり、長く一緒に暮らしてパートナー関係を築き上げてきた人たちに、配偶関係と同様の社会的権利を認める法律である。2001年時点で7万5千人が、この「契約」(PACS)をパートナーと締結した6。 PACSを結んだ二人は共同納税者となり、お互いに経済的に助け合うことが義務となる。また、二人が賃貸住宅に住んでいる場合、パートナーの死亡や失踪などで名義人を失ったとしても、賃貸期間中であれば居住できる。税は、一つの世帯として徴収されるため、個人で別々に納税するよりも軽減される。加えて、PACS締結後2年たてば、条件付きで法律婚夫婦と同じように贈与税や相続税の軽減措置も受けられる。PACSを結んだ二人は、結婚と同棲の間、言わば「契約を交わした同棲」(法律上は互いに独身であるが、パートナーとしては認められている)状態にあると言える。 ただし、PACSは、結婚についての契約であり、親子、家族についての権利関係に変更を加えるものではないため、PACSを結んでいる異性カップルに子どもが産まれた場合には、法律婚夫婦の場合には不要な父親による「認知」の手続きをとらなくてはならない。 6 ただし、カップルのうちでPACSを結んでいるカップルの占める割合は低い。内閣府経済社会研究所編「フランスとドイツの家庭生活調査」(2005年)によると、パリの35〜44歳の異性カップルのうちPACSを結んでいるカップルは2.7%にすぎず、法律婚(66.3%)はもちろん、同棲(31.0%)に比べても非常に少ないことが分かる。