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第1章 結婚・出生行動の変化
補論1 結婚行動における新しい流れ

事実婚の背後には結婚制度に対する価値観の多様化がある

一方、法律に基づく婚姻届は出さず、事実上の結婚生活を送ることを選択している人たちも多くなっていると言われている。こうした「結婚」は「事実婚」と呼ばれ、社会的な認知が進むにつれて一部の法律においては法律婚とほぼ同じ権利・義務がおかれるようになってきている。

なぜこうした事実婚を選択するカップルが増えているのだろうか。事実婚カップルに対する調査において「婚姻届を出さないでカップルで生活するようになった理由」を尋ねたところ、女性では「夫婦別姓を通すため」を回答した人の割合が最も多く、「戸籍制度に反対」、「性関係はプライベートなことなので、国に届ける必要を感じない」、「夫は仕事、妻は家事という性別役割分担から解放されやすい」が続く(第1−補1−9図)。男性においても女性と同様の傾向が見られるが、特徴的なのは「相手の非婚の生き方の尊重」を回答した割合が高い点である。事実婚カップルにおいては、現状の結婚や戸籍制度などの社会制度についての価値観の多様化を反映して事実婚を選択しているとともに、男性にはむしろパートナーである女性の意志に配慮して事実婚を選択している場合もあることが分かる。また、同じ調査によると、家庭内での生活費については、男女同じくらいに負担すると回答している割合が最も高いことから、事実婚の女性には経済力があることが特徴であるとも分析されている。

 

第1−補1−9図 事実婚を選択する理由には結婚制度への違和感が見られる

こうした事実婚を選択している特に女性たちの意識の変化は、従来の世帯単位から個人単位を重視する社会の流れへも反映されており、我が国においても次第に事実婚を婚姻に準ずるものとする考え方が採り入れられ始めている。


 

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