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本編 > 第1章 > 地域通貨を使った新聞リサイクルの仕組み(新聞環境システム研究所)

地域通貨を使った新聞リサイクルの仕組み
NPO法人 新聞環境システム研究所

 福岡県豊津町では、地域の住民の出す新聞を公共交通機関の乗車券と引き換えられる地域通貨と交換することで、新聞のリサイクル推進と公共交通機関の利用の増大を目指している。

町からの助成金をもとに、バスや鉄道の乗車に使える地域通貨を発行している。
リサイクルに出す新聞には、住民がバーコードを貼って出し、新聞を出すことで得られるポイントはパソコンで管理されるなど、簡便なシステムとなっている。


1. 活動開始の背景と経緯
環境問題への関心がきっかけ
 一度読んだだけで捨てられる新聞・チラシは膨大な資源の無駄と考え、環境問題の研究を始めた新聞販売業者は、知人と二人で新聞紙リサイクルと地域通貨を組み合わせたビジネスモデルを発案。2001年ビジネスモデル特許を申請し、同年11月にはNPO法人新聞環境システム研究所を設立した。
 研究所は、2002年9月に北九州市小倉南区の一自治会から要請を受けて新聞回収を始め、さらに福岡市を拠点に福岡県の各地方公共団体に働きかけたところ、豊津町が2002年11月に新聞リサイクルシステムを導入した。豊津町では町の広報誌や口コミにより、住民に知られ参加者が増えている。

2. 活動の内容
地域通貨を利用した新聞資源リサイクル
 豊津町では、地域通貨「ペパ」を活用して新聞資源リサイクル促進システムを導入。現在、3,270世帯のうち100世帯が会員となっている。

作業の流れ
(1) 会員の申込
 参加希望者は、申込(会費無料)と同時にバーコードの印刷された紙を受け取る。
(2) 新聞の回収と「ペパ」発行
 バーコードを新聞束に貼り、月2回の回収日に町内3か所にある集荷場に会員が持ち込むと重量に応じてポイントが(1kg=1ポイント)加算され、一定量(30ポイント=30ペパ)に達すると、地域通貨「30ペパ紙幣(80円相当)」と交換可能になる。
(3) 「ペパ」の利用
 平成筑豊鉄道の乗車回数券(400円分=150ペパ)、生分解性ゴミ袋(5枚=30ペパ)と交換するほか、「ペパ」自体を太陽交通の路線バスの乗車補助券(80円分=30ペパ)として乗車時に利用することができる。
(4) 新聞のリサイクル利用
 研究所が回収した新聞は古紙問屋が1kg当たり3円で買い取る。
(5)助成金の受領
 研究所は、町に毎月の新聞収集量を報告、1kg当たり5円の助成金を受け取る。
 なお、豊津町のほか、北九州市小倉南区の自治会(150世帯)においては、地域通貨を支払わずポイントだけ加算する形で、90世帯の会員から新聞を回収している。

3. 運営の状況
新聞に貼りつけられたバーコードをパソコンで管理
 新聞を出すことで得られるポイントの管理はパソコンで行われており、回収する新聞に貼り付けてあるバーコードで新聞を出した人を特定し、重量に応じてポイントを加算していく。また、あらかじめ会員の登録をしていなくても、新聞を指定の有人新聞集荷場に持って行けば、その場で登録が可能となっている。
 現在豊津町においては、研究所の代表と役員の二人がトラックを借りて新聞を回収しているが、今後、他の地方公共団体に活動を拡大していくにつれ、地元のシルバー人材センターに回収や「ペパ」の発行業務を移管する予定である。

町も協力してリサイクルを推進
 豊津町は、資源ごみの集団回収を行う地縁・公的な団体に対して助成金を支払っており、研究所はその対象である。また、町は広報紙で従来の資源ごみ回収のシステムと並べて「ペパ」を紹介、問い合わせ窓口を町役場に設置するなどの協力を行っている。
 研究所は、町からの助成金と地域住民への支払いの差額である70円(新聞30kg当たり)を得て、それに古紙問屋に新聞紙を売却した代金を加えて事業費用に充てている。

わかりやすさでペパの循環を目指す
 地域通貨「ペパ」はポイントを貯めたのを忘れないよう、1世帯が2〜3か月で溜められる新聞の量(30kg)に相当する30ペパ紙幣一種類のみである。
 また、ペパの利用を促進するため有効期限は半年に設定されている。
地域通貨「ペパ」の理想はリサイクルによる環境保護である。したがって、その用途も生分解性ゴミ袋との交換のほか、環境保護の観点から公共交通機関利用を促進するよう、バスの補助券や列車の回数券としている。
 九州運輸局と共同で「ペパ」を使って公共交通機関を利用しよう」と呼びかけるポスターを作成した。

地域通貨「ペパ」
地域通過「ペパ」


4. 成 果
リサイクルシステムは周辺地域に広まる
 新聞を再生紙の原料として回収するシステムとして、地域通貨を導入することにより、システムが地域に浸透し、住民の意識が高まった。
 従来豊津町では新聞の焼却処分に1kg当たり32円の費用がかかっていたが、これをリサイクルシステムに乗せた場合、町の負担は1kg当たり5円の助成金だけとなる。
 マスコミで取り上げられるに従って、周辺地方公共団体の住民からもリサイクルの仕組みに参加したいとの要望が出ており、福岡市など3つの地方公共団体で導入が検討されている。


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