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本編 > 第1章 > 生涯現役 特技をいかして ITビジネス(シニアSOHO普及サロン・三鷹)

生涯現役 特技をいかして ITビジネス
NPO法人 シニアSOHO普及サロン・三鷹

 東京都三鷹市では退職したシニアが今までの経験を生かし、特技を寄せ合いながら、IT事業を中心とした様々な事業を地域で立ち上げ、実績をあげている。

会員にPCアドバイザー認定研修などを行い、シニアがIT技術をいかして有償の事業が請け負えるように支援している。
事業を受託するときは、会員から公募し、任命された専門能力のあるプロジェクト・マネージャーが事業管理を徹底している。


1. 活動開始の背景と経緯

スタートはパソコン教室から
 1999年1月大手電機メーカーを退職した技術者が、三鷹市の施設を借り草の根のクラブ「パソコン教室サロン会」を始めた。同年9月通産省(当時)の補助金事業(シニアベンチャー支援事業)を受託すると同時に、シニアを対象としたパソコン勉強会を行う任意団体としてシニアSOHO普及サロン・三鷹(シニアSOHO)が発足した。2000年にNPO法人格を取得した。

SOHOタウンづくりを推進する市も支援
 三鷹市ではSOHOタウンづくりを推進しており、コミュニティビジネスを担う市民活動・NPOも支援の対象としている。SOHOの集積を進めている支援施設(三鷹産業プラザほか5施設)への入居や市の広報誌などを通じてのPR、委託業務の情報提供を行うなど支援した。
 現在のシニアSOHOは、その他に三鷹市高齢者社会活動マッチング推進協議会、三鷹商工会、(社)日本テレワーク協会、NPO法人障害者在宅支援組織、NPO協働リーグなど、様々な団体と広範囲にわたって連携している。

PCアドバイザー研修
PCアドバイザー研修


2. 活動の内容
シニアにコミュニティビジネス起業の場を提供
 シニアSOHOが会員向けに独自にPCアドバイザー認定研修などを行い、技術だけでなく、顧客に満足してもらえる教え方まで体得させる。これにより、IT技術を持った高齢者の起業・自立を支援している。会員は誰でも事業を発案して、起業の研究・実施を行うことができる。

地域におけるITの普及に関するサービス
 三鷹市の第三セクターである「(株)まちづくり三鷹」主催の「パソコン初心者講座(2000年度に1,000名が受講、500名を訪問)」の講師を会員が行い、シニアSOHO内で一般市民向けに、パソコン講座、無料相談などを実施している。2000年度は国のIT講習のテキスト開発、講師を3,500名分受託。2001〜2002年度は、三鷹市の小中学校内のヘルプデスク、世田谷区、杉並区の市民活動のためのITステップアップ講習講師など、幅広い事業を行政や企業との協働で実施している。

元気な高齢者の就労支援・マッチング推進
 三鷹市がシニアSOHOに委託。元気な高齢者の「できること」「したいこと」とそれら高齢者に「してほしいこと」をインターネットのデータベースに登録してもらい18、シニアSOHOのマッチング担当者が双方に助言するなどして、きめ細かく組み合わせる。

ホームページ・ビデオなどのデジタルコンテンツ作成
 シニアSOHO会員から一般市民向けの事業で、利用者のニーズに応じて、デジタルビデオやWeb作成を行っている。一部大企業から、市民活動に関するコンテンツ作成を受託している。

事業型NPOへの経営支援
 中間支援組織である「NPO協働リーグ」が有償で、事業型NPO立上げに向けたマネジメント研究会などを実施し、シニアSOHOも含む加入団体がお互い対等な立場で情報提供を行う。

3. 運営の状況
退職者を中心とする会員の能力向上
 会員は現在340名(男性240名、女性100名)となっている。年齢層は50〜60代が中心で、8割が退職者などの無職である。人材育成・教育のため、PCアドバイザー認定研修を事業に携わる会員の必須研修としており、会員の中に認定アドバイザーは約200名いる。また、会員同士が体験を語り合えるような交流会を月に1回程度開催している。

専門能力を持つ者による事業管理の徹底
 シニアSOHOの職員は、事務、経理を担当する、非常勤有償の職員が7名と、無料職業紹介事業を担当している専門職の職員4名である。
 パソコン講師など報酬を得る仕事をした会員に対しては、情報をメンバー間で共有できるよう、報告を義務付けている。
 シニアSOHOで事業を受託する際には、理事会により会員の中から公募、専門能力のあるプロジェクト・マネージャーが任命される。プロジェクト・マネージャーは毎月開く会議で進捗状況を細かく報告、月次の資金繰り表も作成する。受注額のうち、人件費収入の15%をシニアSOHOが運営費として受け取り、残りの85%が会員の収入となる。

4. 成 果
シニアの力の活用と経済効果
 シニアSOHOの試算によれば、活動を通じた成果として、三鷹市だけで、これまで何もしていなかったシニアの中から120名の新規活動がシニアSOHOにおいて発生し、活動4年間の累計として5億円(IT講習など行政からの受注による創出事業1.5億円、会員の消費増3.5億円)の経済効果が試算されている。


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