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本編 > 第1章 > 地域のニーズはビジネスチャンス、新しい働き方の実践(神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会)

地域のニーズはビジネスチャンス、新しい働き方の実践
神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会

 1980年代前半地域に暮らす人自身が生活者のために急増している必要な財やサービスを提供する事業を立ち上げようと、ワーカーズ・コレクティブ19が誕生した。地域にある身近な暮らしのニーズを事業化し、新しい働き方を提供する受け皿としてその数は増えている。

ワーカーズ・コレクティブでは、地域で暮らす人たちが生活者の視点で地域に必要な「もの」や「サービス」の生産を事業化している。
連合会では、個々のワーカーズ・コレクティブを立ち上げる支援をしたり事業計画の作成や定期的な監査の実施を勧めるなど、ワーカーズ・コレクティブ同士の定期的な話し合いの場を設けて意識の共有を図っている。

1. 活動開始の背景と経緯
自分たちの欲しいものを自分たちで生み出すワーカーズ・コレクティブ
 1970年代に消費者が生産者に対して自分たちが欲しい商品の生産を求める活動が活発になった。その流れを受けて、欲しいものを自分たちで生産するワーカーズ・コレクティブ第1号が82年に神奈川県で誕生した。家事介護サービス、弁当仕出し、パン製造、レストラン運営など暮らしのニーズに応える個々の活動が広まるにつれ、経営管理や人材育成、ワーカーズ・コレクティブの認知度の向上など、個々の活動だけでは解決できない課題が増加したことから、89年7月ワーカーズ・コレクティブの発展を促すための協同組織として、神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会(連合会)が形成された。

2. 活動の内容
多様な分野でのワーカーズ・コレクティブの活躍
 連合会傘下のワーカーズ・コレクティブは、2004年1月末日現在で210団体、会員は5,859名となっており、主な活動分野は以下のとおり。

在宅福祉部門(129団体):家事介護、食事(配食)、移動、デイサービス、保育、健康支援サービスなどの事業。NPO法人格を取得、または生協と連携して介護保険事業も実施。
食部門(10団体):食材にこだわった惣菜、仕出し、レストラン運営、パン製造販売などの事業。
ショップ部門(16団体):環境負荷の少ない品物の店、適正な価格の展示会事業20、海外支援のためのリサイクルショップなどの事業。
情報・文化部門(10団体):出版・印刷関連、料理・カルチャー教室などの事業。
委託・請負事業部門(45団体):地域の各生協及び民間企業との双務契約に基づく委託・請負などの事業。

 こうしたワーカーズ・コレクティブに対して、連合会は、立ち上げ時に必要な手続き、活動理念や経営技術などの指導をしたり、リーダーやスタッフの人材育成のための講座を開催したりするなど、個々のワーカーズ・コレクティブの力量を上げる支援をするほか、対外的にワーカーズ・コレクティブの認知度を高めるような活動を行っている。

図 神奈川ワーカーズ・コレクティブの分配金、事業高及び団体数推移
(基礎資料)

3. 運営の状況
地域の女性が担う非営利の市民事業
 ワーカーズ・コレクティブで活動する人々の約96%が女性で構成されており、その70%以上が40〜50代となっている。
 ワーカーズ・コレクティブは、各人が出資し経営に責任を持ち労働力を担う雇用・被雇用ではない働き方で、労働の対価として売上から経費を差し引いた残りを分配金として支払う。神奈川県の最低賃金をクリアすることを目標としている。
 連合会では、各会員がワーカーズ・コレクティブの理念を共有できるよう、月1回会議を開催し、各団体代表者が参加する話し合いの場を設けている。

地域の生活者だからできる小回りを利かせたきめ細やかなサービスの提供
 例えば在宅福祉部門では、多くの人が短時間ずつ活動することできめ細かいサービスを毎日、市場価格より安く提供する団体もある。地域の住民でもある担い手が主体的に楽しみながら活動することが、自身のやりがいや信頼されるサービスにつながっている。

健全経営と市民バンクから融資
 ワーカーズ・コレクティブの草創期には意欲が高い人は高額でも出資していたが、活動のすそ野が広まるにつれ出資金を集めるのが困難になってきた。信用力の低いワーカーズに対して銀行は融資を行わないため、神奈川県のNPOを対象にした「女性・市民信用組合(WCC)設立準備会21」から融資を受けるワーカーズ・コレクティブもある。
 現在は信用組合設立を目指して準備会が出資金を集め、貸金業登録をしているWCBが窓口となっている。

4. 成 果
地域のニーズを事業化する受皿、新しい働き方の提供
 ワーカーズ・コレクティブは、地域のニーズを事業化し、営利企業では難しいサービスを提供する受皿となっている。神奈川のワーカーズ・コレクティブの団体数、会員数、出資金、分配金(労働対価)、事業高の推移は右肩上がりとなるなど、活動は活発化している。


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