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本編 > 第1章 > 民間の力でまちの魅力を高めよう(まちづくり役場など)

民間の力でまちの魅力を高めよう
NPO法人 まちづくり役場など

 滋賀県長浜市では、市街地を活性化させた第三セクター「黒壁」の成功をきっかけに、地域の様々な団体が連携してまちづくりに取り組んでいる

NPO法人、株式会社などが役割分担してまちづくりに取り組んでいる。
NPO法人は、地域の店の情報を提供するなどの事業を通じまちの「品質保証」を目指している。
不動産業を営む企業は、街並みを守るような形での空き店舗の活用に協力している。
高齢者が自ら出資し、地域に根ざした店舗を独立採算で経営している。

1. 活動開始の背景と経緯
第三セクター黒壁の成功がきっかけ
 1980年代大型スーパーの進出などで市街地の活力が低下していた滋賀県長浜市で、市街地の象徴的存在だった旧百三十銀行の建物(黒壁)が取り壊されそうになったことをきっかけに、88年長浜市と地元民間企業の出資で第三セクターのまちづくり会社(株)黒壁が設立された。(株)黒壁はガラス工芸を観光資源として売り出し大成功を収め、長浜市には黒壁を中心に毎年200万人の観光客が訪れるようになった。現在では、黒壁直営店(10店)、共同経営(2店)、テナント(3店)を含む29店舗で黒壁グループ協議会を組織している。
 当初1店舗でスタートした(株)黒壁が店舗数を増やすにつれ、町全体が黒壁で席巻されるのは良くないという声が出たり、第三セクターでは迅速に土地や建物の購入の決断などが出来なかったことから、96年一口500万円の出資金を16名の出資者から得て(株)新長浜計画が設立された。
 99年(株)黒壁はガラス工芸事業に専念することとし、まちづくりの部門として「まちづくり役場」が設立され、2003年11月にNPO法人格を取得した。

「シルバー・コンパニオン」から高齢者による店舗経営 −プラチナプラザの設立−
 96年長浜市で「北近江秀吉博覧会」が開催された際、約120名の熟年者(55歳以上、平均67.5歳)が「シルバー・コンパニオン」に起用された。
 博覧会終了後商店街内の空き店舗を利用して、熟年者が資本金5万円を出資して自主運営する店舗「プラチナプラザ」構想を立ち上げ、「シルバー・コンパニオン」に参加した熟年者に参加を呼びかけたところ、約40人が参加した。

2. 活動の内容
まちづくりの企画・運営 −まちづくり役場−
 長浜市のまちづくりでは、これまで(株)黒壁を初め10社以上の法人・団体が設立されたが、現在まちづくりの中心となっているのはNPO法人「まちづくり役場」である。

○情報発信 ・まちの品質保証
 1999年よりまち全体についてのまち歩きMAPを制作。制作に当たっては、地域の店の情報を提供することで、まちの「品質保証」を目指している。
○人材育成、研修、視察の受け入れ
 長浜のまちづくりの視察団体の受け入れ、案内を行っている。これまで全国から約2,000団体が視察に来た。
また、まちづくり学習会の事務局、全国地方公共団体職員の研修の受け入れを行っている。
○黒壁グループ協議会事務局
 黒壁グループ協議会の事務局として「黒壁スクエア散策マップ」を作成したり、パスポート事業を運営している。
○感響フリーマーケットガーデンの運営
 毎週土日祝日に開催される環境・健康・リサイクル・ガーデニングを考える提案型のフリーマーケットを99年5月にオープンした。

遊休不動産の活用 −(株)新長浜計画−
 街並みを守るため、空き店舗を買い上げまたは借り上げて、店舗を改修しテナントを入れたりする事業、駐車場の運営のほか、プラチナプラザの事務局機能を代行している。

高齢者が地域に根ざした店舗づくり −プラチナプラザ−
 「おかず工房」(手作りの総菜屋)、「野菜工房」(40軒の農家と契約した八百屋)、「リサイクル工房」(リサイクル品を扱う)、「井戸端道場」(同世代・異世代の交流の場の喫茶店)の4つの店舗がある。「野菜工房」では地元の野菜を扱い、「おかず工房」はおふくろの味を提供するなど、地元に貢献でき、地域性のあるものを作っている。

プラチナプラザの店舗
プラチナプラザの店舗


地域の芸術作家の名を広める −ギャラリーシティながはま楽座−
 長浜の市街地で絵画、陶芸、木工など幅広い分野の芸術作品を展示するイベントであるアートインナガハマが開催されている。参加した作家の作品は、市内の「ギャラリーシティながはま楽座」加盟店のウィンドーや店舗に展示し、鑑賞・販売している。
 NPO法人ギャラリーシティ楽座(2002年設立)がアートインナガハマの事務局を受託し、92年に市民の出資で開店した「ギャラリー楽座」で展示・販売をしながら事務局を運営している。

3. 運営の状況
「まちづくり役場」は、地方公共団体からの研修生を受け入れている
 「まちづくり役場」の事務局は、事務局長と事務局員(2名)のほか、全国の地方公共団体から研修員を受け入れている。補助金などに頼らない自主運営がモットーである。

参加者による出資と独立採算性
 「プラチナプラザ」では活動開始時に参加者本人から「運営会員」として5万円の出資を得て、自立意識を持つように求めた。また、税理士や個人資格の行政関係者などプラチナプラザを応援する「経営会員」から個人1万円×50名、企業から一口10万円の出資を得た。立ち上げ時には、県と市から空き店舗補助を受けたが、それ以降は受けていない。
 会員の意見を聞き、各工房が独立採算で利益分配を行うこととしており、売上から総経費を引いた額を、全員の勤務時間の合計で割って時給(450円から上限650円程度)を出している。余剰金は店舗運営資金としてプールしている。

4. 成 果
民間の力を活かしたまちづくり
 NPO法人「まちづくり役場」は(株)黒壁や商店街など地域の関係者をつなぐ役割を担うことにより円滑な連携を可能にしている。また、まちづくりに求められる不動産関連事業を株式会社「新長浜計画」が担うことで、不動産取引を迅速に行えるようになった。
 「プラチナプラザ」では会員に出資を求めて経営者意識を持ってもらうように努めた結果、現在では会員自らが採算性や営業に関する意識を持ち、工夫をするようになってきている。
 「アートインナガハマ」にかかわる一連の活動をきっかけとして、店の改築の際に絵を描いてもらうようになったなど、芸術が地域の住民の生活に溶け込みつつある。


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