本編 > 第1章 > 防犯に立ち上がった商店街(明大前商店街振興組合自警会)
明大前商店街振興組合自警会(明大前ピースメーカーズ)
交番の無い東京都世田谷区明大前駅前商店街では、商店主たちが自警団を結成。「民間交番」と地域の住民に言われるピースメーカーズボックスを作り、そこを拠点に犯罪発生件数を劇的に減少させる成果を上げ、地域の住民にも変化をもたらした。
〇地域の住民が自ら防犯パトロール活動を行い、大きな成果を上げている。
〇駅前に独自の活動拠点を設置して、道案内なども行っている。
〇地域の中であいさつが広まった。
明大前商店街のある世田谷区松原地区には交番が存在せず、以前より地域住民が交番の設置を要望していた。2000年頃、松原地区が北沢警察署管内でひったくりと空き巣のワースト1地域であるということが明らかとなり、また、地元の松原小学校の近くの通りで、痴漢が多発しているとの情報が児童の親たちより小学校に寄せられるようになった。
商店街振興組合は、交番を誘致しようと関係先に働きかけたが交番として適当な用地が確保できず実現しなかったため、自分たちの街は自分たちで守ろうとボランティアによる自警団の設置を考えた。
2001年9月に地元警察署署長及び町会長を相談役として迎え、明大前商店街振興組合自警会(愛称は明大前ピースメーカーズ)が結成され、翌月に隊員10名が商店街周辺地域のパトロール活動を開始した。
毎日登校時、下校時は週3回、通学路の交差点、踏切などで合計4〜6名が通学路の安全を図っているほか、下校時には住宅街のパトロールを行っている。
夜間パトロールは、月〜土曜の毎晩、2〜3名の2組で地域全体(12,000世帯)のパトロールを行っている。
2002年4月より、ピースメーカーズの活動拠点として駅前広場にピースメーカーズボックスを設置。道案内(1日30件程度)や拾得物の警察への連絡、近隣住民からの要請による出動などを行っている。
8時30分から17時までの間、専従職員1名が常駐しており、その後の時間はその日のパトロールを行う隊員が22時過ぎまで詰めている。
2004年2月現在、ピースメーカーズの隊員(無給ボランティア)は合計43名。うち、商店街関係者は28名。その他は地域の学生、会社員、アルバイト、空手道場関係者などで構成されている。
活動は隊員の自主性を重んじており、パトロールも商店街の個々の店の閉店時間に合わせ、人員配置を工夫するなど、隊員の都合に合わせた活動を行っている。
不測の事態に備え、パトロール中に死亡したり、怪我をした時のための保険を新たに保険会社に作ってもらったが、活動開始以降事故は起きていない。
また、警察の助言を受け自警会規約を制定している。規約は細則で武器を所持しない、加害行為はしないなど、隊員の行動規範を明確化し、隊員が活動しやすくしている。
ピースメーカーズの運営費は年間300万円。この内訳は、専従職員の人件費や、隊員の保険料などである。なお、ピースメーカーズボックスの土地は区と(株)京王電鉄、プレハブの建物は世田谷区から無償で借りている。
ピースメーカーズの活動は、明大前商店街振興組合の事業として、運営費用は振興組合の予算より出ている。活動開始初年度には商店街でのバザー開催による販売収入及び明治大学や町会から協賛金を得た。最近は街の人々から盆暮れに献金が寄せられている。
パトロール活動を続け、成果を上げていくうちに、地域住民から声をかけてもらえるようになり、これが隊員のやる気につながっている。また、毎日パトロールするなど、活動の頻度を多くすることも活動の継続にとって重要である。
ピースメーカーズのパトロール中に人命救助2件、ぼやの初期消火を行った実績がある。
また、松原小学校近くでは活動開始以前は10日に1件の割合で痴漢が発生したとの情報が小学校に寄せられていたが、活動開始後激減し、2002年の6月を最後に発生情報はない。
これらの活動が評価され、ピースメーカーズは2002年6月に北沢警察署長より地域安全活動全般に関して表彰された。
小学校の通学路のパトロール活動の開始当時、児童に声をかけても返事が無かったが、組合理事長が小学校に出向いて全校児童の前で話をしたところ、次第に児童の側から活動者に対してあいさつをするようになった。
また、成果が上がるにつれ児童の親たちが活動を認めるようになり、商店街に親が来てお礼を言うまでになった。それを見て、今まで活動に参加していなかった商店主も活動に参加するようになったほか、松原地区の各町会自治会においてもパトロール活動を行うようになってきている。
地元小学生からの感謝の寄せ書き