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本編 > 第1章 > 生ごみをいかして環境にやさしく(伊万里はちがめプラン)

生ごみをいかして環境にやさしく
NPO法人 伊万里はちがめプラン

 佐賀県伊万里市では、地域の飲食店主が生ごみをたい肥化するプラントを建設し、たい肥を生産。地域の農家、住民の協力も得て、生ごみからたい肥、そして、農産物へという循環を作り上げた。たい肥は、菜の花を育てるのにも使われ、菜種油を作りその廃油は環境に優しいバイオマスディーゼル燃料にされ利用されている。この地域発の取り組みが今では市の総合的な環境改善事業に発展している。

処理に困った生ごみを活用してたい肥を作り、資源を循環する仕組みを作っている。
住民がわざわざ代金を払って、生ごみを回収場所まで持って来たり、ボランティアに参加するなど積極的に協力している。

1. 活動開始の背景と経緯
飲食店の生ごみ処理問題がきっかけ
 1980年代末、伊万里料飲店組合の事務局長が組合員から生ごみが犬やカラスに荒らされ、また廃食油の処理に困っていると相談を受けたのが活動のきっかけである。92年当時、焼却処分されていた生ごみを何とか活用できないかという思いから、伊万里料飲店・旅館両組合員が、生ごみ堆肥化の研究を始め、活動の名称を地域のシンボルのカブトガニ(はちがめ)からとり「伊万里はちがめプラン」とした。2000年には、生ごみのたい肥化実験を開始した。
 これと並行し同年には「菜の花プロジェクト」を地元農家及び市民と結成し、菜の花栽培、菜種油の生産、廃食油からのバイオマスディーゼル燃料の生産に取り組んだ。
 2001年には一般家庭から生ごみと廃食油を収集する「生ごみステーション」が開設され、2003年5月、「伊万里はちがめプラン」はNPO法人格を取得した。

生ごみ実験プラントを見学する小学生
生ごみ実験プラントを見学する小学生


2. 活動の内容
生ごみの回収とたい肥化
 生ごみの回収は、生ごみ分別協力事業所(飲食店、ホテル、農家、小売店、学校、保育園、医院など60軒以上)からは毎日、市内14か所に設置された「生ごみステーション」会員の一般市民120世帯からは週2日の頻度で行い、回収量は1日約1.6tに上る。このごみを原料に「生ごみ実験プラント」で1日500kgのたい肥を生産している。
 たい肥は、市内の学校、約20戸の協力農家に配布され、佐賀大学農学部の協力で栽培実験や土壌分析が行われている。農産物はイベントやJAの直売所で販売するほか、2004年3月には農産物を販売するはちがめ「ふれあい」ステーションが開設された。

菜の花プロジェクト
 地元農家、一般市民と協働し、菜の花を使った食循環リサイクルの体験学習と、農村と都市、子どもたちと老人の交流の場を提供するのを目的としている。
 休耕田を活用し、はちがめプランが生産したたい肥を農家に提供し、菜の花を栽培し景観を楽しむとともに、菜種油を生産して、農家やボランティアに配布している。また、廃食油は生ごみステーションなどで回収してバイオマスディーゼル燃料に加工し、はちがめプランのプラント内車両や広報車などで使用されている。

環境保全創造住民活動事業伊万里「環の里」計画
 伊万里市では、住民、企業、NPO、研究者、教育機関、市が連携して、ごみゼロと花と緑の街づくり、環境保全型農業、環境教育・学習の推進など総合的環境改善事業伊万里「環の里」計画が進められ、はちがめプランは主軸として参加している。

3. 運営の状況
はちがめプランは国、県、市などから数多くの助成を受けている
 98年に佐賀県商工会連合会の「地域ゼロエミッション研究開発事業」では旧通商産業省と県から助成金を受け、また、2000年の「伊万里ゼロエミッションシステム研究開発事業」では、旧通商産業省と伊万里市から助成金を受けた。
 「菜の花プロジェクト事業」では、2000年に雇用環境事業団から助成金を得て、菜種油搾油機を導入し、4名を法人で雇用した。また、2002年には地球環境事業団地球環境基金の助成で廃食油バイオマスディーゼル燃料製造装置を導入した。
 2004年にオープンしたはちがめ「ふれあい」ステーションは、経済産業省市民活動活性化モデル事業に採択されている。

実績を積み重ねて資金協力者を増やす
 活動開始当初、ダイオキシン問題などで関心が高まっていたことから、料飲店組合の組合員を始めとした一般市民からの協力(協賛金総額700万円)や活動の現場を見て感動した人からの資金支援があった。
 生ごみ排出事業者は月額5,000円〜10万円の生ごみ資源化協力金を、生ごみステーションの会員の一般市民は月額500円の会費を支払っている。
 生ごみステーションの会員、生ごみ回収に協力している飲食店、佐賀大学教授、活動に協賛してくれた市民が伊万里はちがめプランの会員として活動に協力している。

4. 成 果
地域内循環の仕組みづくり
 はちがめプランの活動により、生ごみ→たい肥→農産物→生ごみと、たい肥→菜種油→廃食油→バイオマスディーゼル油という2つの循環が市内に作られた。
 この循環に乗せる形で地域通貨「ハッチー」を伊万里「環の里」計画の中で導入する予定。この地域通貨を生ごみステーションの会員や菜の花プロジェクトでボランティア活動をした人に配布し、はちがめプランで生産されるたい肥、農産物の購入及び伊万里市の商店街で利用できるようにする計画である。


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