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第3章 子育てにかかる費用と時間
第1節 子育てにかかる費用
一人の子どもにかける費用はおよそ1,300万円

以上見てきたように、子どものいる世帯の消費支出は、教育費、交通・通信費、その他の消費支出(こづかいなど)等が多い18〜21歳の子どものいる世帯において最も多く、次いで15〜17歳の子どものいる世帯となっている(前掲第3−1−11図)。

それでは、0歳から21歳まで、子どもを一人育てるのにどのくらいの費用がかかるのだろうか。こうした費用を推計するには様々な方法が考えられるが、ここでは、子育てにかかるすべての費用を積み上げるのではなく、子育てしない状態に比べて追加的な費用がどのくらいかかるかを子育ての費用と考える。その上で、子育て費用を付注3−1−1に掲げたように「基本的経費」「教育費」及び「住宅関係費」に分け、先に見た各年齢層の子どもを一人持つ世帯の支出額から世帯主が同世代であって子どものいない世帯の支出額を差し引いて、0歳から21歳までの22年間分を足し上げ、それを「一人の子どもを育てる」費用として推計する8

以上の考え方に基づき推計すると、一人の子どもを育てる費用は1,302万円となった。その内訳を見ると、基本的経費は722万円、教育費は528万円、住宅関係費は53万円となっている(第3−1−12図)。

 

第3−1−12図 一人の子どもを育てる費用は1,302万円

基本的経費についてその内訳を見ると、食料費(310万円)が突出して高く、次いで、光熱・水道費(85万円)、その他の消費支出(80万円)、被服及び履物費(75万円)と続いている。

教育費については次節で詳述する。

住宅関係費は比較的小さな額となっているが、これは住居費と住宅ローン返済額(土地家屋借金返済額)が相殺する形になっているためである。住居費の中で大きな割合を占める家賃地代は主として借家に住む世帯が支出し、住宅ローン返済額は主として持家に住む世帯が支出するが、子どものいる世帯は持家率が高いため、住宅ローン返済額では子どものいない世帯を上回り、家賃地代では下回るため、全体ではわずかの追加的支出にとどまっている。

この「一人の子どもを育てる費用」の過去5年間の動きを見ると、ほぼ横ばいとなっている(第3−1−13図)。5年前からの内訳の変化を見ると住宅ローン返済額が大きく増加しているほか、交通・通信費も増えている。子どものいない世帯に比べて持家率の高い子どものいる世帯が、ここ5年の間で住宅ローンの返済額を増やしていると同時に、携帯電話やパソコン等の情報通信機器などが子どもの生活に浸透してきていることなどがうかがわれる。

 

第3−1−13図 一人の子どもを育てる費用はほぼ横ばい

なお、上記の一人の子どもを育てる費用は、子どものいない世帯と比べて、支出額が増加した費目を積算したものであり、節約などにより支出額が減少した費目については考慮していない。これらも含めた、子どもを一人持つ世帯の消費支出総額から同世代の世帯主の子どものいない世帯の消費支出総額を単純に差し引いたものを見たところ、366万円とかなり少なくなっている。子育てにはある程度の費用はかかるものの、各世帯は様々な形でやりくりして、そうした費用を捻出しているものと考えられる。


8 ここでの推計はコーホート的な積み上げではなく、一時点における各成長段階での子育て費用を合計している。例えば、現在22歳の若者にかけられた費用を算出するのに、前者では83年の0歳児にかかる費用、84年の1歳児にかかる費用と足し合わせていくのに対し、後者では2005年の0歳児にかかる費用、1歳児にかかる費用、と単一時点のデータのみを用いる。前者の方が現実に即しているが、後者は、「現在の」子育て費用を端的に示すことができ、割引率等も捨象できることから、ここでは、後者を採用する。


 

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